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ミラノ第2週 インテルミラノを訪問しサネッティにお辞儀してはスポーツ組織論と会計に阿鼻叫喚

今週はインテルミラノ(以下インテル)のホーム戦を訪問し、美食の国は最高だと実感。また、インテルとアルゼンチンのレジェンドであり、長友佑都選手ともプレーした現インテル副会長のハビエル・サネッティ氏の講義にも恵まれました。

そしてスポーツ組織論と会計の授業では毎日ヒーヒー言っていたものの、クラス一同そろそろヒーヒーすら言えなくなりそうなほど難しくも、これを乗り越えたいと思えるほど学びが多いです。そして週末はコモ湖にてのんびりしました。

インテルミラノは学生の強い味方

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課外授業でインテルミラノを試合日に訪問。最寄駅は日本のサッカーファンにはお馴染みかつイタリアのスポーツ市場にも注力しているダゾーンがネーミングライツを購入しており、駅構内もダゾーンのおしゃれな装飾で溢れていました。

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インテルのロッカールームやピッチ上のスタジアムツアーは他のツアーと同様ですが、この日は試合日だったこともあり、ロッカールームは実際の試合日モード(撮影NG)で全選手のユニフォームや用具が各々のロッカーに用意されていたり、様々なスタジアム演出のリハーサルが行われておりました。

上記写真はアジアサッカー連盟の加盟国メンバーで集合写真を撮ったものの、インド人の同級生が不在だったので後でオーストラリア人の同級生が合成写真をすぐに編集してくれる特技を発揮してくれました。

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隙間時間にはスタジアムに併設されているサンシーロ博物館を訪問。スタジアムの博物館なのでインテルだけでなくACミランの優勝トロフィーや過去の名シーンを映像で紹介しており、双方の歴史を学べる施設でオススメです。とはいえスタジアムを共同使用しているライバル関係は世界屈指なミラノ勢にしては展示物が少なかったと感じたのは先週訪問したカーザ・ミラノと同じでした。

それでも私が幼少期に最も憧れていた元ブラジル代表&元鹿島アントラーズのレオナルドの展示物にはシビれました。1996年に鹿島からパリサンジェルマンへ移籍する際のセレモニーで「みなさんありがとう、感動をありがとう」と日本語で述べた姿を今でも覚えています。

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今回の訪問で最も衝撃を受けたのはホスピタリティルームの食事の豪華さでした。当日までホスピタリティルームを訪問できるかは未確定だった不安は何処へやら、クラス全員が生ハムやラザニアなどに食らいつきました。私も同級生と「明日の朝食を食べられないほど食べようぜ」とお互いを鼓舞し合いながら胃袋を満たしました。

昨年末にスコットランドはエジンバラとグラスゴーにて享受したホスピタリティサービスの食事も美味しかったのですが、美食の国イタリアは別格でした。そしてこの日のホスピタリティルームの来場者は試合に熱中するというよりも、まずはホスピタリティサービスを満喫している方が多かった印象を受けました。

ハビエル・サネッティ氏の人生論

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試合翌日にはインテルだけでなく、アルゼンチンのレジェンドでもあり、現在はインテルの副会長を務めるハビエル・サネッティ氏がクラスを訪れて講義を実施してくださいました。自分の人生を捧げられるほどサッカーに夢中になれたことが本当に幸せであり、だからこそ心の底から負けず嫌いになれたという言葉にはただただ羨ましかったです。私はこれまで人生を捧げるほど夢中になれたことはあったかなー、と思い返したものの、それは今なのではと気を引き締め直しました。

また、サネッティ氏は国際色豊かなインテルでキャプテンを長年務めた経験から他者との価値観の違いに不満を訴えるのではなく、他者から学ぶ姿勢が強固なチームづくりの秘訣と述べていました。その謙虚さはテニス界の生きる伝説ロジャー・フェデラーと重なる点が多かったです。

そして本人に挨拶した際に日本人であると伝えた上でお辞儀をしたら「ナガトーモー!」と喜んでくださった際には長友選手の愛されっぷり、そしてオープンな性格に感謝の気持ちでいっぱいになりました。また、授業後の記念撮影時には20年ほど前に親に買ってもらったインテルのユニフォームにも快くサインしてくださり、サネッティ氏への憧れが高まりまくった90分でした。

脱ちんぷんかんぷんが求められる会計

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会計の授業ではパーセント表記された年次報告書を見て、それがどの団体(チーム、協会、メーカーなど)の物であるかを考えるグループワークが印象的でした。

例えば超名門のFCバルセロナと現在セリエAの19位で苦戦しているジェノアでは予算規模が大きく異なるので、選手の契約解除金(俗に言う移籍金)による収入や支出が全体予算に与えるインパクトは後者の方が大きくなる傾向が強いです。他にもF1チームはサッカーと異なり大会(試合)を主催しないので興行収入がゼロ%であったり、各競技の特徴を理解することが予算の組み方の違いへの理解につながります。

2週間後に実施される会計の試験では様々な評価指標の意味だけでなく、提示された決算報告書を評価する論述問題もあるため、試験対策としては授業で学んだ評価指標で一般公開されている年次報告書を理解するのが良いかと考えております。

