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「君たちはどう生きるか」の備忘録感想

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」の公開から2週間以上経ちました。

私は出張と上手く絡んで公開初日に観ることが出来たのですが、滅茶苦茶面白かったので、色々と本を読んだ後にまた観に行きたいと思っています(本当は面白かったか面白くなかったかも書いてはいけないんでしょうが、既にニュース等でかなり肯定的な報道がされていますし、ここら辺は大丈夫でしょう)

備忘録的に初見時の感想を述べたいと思います。ネタバレ注意なので、観ていない人はスルー願います。 

あとコメントも映画の内容に深く触れるものであれば、場合によっては削除させて頂きますので、ご了承願いますm(_ _)m

では、感想です。

若手監督の映画かと思った。まさかこんな若い感性のガチファンタジーをあんなお爺さんが作るとは思わなかった。

・だって、色々とセルフオマージュはあるんやろな、とは思ってたけど、まさかのバック・トゥ・ザ・フューチャーをぶち込んで来たんだぜ…

・シリアスなシーンがドキドキするだけでは無く、コミカルなギャグのシーンも間の取り方が小気味良くて、とにかく若い人の映画かと思いました。

・元々は「失われたものたちの本 」(著:ジョン・コナリー・創元推理文庫)というイギリスの戦時中を舞台にした児童小説を、日本を舞台に移してやる、ということで企画された映画だったそうなので、「失われた…」を読んだ上で可能であればもう一度観て色々と考えてみたいと思います。

・「君たちは…」に有って「失われた…」に無いものが作り手の言いたいことになるのだろうし、逆に「失われた…」に有って「君たちは…」無いものがあれば、それも何らかの作り手の主張なのだと思います。それを後から比べてみたいなと思います。

・映画に話を戻すと、分からなさそうに見えて、でも意外と分かりやすくて、でもちょっとよく分からないから何回か観たくなる映画だったと思います。こういうのは良い映画!

・何かしらの宮崎駿監督の個人的経験とかが投影されているんだろうな、というのは分かりましたが、私は作り手の人生にはあまり興味が無く、単に良い映画を観たいと思っている人なので、そこら辺はスルーしていきたいと思います。

・例えば、零戦の風防は宮崎監督の実家のエピソードだと分かってはいますが…

・そのうち、「あのシーンは〇〇なんですよ」というのが作り手側から出てくると思いますので、会ったことも話したこともない人の人生を邪推するのはやめときましょうと思います。色々語っておいて後から「いや、それはこういうことなんですよ」と言われたら恥ずかしいしね。

・ただ、青鷺、だまそうとして結局主人公と無二の友達になるので、やっぱ鈴木敏夫さんなんですかね…

・将来のための人的資源を食い潰して最後は死んじゃったペリカンは、もしかして高畑勲監督…(この辺で辞めとこう)

・映画の内容に話を戻して、眞人くん、お父さんがお母さんの妹と再婚(しかもすでに身籠ってる…)という思春期あたりの男の子にはハード過ぎる状況で、それでも、お母さんと多分、産まれてくる弟を受け入れる……あと戦争……

・置かれている状況がハード過ぎても、現実の世界に戻るべき(これに更にお母さんが悲惨なことになるというのも付け加えられる…)と言えた眞人くんはカッコいいですよ。

・エヴァンゲリオンの本田雄さんが作画監督ということで、アニメ表現にもの凄いキレがあったように思う。鈴木敏夫Pが、映画を作る時に必要な要素は「ストーリー」と「表現」の2つということをラジオで話していたんだけど、やはりアニメというものは「表現」に比重を置くと本当に気持ち良いよな、となんとなく思いました。

・お父さん役が木村拓哉ということは、ハウル的な感じ(ダメな時の能力しかないハウルみたいな)が出したかったのかな、とか思ったりしました。

・宮崎駿監督は「ハウルの動く城」公開時にハウルを「父」というものの象徴として作ったというインタビューを読んだような記憶があり。

そのインタビューで「父」とは「大人だけど子供のようなわがままなところもあり、家から居なくなってよくわからない仕事をしている。家族のために行動してるような気もするけど、自分のことしか考えていない気もする」みたいなことを言ってた。

・ということで、この「君どう」という話に限らず、個人的に日本のアニメ、ずっと「お父さん」が「ちゃんと描けていない」なぁ、とは思っています。

例えば細田守監督の「ミライの未来」とかの時もそう思った。お父さんが不在なんですよね。

・女性の社会参画と男性の育児家事の参加が同時に行われていて、家族の形が大きく変わっている今こそ「こうあって欲しい」というお父さんが何らかの形で描かれないといけないと思っています

・これは宮崎駿監督が「君たちは…」の映画で「父」を描かなかったという責任を追求するものではありません。おそらく私たちの世代がしていかなければならないのでしょう。

・ただ、お母さんの妹、子供時代のお母さん、理想のお母さん(あいみょん)、みんなお母さんで…

・富野由悠季監督と言い、庵野秀明監督と言い、日本アニメのお母さん信仰はどうにかならないものか、とは思いました(これも、映画の内容を否定するものではありません。作り手の世代的なものなのかな)

・「君どう」の話に戻すと、最初に書いた通り、こんな若い感性の映画になるとは本当に思いませんでした。こういうファンタジーはつくりての独りよがりなところが出がちかと思ってて、実際に出てるのかもしれませんが、とにかく2時間心地よく過ごすことが出来ました。映画ファンとしてはそれだけで十分です。

・では、「君たちはどう生きるか」は「滅茶苦茶面白かったので、色々と本を読んだ後にまた観に行きたいです」という簡単な感想を終えます。


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