見出し画像

「MOE 2024年7月号」

「MOE 2024年7月号」(白泉社)

ヨシタケシンスケのお悩み相談を特集した雑誌。とにかくがんばらない、そんなこともあらーなという態度の答え方がとても面白かった。

 1 想像力が強すぎて読書には向いていますが「生きること」には向いていないなと感じています。どうしたら楽に生きられるでしょうか。
 これはですね、まず想像力が強すぎる方は、楽に生きられません(笑)。あんまり楽にならないっていうのは、知っておいた方がいいかなと思いますね。
(中略)
 楽に生きるっていうことは、何かに鈍感になっていくことに他ならないので、何かの楽しさを十分享受するためには、苦しさの感度も上がっちゃうんですよね。
生きることに向いてない想像力っていうのは、たくさんあるんです。それをいい方に考える、平和利用の方法を増やすしかないかなっていう。「ちょっと楽になっただけで儲けものだ」って思っていた方が、多分悩みの大きさは減るはずですね。(12ページ)

 8 よくあるアニメやマンガのようにスイカの種を飛ばしたいのに飛ばせません。何かいい方法はありませんか?
 これもかわいい質問ですよね。確かにスイカの種は難しいですもん、ちっちゃいから。
 だから、おっきな種から練習するといいんじゃないでしょうか。たとえばアボガドとか。
 種の大きさをいろいろ調べて、そこからだんだん柿の種とか、少しずつちっちゃくしていけば、最終的にスイカみたいなちっちゃいサイズの種でも、上手に飛ばせるようになるんじゃないかと思います。(14ページ)

 14 子どもはヨシタケさんの本が大好きでよく図書館から借りてきますが、読んでいる割にものごとを深く考えません。どうすれば先生のように深く考えることが身につくでしょうか。
 人間が何かを考えるときって、やっぱりそのときどきで適正な量を考えるので、たとえば今お子さんが本を楽しく読んでいて、でも深く考えていないのだとしたら、それはきっとお子さんにとって、それが一番適量だからなんですね。
 深く考えるっていう行為が、今のお子さんにとっては必要じゃないからなので、深く考えさせようとする必要はないと思います。
 多分、そこを無理に増やしても減らしても良くなくて。必要ができたときにはじめて、自分で深く考えはじめるはずなので、「どうすれば考える量を増やせるか」っていうのは、大人が考えなくてもいいと思います。
 深く考えたからといって、より良い答えが出せるとも限らないですからね。考えないからこそグイグイ行けちゃう人もいるし、深く考えるからこそ、臆病で進めなくなっちゃう人もいるので。まさにケースバイケースだと思います。(16ページ)

 17 普段から荷物が多いこと。毎日リュックを背負って、前世はロバだったかも、と感じています。
 これは別に、特に気にしなくていいと思いますけどね。荷物が重たい分、足腰も丈夫になりますし。人間は手ぶらじゃ生きていけませんから。
 持ち歩いてる安心感の方が大きいから持ち歩いてるわけであって、それはもう、必要な荷物なので。それこそ必要になるかもしれないものを持ち歩くっていうのは、大事なことだと思いますけどね。(17ページ)

 21 最近、特に他人ごとながら、心痛むことが多いのですが、そういうモロモロは一体どうしたらよいでしょうか。
 これはでも、本当にそうですよね。みんなにとって本当に難しいことで。何だろうな、心の痛み方にもよるというか。
 最終的には「心が痛みそうな情報を入れない」ってことしかなかったりもするんですが、そこから逃げてる自分に、さらにさいなまれるというか。負の悪循環みたいなものがあるので、その気持ちもすごくよくわかる、難しいところですよねえ。
 とはいえ、本当に心が痛みっぱなしになるのであれば、世の中の情報に触れる機会を減らしていくのは、大事なことのような気がしますね。今は何でも調べようと思えば調べちゃえるし、見ようと思えば見られちゃうし。自分を痛めつけるような方向に情報を集めてしまうっていう、人の心の癖みたいなものもあるので。
(中略)
 それから、もう理屈ではなく盛り上がれる何か、「この世は捨てたもんじゃないな」って思えるようなことを拾い集めていく。そういうことで、気持ちを紛らわせるしかないんですよねえ。
 そういう自分の心をケアするようなちっちゃいものを、普段から丁寧に拾い集めておく、コレクションしておくしかないんじゃないでしょうか。
 「はじめてレモンを食べた赤ちゃんの動画」とか、「もこもこにコートを着せられた赤ちゃんの動画」とか、そういうものにブックマークをつけて、自分がほっこりできる何かを集めておくのは、間違いなく必要ですね。(18-19ページ)

「かくれてしまえばいいのです」というサイトも作ったそうである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?