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お医者様は神様です

数日後に本番だというのに、3日前に風邪をひいたらしく喉のねもとに違和感がある。
そういう時に歌ってしまうと、炎症が広がって咽頭炎を起こし、まったく声が出なくなった経験が何度もある。
ともかくは消炎剤を飲んで2日間だんまりしていたけれど、なんだか良くならない。
だんだん喉の炎症がおりてきて咳っぽくなってきた。治るのか?治らないのか?声帯は大丈夫なのか?不安は募るばかり。
物理的な不調が精神も蝕む

これは行くしかない
意を決して、いつも上咽頭炎治療してもらっているかかりつけの耳鼻咽喉科に電話した。
通常ならば診察希望日の1週間前の午後9時きっかりにネット予約して、瞬時に埋まってしまう予約をできる限りの早技で取るのだけれど、緊急事態では割り込みさせてくれるので、申し訳ないと思いつつ、入れてもらった。

先生は声に関する権威であるだけでなく、自身もジャズピアニストもしている才能ある方で、明日は開院30周年記念ライブがあるのも知っていたけれど、今日を逃したらもう連休!だからこれがワンチャンス!
しかたがない、私にも聞きにきてくれるお客様がいる

先ほどお電話したものですけど、、無理をお願いしてすみません。
と受付をしていると、

私の後にも
「無理言ってすみません」
とどうやら割り込み仲間の患者さんが、

そしてさらに
「お忙しいのに本当にすみません!」
とまた1人。えーー!こんなに来るの!

そうかぁみんな何かしら事情があるんだろうなぁ
こんなに予約外の人が次々にくるなんて、、
信頼されたお医者さんの1日を想像するだけでも大変だなあと待合室に溜まっていく患者さんを見てると

そこに、杖をついてゆっくりゆっくりだいぶ腰の曲がった高齢の女性が入ってきました。付き添っているのは若い男性。その女性を座らせると、今度はもっと前進が大変そうな男性が入ってきました。その付き添いも同じ男性。
「お母さん、ここで大丈夫?お手洗いは? お父さんは、ここにすわって、」
え!お父さんとお母さん!2人とも杖をついてもやっと歩けるくらいなのに、その2人を連れてくるのか!それでも息子さんは淡々と世話をする。診察室に呼ばれたら、1人ずつゆっくりサポートして連れていく。
毎日そういう生活をしているんだとわかる手際の良さ。
この医院に入るには上がらなきゃならない階段もあるというのに、1人で老いた両親をケアするってどんなに大変なんだろうと思う。
ここにもまた私の知らない世界があった

割り込み患者はいつ呼ばれるかわからないので、
待つのは覚悟だったけど、意外に早く入れてくれた。
いつもファイバースコープでしっかり中まで見てもらえるのでありがたく、今回は声帯は大丈夫だったけれど気管支が真っ赤に腫れていると判明。
先生は音声は専門なので、
「気管支が腫れて、声帯が乾いて合わさらなくなってるんでしょう」
という診断!
歌手の事情を知り尽くしている彼は、いつもは薬など出さないのに、今日はステロイドから漢方までてんこ盛りに処方してくださった。
何よりも自分の目で喉を確認し的確な処方をしてもらえただけで、挫けそうだった振り子は一気に反対に振り始めた。

その説明をしている時に、受付の人がやってきて先生に
「中学生で部活の時に友達の手が喉に当たって、声が出にくくなってしまったって問い合わせなんですけど、どこにかかったら良いですか?って」

え〜!そんな患者さんまで診るのか??

さすがの先生の眉間にも皺が寄った、、
「どこに、、ってね、、うーん、、」
これはさすがによそにいってもらいたいもんですよね?
「いや、診るよ、僕が診るけど、5:40過ぎたらもう時間外ね」

そう、医療法改正されたから診療時間は厳守。
確かに信頼される町のお医者さんってなんていろんな患者さんを診てるんだろう。
割り込みの自分も含めて、実際頼れる先生にはみんな集まる。
医療も介護もそれぞれの世界の重さを知った日

いっぱい出してもらったお薬で私も頑張ろう

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