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「友だちの数で寿命はきまる 人との「つながり」が最高の健康法」

「友だちの数で寿命はきまる 人との「つながり」が最高の健康法」(石川善樹 マガジンハウス)

予防医学の研究者の著者による、「つながり」(人間関係)に基づいた健康法の本。何となく怪しげな本かと思ったが、きちんとした研究者がさまざまな観点から、「つながり」の重要性を出典とともに述べている。

 男子校の出身者は未婚率が高く、短命である。(38ページ)

 お見舞いに来てくれる人の数で死亡率が変わる。
 36ページのアラメダ研究のバークマン先生はこんな研究もしています。
 急性心筋梗塞で同じ病院で同じ治療を受けた人たちを対象として、お見舞いに来てくれる人の数と6カ月以内の死亡率の関係を調べたのです。
 それによると誰もお見舞いに来てくれない患者さんはおよそ70%が6カ月以内に亡くなるのですが、お見舞いに来てくれる人が2人以上いると6カ月以内の死亡率はわずか26%に抑えられているのです。
 これは現場の臨床医の間ではよく知られている事実です。同じように治療しても、誰もお見舞いに来ない患者さんは予後(治療後の経過)が悪いケースが多いのです。
(中略)
「つながり」は一方通行ではなくて双方向ですから、2回以上お見舞いに来てくれる人の数は、自分が2回以上お見舞いに行こうと思う人の数とほぼ同じになります。入院してからでは遅いので、自分が倒れたときの心強い援軍を作るつもりで、家族はもちろん病気の友達や親戚のお見舞いに行くようにしてください。(67-69ページ)

 男性は息子の嫁に介護されると長生き。
 イエール大学のHuman Nature Lab(ヒューマン・ネイチャー・ラボ)で博士研究員をされている西晃弘さんは、介護を受けるようになった人が、誰に介護されているかで、寿命がどう変わるかを調べました。その結果、日本の男性と女性では対照的な結果が出ました。
 男性の場合、息子の嫁に介護されると亡くなる確率がもっとも低く、その次が娘という結果でした。そして妻に介護されるといちばん寿命が短かったのです。
 女性は夫に介護されると亡くなる確率がもっとも低く、息子の嫁に介護されるとそうでない場合と比較して4.3倍も亡くなりやすいとわかったのです。(73-74ページ)

 76歳以上は毎日やっても飽きないルーティンを持つ。
 76歳から100歳までは「機能的喪失の時代」。生きていくための肉体的、精神的な機能を徐々に失っていく時代です。
 人生の最後のときに向けて日々淡々と生きていく年代になったときに重要なのは、毎日続けていても飽きない動作のルーティンを見つけることです。ルーティンとは、イチロー選手がバッターボックスに入ってから行う一連の動作のように、決まりきった一連の動きのことです。(106ページ)

全国亭主関白協会という組織は、将来妻に嫌われないために「亭主関白になる」ことをすすめています。全国亭主関白協会は「亭主が変われば、日本が変わる。日本の未来を明るくするのは、上手に妻の尻に敷かれる心とワザを持つ亭主力である」という理念で活動している団体です。(130ページ)

日本で行われた最新の研究によると、仕事以外にどういうコミュニティにどの程度属しているかが定年後の健康状態を左右しています。所属しているコミュニティの数が多い人の方が、要介護になりにくいし、長生きするのです。(148ページ)

結論から述べると、感情が伝染することがわかりました。つまり、ポジティブな投稿を多くみた被験者はよりポジティブな投稿をするようになり、逆にネガティブな投稿に接した被験者はよりネガティブな投稿をするようになったのです。(162ページ)

 ポジティブ心理学では、普通の人のメンタルを改善するさまざまな方法を開発しています。たとえば、寝る前に今日一日のうちにあったいいことを3つ書き出す「いいこと日記」。これはセリグマン教授がすすめる方法です。
 著名な行動経済学者のダニエル・カーネマンは「物事の印象はピーク時と修了時で決まる」というピーク・エンドの法則を提唱していますが、一日の終わりである就寝時に良いことに目を向けることでポジティブな気持ちになれるのです。(186-187ページ)

 イギリスで行われている「感謝の訪問」の効能。
 日本と同じように高齢化が問題になっているイギリスではある取り組みが注目されています。それは「感謝の訪問(Gratitude Visit)」です。
 これはポジティブ心理学で有効性が認められたものであり、イギリスの「国民健康サービス(NHS)」が中心となって呼びかけている、幸福度を上げるための国民運動の一つ。その取り組みは、BBC(英国放送協会)のドキュメンタリーで取り上げられるなど、国内外で反響を呼んでいます。
 長い人生を送っていると、かつてとてもお世話になったのに、そのことに関してまだきちんと感謝の気持ちが伝えられていない人が、誰にでもいるはずです。そんな人に、まずは感謝の気持ちを伝える手紙を書きます。
 そしてその手紙をポストに入れて郵送するのではなく、自分の足でその人のところまで届けて、さらに本人が開封して結婚式での両親への手紙のように、当人の目の前で朗読するのです。これによって少し疎遠になっていた人との新しい「つながり」が生まれて健康作りに役立つという発想です。(200-201ページ)

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