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「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」

「売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放」(中村朱美 ライツ社)

「1日100食限定」をコンセプトに「国産牛ステーキ丼専門店 佰食屋」を開業した著者による、残業ゼロを実現した飲食店の本。どんなに売れても、1日100食限定にすることで、働きやすく多様な人材を雇用することができているとして、賞などを受賞しているそうである。長時間働いて業績を上げようとする取り組みとは真逆で、いわば割り切った経営によってうまく回っているとのことで、興味深かった。「食品の原価率は約50%、人件費も約30%に上るため、FL比率は、なんと約80%です」(156-157ページ)とあるが、残りの20%をなるべく低く抑える工夫をしているとのことである。従業員のマネージメントの話も、学ぶことが多かった。

印象的だったのは、174ページの以下の部分である。

佰食屋には、クレド(行動規範・信条)があります。
「会社は明日の責任を。みんなは今日の責任を。」
「会社は明日の責任を。」そのつづきには、こう記しています。
「会社はこれからの集客や広報に責任を持ち、お客様にたくさん来ていただく努力をし、みんなを大切にします。」
次に「みんなは今日の責任を。」その下にはこうあります。
「みんなはお客様が限られた時間の中で最大限満足していただけるよう、接客・調理・おもてなしの努力をし、お客様を大切にします」。

最後の5章で、自然災害で客足が途絶えたときに、売上をさらに半分にした「佰食屋1/2」というぎりぎり低空飛行のビジネスモデルを考案したという話も面白かった。

非常に面白い取り組みであり、成功しているのであれば素晴らしいと思う。ただ、この本は2019年の本であり、コロナ禍をどう乗り切ったのだろうかという疑問は残った。

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