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旅の思い出 11

アンコーナからヴェローナに到着した。ここはご存知の方が多いかと思いますが、ローマの遺跡が沢山ある旧市街。スカルパの建築がある町、そして、ロミオとジュリエットの舞台であります。建築青年としてはここは外せない町で、ヴェッキオ美術館や銀行のファサード、スカルパ本で見た写真の実物が目の前にあった。
宿は旧市街を囲む川を望む斜面の上にある古い建物を改装したところだった。受付で二泊すると手続きを済ませると、食堂で食事をした。ヴェローナにくる途中でボローニャに寄り道したりして、いつものように歩いていたので疲れ切っていた。食堂にはピアノが置いてあって、イケメンが弾き語りをしていた。絵に描いたようなイケメンで、隣にはうっとりと彼の歌う横顔を見つめるこれもまた美人さんが持たれるように隣り合って座っていた。今でもその光景ばかり脳裏に焼き付いていて、建築のことなんてどこかへ行ってしまった。何を隠そう私も20歳からピアノを始めてこの度に出るまで続けていたのでした。正直そんなに上手くないし弾く気も起きなかったですが、彼の演奏を聴いてもう二度と引くまいと思ってしまった。
流石に若い二人の若者の恋の話の町なので、こんな場面に出くわすとは思っていませんでした。
この時女性がはっきりと恋に落ちる時はこんな顔するんだなぁとぼんやり見惚れていました。いや勝手に私がそう思って見ていただけです。女性に対して色々言いたいことのある男性たちもいるとは思いますが、女性はとても頼もしい人たちが多い。女性に文句を言っているようではダメで、そんなふうにしっかりとした信頼関係を結べるように、人間として魅力に磨きをかけないといけない。自分は10代から今までそこまでできていないので、まだまだです。

町自体は小さな町で、綺麗だった。時間が止まったような街で、スカルパもしっかりと見て、ジュリエットのバルコニーもしっかりと観光した。イタリアはそれまでいたスペイン、フランスともやはり違う。若者がとてもフレンドリーな印象だった。サッカーで共通の話題も多かったからかもしれない。スペインでもそうだったけれど、若い恋人が食堂で話していて、女性が色々話しかけているのに、男性がテレビのサッカー中継に夢中なんて場面位なども出くわした。その辺が日本人と似ているかもしれない。いや男は世界中そうなのかもしれない。

この後はスカルパ繋がりで、ヴェニスに向かうつもりでいたのだ。どうしてもイタリアといえばそこに行かねばならないところの一つだった。水に浮かぶ都市、かつて地中海にその名を轟かせた都市とはどういったところなのか。そのままアドリア海を対岸に回ってドゥブロブニクまで行きたいなと思っていたが、12月に入ってだんだんと寒くなってきて、帰国の時期が迫っていた。水没する前に行かないと!さらに北上する汽車に飛び乗ったのだ。

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