マガジンのカバー画像

native | FIELD assistant

139
NPO法人フィールドアシスタントがお届けする、世界各地の人たちに暮らしの知恵を求めて話を聞くポッドキャスト「ラジオネイティブ(radio native)」を公開中。このマガジンは… もっと読む
運営しているクリエイター

#日常

nativeとは

厳しい環境の中にこそ、美しい暮らしがある これは極地建築家・村上祐資の信念だ。地球上で「極地」と呼ばれる場所は、牙をむいた自然が目の前に迫り、人を容易には寄せつけない。だが、そんなところでも人は暮らしを続けている。日本の南極観測隊はもう60年以上、雪と氷の地で暮らしをつなぎ続けてきた。富士山の山頂で観測を続ける人、あるいはヒマラヤのベースキャンプで登山家を見守る人たちもいる。村上はそんな場所に出かけては、もう1000日以上、暮らしてきた。建築家としての関心は、極地の暮らしのな

【読むラジオ】#023 日常の中にこそネイティブはある

揺るがない、暮らしに安定をもたらす存在今井)これまで「ネイティブを知る」様々なゲストをお呼びして、暮らしをつなぎ続けるヒントについて話を聞いてきたわけですが、今回と次回は、これまでの話を振り返り、あらためてネイティブって何だろうと考えてみたいと思います。 村上さんはどんな話が印象に残っていますか? 村上)いろいろなフィールドに長くいる方々に話しを聞いてきたわけなんですけど、僕らは先駆者パイオニアという言葉の対比としてネイティブという言葉でこの番組をさせていただいてるんですけ

【読むラジオ】#010 あいさつは「ご飯食べた?」

デザインの力でカンボジアに貢献したい今井)4回目の今回はずばり、貝塚さん自身について伺いたいと思います。貝塚さんの今のお仕事や活動についてお話を伺えたらと思います。 . 貝塚)私は神奈川県の出身で、高校まで普通の生活をしていたんですけれども、高校卒業のタイミングでカンボジアに初めて行くことがあり、そこでカンボジアにドハマリしたんです。大学に進学し、デザインを専攻していたんですけれど、そのデザインのかたわらカンボジアに行きたくてしょうがなくて、第3外国語でカンボジア語を専攻し

【読むラジオ】#009 挑戦しやすい空気感

笑いが大好きなカンボジア今井)カンボジアと日本でデザインの仕事をされている貝塚乃梨子さんにお越しいただいています。今回は普段から一緒に仕事をされているカンボジアの人たちについてお話を伺いたいと思います。早速ですが、カンボジアの人たちの一番の魅力って、どういうところにあると思いますか? 貝塚)これは、楽観的なところです。お二人は「コブミカン」って、ご存知ですか? エスニック料理とかによく使われるミカンのゴツゴツしたやつなんです。日本だとこぶがあるように見えるからコブミカンなん

【読むラジオ】#008 家の前にマンゴー

今井)前回からカンボジアと日本を往復してデザインで社会の問題に取り組まれている貝塚乃梨子さんにお話を伺っています。 前回はカンボジアの人達の言葉や、人々のコミュニケーションについてお話を伺いました。 「私の半分はカンボジア語で出来ています」 村上)カンボジアの言葉がすごく柔らかいというか、「ニャ、ニィ、ニュ、ニェ、ニョ」っておっしゃっていたと思うんですけど、それを聞いて僕は貝塚さん自身の雰囲気とすごく似てるなと思ってですね。僕の知ってる貝塚さんの半分ぐらいはカンボジア語でで

【読むラジオ】#007 カンボジア語はかわいい?

今井)前回まで吉川舞さんから「大地に根を張って暮らす人々」や「遺跡に対しての向き合い方」などについてお話を伺ってきました。ラジオネイティブは今回で7回目となりますが、新たなゲストをお招きしますます。村上さんからご紹介お願いできますか。 言葉を通してみるカンボジア村上)はい、日本とカンボジアでデザイナーをされている貝塚乃梨子さんです。今回は帰国中ということで宮城県からご登場いただきます。僕は貝塚さんとカンボジアでお会いしたんですけれども、本当にも現地の人と間違うくらいに現地に

【読むラジオ】#006 人間が長く重ねてきた時間の中に生きるということ

この瞬間を共に生きている喜び今井)カンボジアで旅行会社ナプラワークスを運営されている吉川舞さんにお付き合いいただいてきましたが、今回で最終回ですね。 村上)ちょっと足りないんじゃないですか(笑) 今井)吉川さんには前回、カンボジアの社会にどう入り込んできたかという話を頂いたと思うんですが、村上さんどうでしたか? 村上)僕は吉川さん自身のことにすごく興味を持ちました。カンボジアの人に憧れて、でもカンボジア人にもなりきれない、でもそうなりたい。異邦人でありながら地元の人にも