スポーツ企業の組織の在り方

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組織論ではスポーツ企業のエコシステムを学びました。エコシステムを直訳すると”生態系”であり、上記写真は授業で例示されたセリエAの事業にどのようなグループが携わるかを考えました。当初私は利害関係のことかと思っていたのですが、利害関係以前に「セリエA」というリーグ戦、即ち大会の実施に必要不可欠な団体や企業などのことでした。

協会やスポンサー、代理店、メディア、所属チームや選手、ファン・サポーターなどのいずれが欠けてもセリエAは成り立ちません。そしてスポンサーやメディアがセリエAを通じてどのようにつながっているかを理解することが求められ、私たちがFIFAマスターを卒業後は広い視野を持ってスポーツ界に貢献しなければいけないとのことでした。

ふと先週の授業でACミランが全体予算を選手人件費、つまりは試合の勝敗に経営が依存し過ぎる経営体制は、同クラブの意思決定者が広い視野で「スポーツ界のエコシステム」を見ていないのではと授業の休憩時間に教授に確認したところ、その通りでした。とはいえ名門クラブであればあるほど組織体制を時代の流れに合わせることが困難であり、かつ経営難から主要株主が近年コロコロと変わっているACミランはクラブ内の組織体制も安定しない悪循環に陥っているとのこと。

「俺がACミランを変えてやる!」という大いなる野望を私は抱けておりませんが、組織論の授業では実際に上記のような分析が求められると思うと、授業がとても興味深いです。

勝利至上主義ではないバレーボール”共同事業体”

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スポーツ組織論への理解を深めるため、ミラノ近郊のモンツァ(F1ファンの方にはお馴染みの場所かと)を拠点とする「Vero Volley」というコンソーシアム(直訳すると”共同事業体”)を訪問しました。国内トップリーグに所属する男女両チームや育成年代のチームだけでなく、地域の小学校や中学校にてバレーボールの指導と普及を積極的に行っているVero Volley。

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常に優勝争いをするチームではありませんが、選手やスタッフにもACミランとは異なり「試合結果に依存しない」クラブの哲学を教育しているとのこと。スポーツの社会的価値や教育価値を地域社会と共有し、強固なエコシステムを確立していると会長だけでなくGMや監督、選手からも説明を受けました。そして上記の通り積極的な地域活動で自治たちとの強固な関係を築き、自前のアリーナを試合日以外に展示会や音楽イベントなどで貸し出してバレーボール事業以外の収入も確保することで持続可能な経営基盤を有しているとのこと。

ちなみに同チームに長年在籍している選手ほどチーム哲学を深く理解しているので、選手を引退してからスタッフへの転身もスムーズにできるそうです。Jリーグだと川崎フロンターレの中村憲剛選手が引退後はどのようにクラブに携わるのかが楽しみになりました。

アルプスの湖畔ことコモ湖へ

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週末はミラノから在来線で約1時間、往復1,500円ほどで行けるコモ湖へクラスメイトたちと訪れました。コモは避暑地なので1月だと観光客も少なく、のんびり散歩をしたり、丘の上へ行くケーブルカーの行列もスムーズでした。

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ケーブルカーで丘を上ってからさらに30分ほど歩くとアルプス山脈を眺めながらカプチーノ。「週末にアルプス山脈をイタリア側から湖とセットで眺めながらカプチーノを飲むってめちゃおしゃれだよな」と思いながら、井戸端会議に花を咲かせました。そして気がつけば留学生活も残り半年となり、就職活動についても具体的な話をしたり。

FIFAマスターでは卒業生の方が無償で在学生のメンターとなる制度があり、私も卒業生の方を紹介してもらいました。メディア業界での就業経験があり、世界最大のサッカー市場規模を誇るヨーロッパで働きたくても欧州連合のパスポートを有していないことは大きな懸念材料となるので、同様の経験をされた方を幸いにも紹介してもらえました。とにかく行動を起こして可能性を広げたいです。

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毎週末どんだけ遊びまくっているのかと思いつつ、欧州留学中だからこそできる体験を今後も継続するためにも引き続き平日は勉学と節約に勤めます。とはいえ放課後に帰宅してからショートした頭を休ませようと横になったら2時間ほど寝てしまったり、思い通りにはいっていないのも事実。レスターで一念発起して始めたフランス語の勉強も11月末から手付かずです。何はともあれ「昨日より充実した今日にしよう」を胸に引き続き頑張ります。

卒業研究は脱レスターが最初の試練

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日曜午後には日常の講義と同時進行で取り組んでいる卒業研究の中間課題を提出。先行研究を分析し、自分たちの研究へのヒントを得たり、話を聞きに行きたい方を探すことも求められているのではと思い、とても前向きに取り組むことができました。とはいえまだまだ先は長いので、こちらも良い研究ができるように4人それぞれの強みを発揮して取り組めればと思っております。

ちなみにミラノの街はパーカーとスウェットで通学することに罪悪感を抱いてしまうほどオシャレな美男美女が溢れています。それでも今日は日曜で大学にいる人も少ないし、家から徒歩5分なので寝癖を治さなくても良いかと思って上記写真の姿で大学の打ち合わせ室に行ったところ、全員が同じような状況でした。

学生の街レスターでの習慣を脱し、ミラノ流を体得することなどミラノでの試練は山積みですが引き続きガンバります!

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