金髪にしたんだ
1カ月ほど前、僕は人生初の金髪にした。
なんと29歳にして初めての金髪である。
金髪にした理由は至極単純
「20代最後の記念に」というものだ。
なんとなく昔から「金髪にするなら20代のうち」という考えを持っていた。
だっておじさんになってから金髪にしたら痛くてダサいじゃないか。
ちなみに「29歳もおじさんだよ」という意見には耳をふさぐようにしているから、よろしく。
今まで僕は茶髪にしたことはあった。でも茶髪と言っても、限りなく黒に近い茶色だ。
それでも学生時代から、心の中で「金髪にしてみてえなあ」という想いは持っていた。
ではなぜ今まで染めてこなかったのか?
それは単純にビビっていたからである。
似合わなかったらイヤだし、それに金髪の男ってなんだか怖いじゃないか。
ガラ悪いって思われたら嫌だもん。
なにより「自分なんか金髪が似合うわけない」と思っていた。
金髪が似合うのは”面がいい男”だけという思想に縛られていたのである。
お世辞にも僕は”面がいい”とは言えない。
モブキャラが金髪にしてらあ!!と嘲笑されるのも嫌だった。
いや、そんなこと言ってくる人なんていないのは分かってるけど、自分の中の”面倒くさい人格”がそう言っていたのである。
しかし、僕は決意した。
多分30歳超えてから金髪にすることはないだろうから、今ここしかないのだと。
てか、こんなに悩んでる時点で僕は相当金髪にしたがっているのだ。
だったらやるしかねえ!
行きつけの美容院に電話する。
「あの、実は金髪にしたいんです。…はい。だって20代最後なんで」
あたかも”20代最後”というワードが魔法の呪文であるかのように、わざとらしく付けてやった。
そして染髪当日
11時から予約していたのだが、緊張して6時に目覚めてしまった。
美容院の椅子に座ると、ブリーチするための液体を大量に塗られた。
何だか頭皮がヒリヒリする。でも耐えろ!これは変身するための犠牲なのだ!
液体を塗って1時間ほど放置したあとに髪を洗う。
美容師が「うわーきれいに色抜けたね~」と話しかけてくる。
ぼくは洗髪中だから分からない。
目にタオルを置かれながら「うぇっ!まじすか!!?」と大声量で喋ってしまった。
シャンプーが終わり、椅子に座って鏡に映る自分を見る。
驚愕した。
スーパーサイヤ人みたいな髪色をした俺が映っているのだ。
えっ!これ俺すか!!?
「そうだよ○○くんだよ笑」
なんだこの色やば!!
「(苦笑)」
こんな会話をした後に、実はもう1回ブリーチする必要があると告げられ、またヒリヒリ液体を塗られて放置された。
黒色が抜けただけの髪は思ったより下品な金色だった。
「こんなん似合う日本人いないだろ」と不安になったが、「ここから色を付けていくね」と言われて安堵した。
結果的に僕は金色をベースにしながらも、緑とかベージュが混ざった感じの髪色となったのだ。
美しい色だ。素敵な色にしてくれてありがとう美容師さん
肝心な”似合い度”だが……
驚いたことに結構似合っている。
いや無理してるとかじゃなく、本当に割と似合っているのだ。
「なんで今まで金髪にしなかったんだよ」と自分に言いたくなるレベルである。
浅はかな表現だけど、とってもとっても嬉しくて安心した。
その日は色んな人に自撮りを送ってしまった。
だって自慢したいからね!ガハハ!
予想以上の仕上がりが嬉しいあまり、部屋で何度も鏡の前に立った。
気持ち悪いかもしれないけど、誰に見られているわけでもない。だから許してよ。
鏡の前に立つたびに、心の中の”面倒くさい人格”も消えていくような感覚になった。
驚くほど単純だけど、金髪にしてから自己肯定感も上がった気がする。
いや、ほんとに単純だな。
色んな人に自慢したくて仕方ない。
スタバに行ったときも店員さんに「あの、これ実は人生初の金髪なんすよ(笑)」と話しかけたくなった。グッと我慢したけど。
3軒隣の家で飼っている犬にも見せつけてやりたい。
多分だけど、今が一番”自分史上イケてる”気がするから、その瞬間を見て欲しいのだ。
嗚呼、なんと愚かで面倒くさい男だろうか……。
1カ月経った今では、ある程度色が抜けてしまったけれど、次染めにいくのが楽しみすぎる。
他人から「かっこいい」とか言われるのも嬉しいけど、やっぱり一番嬉しいのは、自分で自分を褒めてあげられた時なのかもしれない。
自分に自信を持つなんて簡単なことじゃないけど、きっかけは意外と単純でいいのだ。
長ったらしく書いてきたけど、伝えたいことはシンプル
人生初の金髪にチャレンジして良かった!俺めっちゃハッピー!