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出る杭は打たれる空気と教育はまだ日本に根付いているのか?

失敗の本質-日本軍の組織論的研究を読んで、「出る杭は打たれる」という諺と「空気を読む」という言葉が、私の受けた義務教育と交わりながら脳裏をよぎりました。

本書では日本が戦争で負けた理由の1つとして「あいまいな作戦目的」が挙げられています。なぜ「あいまい」だったのかというと、人間関係やプロセスを重視するあまり「はっきりと意見を述べて対立を煽る」ことを避け、その場の「空気」で意思を伝える風土があったからです。

そしてこのような空気づくりは兵士の教育時から始まっています。以下、そのことが垣間見える部分を引用します。

与えられた目的を最も有効に遂行しうる方法をいかにして既存の手段群から選択するかという点に教育の重点を置かれるようになった。学生によって、問題はたえず、教科書や教官から与えられるものであって、目的や目標自体を創造したり、変革することはほとんど求められなかったし、また許容もされなかった。

失敗の本質失敗の本質-日本軍の組織論的研究

教官や各種の操典が指示するところを半ば機械的に暗記し、それを忠実に再現することが、最も評価され、奨励されさえした。いわば「模範解答」が用意され、その解答への近さが評価基準となっているのである。

失敗の本質失敗の本質-日本軍の組織論的研究

これって私の頃の義務教育と変わらないんですよね。特に「答えありき」の問題がテストで出され、生徒全員に共通の思想を植え付けていくというところが。

そして本書が発刊された1984年には以下のように「ダブル・ループ学習」の必要性が指摘されていたのにも関わらず、教育の根本は変わってこなかったのだなと実感しました。

日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与ないし一定とした上で、最適解を選び出すという学習プロセス、つまり「シングル・ループ学習」であった。しかし、本来学習とはその段階にとどまるものではない。必要に応じて、目標や問題の基本構造そのものを再定義し変革するという、よりダイナミックなプロセスが存在する。組織が長期的に環境に適応していくためには、自己の行動を絶えず変化する現実に照らして修正し、さらに進んで、学習する主体としての自己自体をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ「ダブル・ループ学習」が不可欠である。

失敗の本質失敗の本質-日本軍の組織論的研究

少しずつ教育内容も変わってきたと聞いています。私の子供も偏差値だけで学校を選ぶのではなく、自分で問いをたて、答えのない問題に自ら取り組み、行動をし続けることを奨励する学校を選んで欲しいなと思った次第です。

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