枕を濡らして
とんでもない夢を見てしまった。
朝起きた時、こんな夢を見た自分に失望するような夢だ。
多分きっかけはLINEにある。
なんとなくLINEを開いて、3年前に付き合っていた彼女の名前を見た。
すると名字が変わっていた。結婚したのだ。
ありがちな話である。
好きだった人が結婚する。その事実を知ると、なんとなく”モヤっと”してしまう。
結婚なんて素晴らしい祝い事なのに、心の底から喜ぶことができない。
その人は良い人だった。
真っすぐで自分に嘘をつけない人。あとルックスも可愛かった。
冗談抜きで「世界一かわいい」と思っていた。
人を好きになるってのはそういうもんだ。
ガッキーよりも白石麻衣よりも吉岡里穂よりも可愛い。
「こんなに素敵な人から好かれるなんて、そんなことがあっていいのか?」と毎日のように思っていた。
でもその人は、他の男を作ってしまった。
詳細は知らないけど、うっすら浮気の匂いはしていたし、別れを切り出された時は「あーやっぱり」と思ったものだ。
それが3年前
3年だよ、3年。約1200日
つまり、ものすごい時間が経っているのである。だって僕なんて今年で31歳ですよ!?
31でこんなメンヘラ男になってるなんて、、、。中学生の俺が今の僕を見たら絶句するだろうな。ごめんよ。
3年も経っているのに、僕はまだ彼女のことが好きだ。
いや、ここまで来たら好きとかじゃなく、ただの執着かもしれない。
一つハッキリしているのが「一生好きなまま」ということだ。
でももう、僕は彼女と一緒にはなれない。
その事実が堪らなく辛くて辛くて仕方ない。
包み隠さず言うと
「なんで浮気まがいのことした人が幸せになってんだ」
「俺のこと壊しといて平気なのかよ」
こんな汚い気持ちが底のほうに眠っている。
とことん自己中だなあと思う。
理想的には、別れた後も彼女の幸せを願える自分でありたい。でもそれができない。
結局「俺に酷いことしたくせに結婚なんてしてんじゃねえよ」と思っているのだろう。
そんなこと考えたくないのに、どうしても消えない。
他人に見せたくない嫌な自分が肥大化していく。
思えば別れを告げられてからの3年間、彼女のことを忘れた瞬間などなかった。
愛していた。
どうしようもなく愛していた。
なんで僕じゃないんだろう?
一途に純粋に想い続けていたのに、結局結ばれないなら意味ないじゃないか。
なんで、俺じゃないんだ。
きっと旦那さんは物分かりが良くて、優しい人なんだろうな。
僕は優しくない。優しいふりをしているだけだから。
別れた人の幸せすら願えない。卑しい気持ちと別れることが出来ずに3年間もがき続けている。
相手の不幸を願っているわけではないけど、僕と別れたことを後悔して一生引きずってほしいとは思っている。かもしれない。
こんな卑劣で嫌な気持ちと別れることすらできない。
だってこの気持ちを持っていれば、自分が悲劇の主人公になれるから。
そして今日の朝だ。僕は夢を見た。
元カノが旦那さんと手を繋いで歩いている。
それを眺める僕。
彼女が僕に気付いて気まずそうな顔をする。
僕は悲しくなって、すぐに目を逸らして歩き始めた。
目が覚めると、僕の目は潤っていた。
横向きになって寝たから、枕が少し濡れていた。
確信してしまった。
僕は未だに彼女のことが大好きで、引きずっているのだと。
おそらくこの気持ちはずっと抱えてしまうものなのだと。
僕は心のどこかで「まだ彼女と結ばれる未来」を望んでいるのだろう。
ないものねだりである。
絶対手に入らないものほど、手に入れたくなってしまう。
でも、この気持ちを放っておくのは危険だ。
人間どこでタガが外れるか分からない。
行きすぎた気持ちをコントロールできないと、エスカレートして迷惑行為してしまうかもしれない。
いや、しないけどさ。当たり前のことですけど。
一番危惧すべきは『必要以上に自分を責めてしまうこと』だろう。
自分で自分を責めるのは、とても悲しいことだ。
俺の心の中にいるギャルが「大丈夫っしょ!飯食うべ!」と言っても、カバーしきれなくなってしまう。
だから、僕は彼女を”殿堂入り”させなくちゃいけない。
もう届かない存在。同時に大好きで仕方ない存在。
そんな偉大な人を嫌うのも、憎むのも嫌だ。
でも、殿堂入りさせて伝説にしちゃえば問題ない。
好きな人とは別枠で”大切にすべき人”として認識するようにしなくちゃならない。
恋愛は恐ろしいものだ。
こんなにも人をおかしくしてしまう。
それでも、他人を愛するという感情は素晴らしいものでもある。
つまるところ、他人を傷つけても自分が納得できる形に収まるのが一番いいのだろう。
僕がこうやって記事を書くことで、彼女は傷付いているかもしれない。
それでも、書くことで多少心が穏やかになるから書いている。
人生という物語において、ずっと自分が正義でいるのは難しい。
幸せになるために取った行為が、誰かにとっては悪役になってしまう。
愛する人を悪役にしないように、殿堂入りさせる。
難しいけど、進みたいものだ。
卑しい自分とも向き合って、理想の自分に半歩でも近づけますように。
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