【読むラジオ】#005 一瞬の動きと、積み重ねてきた時間

カンボジア中部のサンボ―・プレイ・クック遺跡を中心に現地で旅行会社を運営している吉川舞さんに、地元の人から学ぶ「暮らしの意味」についてお話を聞いています。 身体に体感値を蓄積していく 今井) 今回は吉川さんが普段から関わっていらっしゃるカンボジアの人たちについてお話を伺っていきたいと思います。僕たちのこのポッドキャストは「ネイティブ」という名前がついますが、地域に暮らし続けて暮らしをずっと長く続けている人達に敬意を表したタイトルなのですが、カンボジアの人たちの魅力とは吉川

【読むラジオ】#004 当たり前の一瞬に、いかにお邪魔させてもらうか

前回からカンボジアの中部にあるサンボープレイクックという遺跡を中心に、現地で旅行会社を運営される吉川舞さんにお話を伺っています。 カンボジアの人たちのエネルギーが、上昇気流になって昇ってきた今井)「遺跡」と聞くと、どうしても堅苦しいというか、文明や歴史を理解しておかなきゃいけないんじゃないかと思ってしまいますが、吉川さんの話を聞くとちょっとイメージが変わりましたね。 村上)そうですね。前回、吉川さんが遺跡のことを「町の寡黙なお父さん」という例えをされているのを聞いて、僕ら

【読むラジオ】#003 遺跡はカンボジアの「無口なお父さん?」

「遺跡生態系」に生きる遺跡と人々今井)3回目となる今回、初めてゲストをお招きしました! 今回はカンボジアで遺跡を案内する旅行会社、ナプラワークスを運営されている吉川舞さんです。現地カンボジアからご登場いただきます。 吉川)よろしくお願いします! 今井)最初はまず、吉川さんのいらっしゃるカンボジアの目の前の世界についてお伺いします。吉川さんは遺跡を案内する時に、「遺跡生態系」という言葉でこれまでご説明されています。カンボジアの方々とどんな関わりを持ちたくてこの言葉に行きつい

【読むラジオ】#002 「未来は変えられない 変えられるのは過去だ」

ポッドキャスト「ラジオネイティブ」を始めました。2回目までは自己紹介を兼ねて、僕たちが考えていることを代表の極地建築家・村上祐資と話します。タイトルの言葉は極地の暮らしを考えてきた村上が極地で至った言葉の一つです。どんな意味なのでしょうか。ポッドキャストの内容をもとに加筆修正したテキスト版でどうぞ。 「未来は変えられない、僕らが本当に変えられるのは過去だ」今井)NPO 法人フィールドアシスタントの今井尚です。ポッドキャスト 2回目となりましたけれども、1回目はレディオ・ネイ

【読むラジオ】#001 「ネイティブ」って何?

NPO 法人フィールドアシスタントがポッドキャスト「ラジオ・ネイティブ」を始めました。もうお聞きいただいたでしょうか? ここでは放送をベースに、加筆修正したテキスト版をお届けします。耳で、文字で、是非いろんな人に聞いていただければと思っています。どうぞよろしくお願いします! お届けするのはNPO法人フィールドアシスタント代表の極地建築家・村上祐資と、ネイティブ編集長の今井尚です。 「ネイティブ」って何?今井)やっぱり最初はこの「native」という言葉ですよね。辞書的に言う

ポッドキャスト始めます

 突然ですが、ポッドキャストを始めることにしました。  私たちは2019年にフィールドアシスタントというNPO法人を設立しました。極地建築家の村上祐資を中心に、旅や冒険、人間の暮らしに関心を寄せるメンバーが集まり、「極地と呼ばれる厳しい環境での暮らしにこそ、私たちの暮らしの根幹にかかわる大切な何かがあるのではないか」との信念で、活動を始めました。  退役した元南極観測船「SHIRASE 5002」を活用して行った模擬宇宙生活実験では、この船を「火星に向かう宇宙船」に見立てて

越冬を終えて

#10年前の南極越冬記 2010/3/23ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。 ◇◇◇ 3月19日に日本へ帰ってきてから数日が経った。シドニー港でしらせと別れ、僕らは空路でひと足先に日本へと戻ってきたのだ。成田で出迎えてくれた、もう間もなく子供の生まれる妹の大きなお腹を見て、15ヶ月という空白の時間を実感した。1年前に昭和で別れ、すっかり普通になってしまった50次夏隊の仲間たちの笑顔が嬉しかった。家族友人、世話になった皆さん