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#6 推しの議会傍聴行ってみた企画/世田谷区議会〜法律に合わせて自治体はどうかわる?〜

FIFTYS PROJECTは、政治分野のジェンダー不平等の解消を目指して、ジェンダー平等実現を目指して地方議会議員に立候補する20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方を増やし、横に繋ぎ、一緒に支援するムーブメントです。
ジェンダー平等な政治の場を作るための方法のひとつとして、議会の傍聴に行くことがあります。このnoteでは、FIFTYS PROJECTの活動を応援する方にその体験をシェアしてもらいます!💛

初めての議会傍聴

はじめまして、Tome(トゥーメ)と言います。
絵や文章をかきながら、性のことやセルフケア、政治、民主主義などについて学んでいます。
政治に興味をもったきっかけは、北欧のノルウェーに旅行に行ったこと。
1度の旅行で大好きな国になり、帰国してからもノルウェーのことを何度も調べていました。
すると、若い人たちが積極的に政治について話し合う土壌があることや、政治に関連するイベントがいくつも開催されていることなどを知ります。
そんな中、SNSで出会ったのが、NO YOUTH NO JAPANとFIFTYS PROJECTでした。

SNSの投稿を見ていくうちに、これまで「政治の話ができない」「私は勉強不足だから投票にも自信がない…」と考えていた背景には、構造的な問題があると知りました。
ニュースで見聞きする差別発言や、なかなか現実に合わせて変わらない法律、そういった問題を少しでも変えていくために、私も何か行動してみたい!という想いで、今年4月に開催されたFIFTYS PROJECTの議会報告会に初参加。
それまでは、難しそう…とハードル高く思っていた議会に「人間らしさ」を感じ、身近に思えるようになりました。
そして、note「推しの議会傍聴行ってみた企画③~世田谷区議会~」を読んで、次の議会は絶対行ってみよう!と決意。
先日、初めて議会の傍聴をしてきたので、その時のことを紹介します。


現地参加は難しく、オンライン傍聴をすることに

FIFTYS PROJECTのLINEのオープンチャットに参加していたため、推し活「議会傍聴ツアー」の通知を受け取りました。
日程的にも参加しやすく、議会報告会やFIFTYS PROJECT FESでお話しを聞いたこともあった、世田谷区議会のおのみずきさんwebInstagram
の一般質問を聞きにいくことに。

今回は、令和6年第2回世田谷区議会の傍聴をしました。
自宅から世田谷区の庁舎までのアクセスを、ネットでリサーチするところから始めました。
しかし、庁舎まではかなり時間がかかり、スケジュール通りすすんだとしても、保育園に通う子どものお迎えに間に合わないことがわかったので、今回はオンラインで参戦することに。

おのさんの質問に合わせて、14:30に世田谷区議会のホームページからインターネット議会のライブ中継ページへ入りました。
ページを開くと黒い背景にオレンジ色で「休憩中」の文字が。
どこまで質問がすすんでいるのかは分からずソワソワ。
14:40〜再開されると、関口江利子さんの質問がはじまり、おのさんはその次だということが分かりました。

ページを開いてすぐに出てきた画面

おのさんの勇士を見届ける

約30分間の一般質問と答弁。
10分間の短い時間ながら、ハキハキとお話しされるおのさんの姿に感動。
内容については聞きなれないワードも多く、1回聞いただけではなかなか内容を理解するのは難しかったのですが、傍聴してみたことで、議会でどんなことがどんな風に話されているのかを知ることができ、また一歩政治に近づけたように思います。
(そもそも議員が質問して、それに対して役所の職員がそれに答える、といった市区町村の議会の仕組みを知ったのも最近のことだったので、実際に見られたのは良い経験になりました。)

おのさんの質問の中で「そうなの!?」と驚いたのが、女性支援のための新しい法律ができていた、ということ。
今年の4月に施行されたこの法律は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」というもので、「女性支援新法」とも呼ばれます。
一般質問が終わった翌日には、おのさんのInstagramでインスタライブが行われ、この法律やお話しされていた内容について、分かりやすく解説してくださったので、そこで知った話も合わせてご紹介します。

新しくできた「女性支援新法」って何?

