本源的チーズケーキ

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感想と考えたこと『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』

感想 『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』を読みました。著者の1人である田野氏がナチスに関するデマをひたすらに訂正していく様が話題を呼んだこともありかなり売れているようです。私もミーハーな読者の1人ですが、一般向けに内容も平易に書かれており、ブックレットの形式で読みやすいとはいえ、このようなアカデミックな内容の本が話題になり売れるというのはSNSの力を思い知らされます。本書を読んだ上で考えたことがいくつかあったので整理する意味も込めてこのnoteを書いています。 まず

    • 読書感想文【井上智洋『「現金給付」の経済学』

      通読した所感 井上智洋氏の『「現金給付」の経済学』を読んだ。その感想を書いていきたいと思う。まず、この本を読んで最初に感じたことは「井上智洋節全開だな」ということ。氏の世界観というか、技術的発展論は本当にブレないなと感じた。こういうことを言うとアレだが、氏の想定する未来社会は非常に特殊なので、其のことが氏の他にない政策提言に繋がっているのではないかと思う。  それは、2030年ごろに汎用AIが開発され、ホワイトワーカーから雇用崩壊が発生するのでBIしかない、という具合だ。これ

      • 反出生主義について考える ーその危険な魅力と最大の懸念ー

        初めに 私の問題意識 反出生主義を初めて知った時、危険な魅力を感じたのは私だけだろうか。恐らく、そうではないと思う。反出生主義の思想に始めて触れた時、唾棄すべき危険な思想だと感じる人もいれば、何か大きな説得力と不思議な魅力を感じた人も多いように思う。かくいう私も危険な思想だと感じると同時にそれ以上の説得力を憶えた。そして、私はこう直感した。この説得力は、私自身が順風満帆な人生を送っていない事や不幸な人生を嘆く人々に同情する気持ちによってのみ起因するものではない、と。それが、私

        • 進化心理学の誤解を解く -または、現象から接続されていない規範について-

          初めに 本稿のめざすところ 現在、大衆に膾炙しつつある進化心理学だが、非常に危うい解釈のみが広く浸透しつつあるように思う。というのは、進化心理学が社会科学や倫理、道徳に与える影響は本来ambivalentであるにも関わらず、ネット上などではそのダークな側面(所謂、暗黒啓蒙)のみが受容されているということだ。これは、社会に対する危険な兆候であると共に、進化心理学という学問が誤解される要因にもなりえる。  この文章は、その誤解を解く。または、少なくとも私は進化心理学に文字通りのe

        感想と考えたこと『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』