渡邉美樹氏がワタミをブラック企業にしたのは愛情不足ゆえか
皆さんこんにちは。
渡邉美樹議員の「週休7日は幸せか」発言が物議を醸していますね。
渡邉美樹議員については以前に彼の著書を読んだことがあり、ちょっと思うところがあるので、この機会に所見を書いておきたいと思います。
というのも、僕がビジネススクールに通っていた際、最初の課題で出たのが、渡邉美樹氏の著書の感想を書くというものでした。
電子書籍版ではこんなおとなしい表紙ですが、紙の本の表紙はえげつないことこの上ありません。
夢に日付を! ~夢実現の手帳術~
もう、表紙の時点でドン引きです。これをみんなに感想を書けと。僕を含め、多くの同期の方が困惑して拒否反応を示していました。
そして当時、僕はわりと適当に流しながら書いて提出しました。スクール側の意図が分かりかねるのですが、この際それは考えないことにします。
婚活の最中においてようやく自分と向き合うことができた僕ですが、今、その当時本当の意味でこなせなかった課題を、いま自分が向き合っている【愛情不足】【愛着障害】の観点から消化したいと思います。
渡邉氏はその生い立ちで愛情不足に陥ったのではないか
まず【愛情不足】とはどういう状態かというと、ざっくり言えば、親からの愛を子供の頃に受け取れなかったことにより、大人になっても人間不信やコミュ障など、生きづらさを下手すれば一生抱えたままになっている状態で、これはいくつかのタイプに分類されて【愛着障害】と呼ばれています。
親からの虐待やネグレクトやDVなどにより愛情不足となった場合は【アダルトチルドレン】になることも多々あるそうですが、そうでない場合でも、親の言動ひとつで子供が親の愛を感じられなくなり、愛情不足になる場合があります(僕がそうです)。また、親を亡くしたり生き別れたことで愛情不足になるケースもあります。
渡邉氏の場合、10歳(小4?)で母親を亡くし、小5で父親が会社を清算しました。この時点で彼は生きる希望を失ってしまっているわけです。
通常、子供は親(主に母親)が無条件で愛してくれ、自分が生きるべき人間であるのを確信していることにより、帰るべき場所があるという安心感を以て親から離れて動き回り冒険をします。このときの養育者(母親)を【安全基地】と呼びます。
渡邉氏は10歳の幼さで安全基地を失い、そこから1年かそこらで父親も事業に失敗しました。これでは健全に育つことができません。
彼は本書の中で「一日を120%で生ききる」「心を休ませてはいけない」「目標」など、仕事に直結するワードをことさら強調しています。そしてその先は必ず「夢」に辿り着きます。これの何が問題なのかというと、不足している愛情を夢で埋めていることなのです。
ワタミが掲げる経営理念が「ありがとうを集める」というのは多くの人が御存じだと思いますが、「夢を掴むこと」と「ありがとうを集める」ことの共通項は、"夢" "ありがとう" を【不足した愛情】に置き換えられるということにあると僕は考えます。そこには他人を利する心が感じられません。二つとも主語は「自分」です。言ってしまえば「自分さえよければいい」の究極の姿です。
渡邉氏は「仕事依存症」か
愛情不足の人は、何かに依存する傾向が多々あります。愛を感じたことがないので他の何かで心を満たそうとするのです。その対象がギャンブルだったり恋愛だったり買い物だったり、あるいはセックスだったりと人によって様々ですが、渡邉氏の場合は「仕事依存症」とでも呼ぶべきでしょう。仕事で成功して夢を手にすることにより心を満たそうとしているのです。手帳術の全ては自分の心を満たすための中毒症状です。
母親を亡くしてから数十年経っても心が満たされていない……その証左が「週休7日は幸せか」発言なのだと思います。
僕はスクール入学当時、この課題で
この本には(渡邉氏を直接的に支えた)他人が全く出てこない
と書いた覚えがあります。彼は偉人の発言は多用しますが、彼の尊敬する人物というのはまったく出てきません。僕自身、高校入試の面接で「尊敬する人物は誰か」という質問に答えられなかった経験があるのですが、それと同様で、信頼を置く人物がいないのでしょう。彼は部下を叱ったりしたことは幾度も書いていますが、従業員を尊敬するといったことはまったく書いていません。
愛情不足の人は、とかく人間不信に陥りやすいです。感情を失ってしまう人もいます。人間不信という観点で読んだ場合、彼は人を信用していないということがよくわかります。従業員に対しては「~すべき」論調、ビジネスパートナーはその存在すら示唆されていません。
自らも信用できず自他を害する渡邉氏
本書の渡邉氏の発言で僕が引っかかったのは「予定は"弱い自分"という敵」というところです。夢に向かって自分のやりたいこと(自分を肯定する手段)を「弱い」と否定し敵視し、それを乗り越えるために生きているのです。やっていることがメチャクチャです。これでは心が満たされませんね。
表紙の赤く塗りつぶされた手帳は、やっつけた予定を達成感を以て塗りつぶすのだそうですが、この手帳術で彼は自分を否定し続けている。その象徴が赤ペンであり、彼の過去の予定は「愛されなかった自分の屍」なのです。弱い自分を乗り越えたように見えて、実は弱い自分に向き合わずに目を背けている。だから弱者の気持ちが理解できないのです。
冒頭で、愛情不足は生きづらさを感じると書きましたが、この生きづらさで大人になっても恋愛や仕事で苦労し、低収入のまま一生を遂げる人が多いのも特徴の一つです。しかし渡邉氏の場合、彼の仕事に対する依存体質とバブル景気がうまいことマッチしてしまい、そこから全てが狂ってしまったと言っても過言ではないでしょう。
著書には、開業資金を貯めるために23歳で運送会社に入社し、300万円を貯めたとありますが、その運送会社というのは佐川急便だそうです。上記の話が本当なら300万円は半年もあれば貯められるわけですが、渡邉氏は1年かかった。つまり渡邉氏は当時の佐川の中では売れないセールスドライバーだったと見て取れます。年功序列もあるだろうから本当にそうだったかはなんとも言えませんが、成績不振になるほどの愛情不足でもバブル期ゆえに人生の成功体験を積んでしまったことが、現在に至るまでワタミ従業員の生活を破滅に追いやっていることは間違いないのです。
依存先が仕事だったためか、まかり間違って(客観的には)人生で大成功してしまいました。これによってワタミはブラック企業の代表格になり、自分が満たされるために他人から幸せを奪う結果を出してしまい、今なお議員としてそれを継続しようとしているのです。
人生で成功してしまったように見える【アダルトチルドレン】には、ビル・クリントンやスティーブ・ジョブズがいます。ビル・クリントンは愛着障害により大統領任期中に数々の不倫スキャンダルを起こし、ジョブズは愛着障害を克服するまでApple社を事実上独裁していたとも言われています。成功しているように見えても、愛情不足は自分も他人も虐げているということを彼らはその生き様で示していますが、それを現在進行形で証明しているのが渡邉氏なのだと思います。
書いている途中で、当時の課題のWordファイルが出てきました。そこには
人との関わりや助け合いの心なくして、どうして社会起業家を名乗れるだろうか
とありました。当時の僕は人を信用できなかったなりにも、自分で気づかないうちに自分と向き合おうとしていたのかもしれません。その意味で、ビジネススクールを通していろいろな縁を得られたことには本当に感謝するものです。
どうにかして本当の意味で愛を知り、社会起業家として他人を利することに邁進していきたいと思います。
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