おのさんがインスタライブで悔しそうにされていたのは、10分間という限られた時間内で、解説も含めて話すのは難しかった…ということ。
世田谷区の庁内でも「何で今さら、女性支援なの?」なんて声があがるくらい、女性支援が必要である背景について理解がすすんでいないのが現状。
そんな方々にも向けて、前提となる知識を話しながら質問をするのには、かなり苦戦したようです。

その前提知識というのが、これまで女性福祉に関する法律がなかったということ。
女性支援新法ができるまで、女性の福祉に関する法律はありませんでした。
支援を行うための「婦人保護事業」というものはあったのですが、その根拠となる法律が「売春防止法」でした。(「社会の風紀を乱す人は捕まりますよ」という刑事法。)
性暴力・DV・ストーカー・性的搾取・若年女性や児童の保護など、様々なケースに対して転用・転用で何とかしのいできたものの、予算も人も足りず支援にも限界が…。
女性の4人に1人はDVや暴力の被害者と言われる中、家族関連のねじれ、障害、病気なども複雑に絡み合うため、女性の福祉に特化した法律が必要だったのです。
この問題についてしっかりと議論され、晴れて法律が成立したことは画期的なこと!だったのですね。

議場で話すおのみずきさん

世田谷区にある様々な課題

ただ、「法律ができた!」だけで終わらせずに、「生きた法律」として女性支援をやっていくためには、世田谷区にはこんな課題がありますよ!
という課題提起が、おのさんの一般質問のメインでした。

様々な課題がある中、世田谷区で特に大きな壁となっているのは「組織の問題」。
児童支援、母子支援、生活困窮者支援、障害者支援、高齢者支援など、様々な問題が絡み合う女性支援を、庁内横断的に行うためには組織体制の見直しが必要です。
現在、世田谷区の女性支援に関しては、区民生活の領域を担う「人権・男女共同参画課」の方が奮闘しています。
しかし、旗振り役として「女性支援のあり方検討会」を企画・開催するも、力のある組織とは言えず…。
総務部・企画部といった、「お金・人・もの」に関して力のある部署が入っていかなければ、支援もなかなかすすまないという課題があります。
民間企業で働いていても、経営や人事といった会社の「お金・人・もの」に関する決定権がある部署に、パワーバランスが集中していると感じるシーンがありますが、行政でも同じようなことが起こっているのか…!ということを知りました。

他に質問されていたのは、

・当事者の相談・援助の重要な役割を担う都内の「女性相談支援員」は、4割が非常勤で、8割が1人親家庭への資金貸付けを行う「母子・父子自立員」という役割を兼務。さらに経験が3年未満である人が多い。
→この事実を受け、人員配置や、支援員の現状について区はどのように考えている?

・「なぜ女性支援が必要なのか」が理解されなければ、支援に繋がった背景を理解できずに「その人個人の責任」にしてしまう可能性がある。
→理解促進のためにも、職員の研修をすすめる必要があるのでは?

・これまで支援に関して緊急度・重度が重い方の調査を行なわれてきた。しかし、少しの専門的なアドバイスや同行支援などを受けることで、自分で道を切り開いていけるような人たちの声は聞かれておらず、これまで公的支援から切り離されてきた。
→多様な支援を包括的にすすめるために、実態調査が必要では?

・どんなに素晴らしい法律ができても、当事者に情報が伝わっていないと意味がない。
「この状況をまねいたのは自分のせい。自分には誰かに助けを求める資格はない」と思っている女性にとって、公的支援はとてもハードル高く遠いもの。さらに言語や障害が障壁となり、相談窓口に繋がれない人もいる。
→「自己がかけがえない個人であること、困難に直面したときには支援を受けることができること」という意識をつくっていくために、女性のエンパワーメントを目的とした教育・啓発が求められる。
周知・啓発のために区のホームページに分かりやすく載せる、現在行なっている講座に組みこむ、といったことが必要では?

この他に、「地方自治に対する区の考え方」についても質問されていました。

ちなみにこの一般質問の様子は、2024年6月27日現在、世田谷区議会のインターネット議会中継のページにて動画で見られます。(会議録はまだ公開されていないようでした。)


初めての議会傍聴を終えて

今回、オンライン傍聴ではありましたが、女性の支援に関して
・(支援に繋がった背景を理解できずにいると)その人個人の責任にしてしまう可能性がある。
・自己がかけがえない個人であること、困難に直面したときには支援を受けることができること、という意識をつくっていく必要がある。

といった言葉をリアルタイムに聞き、じーんと胸が熱くなりました。
当事者に寄り添うってこういうことなんだ...!と感動すると同時に、おのさんが議題に上げてくださったことで、地方議会で女性支援について具体的な話がされたという事実に嬉しくなります。

今回、初めて議会傍聴を経験して、「女性支援新法」について知りました。
自分の住む自治体では「女性支援新法」に関して、どんな取り組みが始まっているのか?議会で話し合われているのか?そういったことをウォッチしていきたいと思います。
そして、次回こそは現地で傍聴を!

興味を持った方は、ぜひ、気になる議員のSNSをチェックしたり、「〇〇市 議会傍聴」と検索してみたりしてください♪

FIFTYS PROJECTとは?
私たちは政治分野のジェンダー不平等の解消を目指し、20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方に対して2023年4月統一地方選をはじめとした地方議会議員選挙への立候補を呼びかけ、一緒に支援するムーブメントをつくろうと活動しています。


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