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1位になれなかったあなたへ

物心付く前から、真剣に頑張っていたことがある。
水泳である。

3歳からオリンピック選手育成を目指すような本気の水泳教室に通わされた。毎日とてもハードな練習が続いた。

25mを息継ぎなしで泳ぐトレーニング。喘息持ちの私が、息がつらくて思わず水上に上がると、先生のキックや平手打ちで水に戻される。
この地獄のような練習に食らいつきながら、0.1秒でもタイムをあげようと頑張っていた。

しかし、私が出せた最高の結果は、水泳教室の大会で全国6位。

この現実にショックを受けた。
こんなに死ぬような努力を続けていても、上には上がいるのか。上のやつはどんな練習をしているんだ?上の奴らは苦しいと感じない奴らなんじゃないか?
死ぬほど頑張った水泳で1位を取れなかった。自分の存在価値なんて、あるんだろうか。

一方小学校では毎年リレーの選手や学校代表の水泳選手に選抜されてしまう。
リレー選手に選抜されてしまうと、毎日の放課後練習がある。1年生からずっと選ばれ続けて飽きていた。そして面倒くさい。
1位になる興味を失っていた私は、6年生の時あえて学校内で2位になるように、手を抜いた。
これを見ていた先生には、「げんごは何でも2位だ」と言われた。

勉強も運動も難なくできる性分。ただ、全部「人よりできる」レベルで突き抜けて1位というものはない。
先生は、私のお尻に火をつけるためにこの言葉をかけたのだと思う。多分、意図的に手を抜いたのがばれたのだろう。
しかし、この言葉に苛立ちを覚えた。

同時に、重要な気づきを与えてくれた。

なぜ、1位じゃないといけないのだろうか?
一生懸命頑張っても、全国大会で1位になれなかった私は本当に価値のない人間なんだろうか?

いや、そんなことない!

死ぬほど頑張って1位になれなかったとしても、得意なことを沢山作ったら、唯一無二の存在になれるはずだ。

これに気づいた瞬間、ふっと心が楽になった。この気づきが自分を救ってくれた。

皆さんにも考えてもらいたい。
一つのことで1位になったら、100分の1の存在だ。
逆に、二つのことで3位をとったらどうだろう。100分の3×100分の3=10,000分の9。一つのことで1位を取るより、稀有な存在になれるのは明白だ。

何かに一生懸命打ち込むと、1位にならなければ意味がないと思ってしまいがちだ。
たしかに練習中はそれくらい本気で鍛錬を重ねることも大切だと思う。
でも実際、死ぬほど頑張っても、1位になれないことがある。
そんなときでも「そんな自分は価値のない人間だ」とは思わなくていい。
得意なことを沢山集めたら、一つのことで1位になるよりも、よっぽど稀有な存在になれるから。

だから、一生懸命頑張って、たとえ1位になれなかったとしても、自分を否定しないでほしい。
得意なことを集めて、唯一無二の存在になれば良いのだ。

だから、私のように1位になれなかったあなたも、もう自分を責めたりしなくていいのです。

充分に存在価値に溢れている自分を味わってみて下さい。人生は、本来楽しい素晴らしいものなのです。

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