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native | FIELD assistant

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NPO法人フィールドアシスタントがお届けする、世界各地の人たちに暮らしの知恵を求めて話を聞くポッドキャスト「ラジオネイティブ(radio native)」を公開中。このマガジンは… もっと読む
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#ネイティブ

nativeとは

厳しい環境の中にこそ、美しい暮らしがある これは極地建築家・村上祐資の信念だ。地球上で「極地」と呼ばれる場所は、牙をむいた自然が目の前に迫り、人を容易には寄せつけない。だが、そんなところでも人は暮らしを続けている。日本の南極観測隊はもう60年以上、雪と氷の地で暮らしをつなぎ続けてきた。富士山の山頂で観測を続ける人、あるいはヒマラヤのベースキャンプで登山家を見守る人たちもいる。村上はそんな場所に出かけては、もう1000日以上、暮らしてきた。建築家としての関心は、極地の暮らしのな

ラジオネイティブでつかんだことと、これから

今井 いよいよ村上さん今回で記念すべき100回目ですね 村上 そうですね、いよいよ迎えたなと思いますけど、僕はこのポッドキャストってものは初めてなんですけど、ラジオ番組は以前パーソナリティーとして3年ちょっと持たせていただいたことがあるので、こういうふうに話すのは違和感はなかったですけど、今井さんは初めての経験ですよね。 今井 はい、トークは不慣れで、それは100回やっても「変わらなかったこと」ですね・・・ 村上 変わらなかったですか(笑)。逆に変わったところというか、

訪問者でも住民でもない、間の人たちの声

19人の、支える人たち2021年3月から毎週続けてきたラジオネイティブがいよいよ100回をむかえようとしています。これまでに出ていただいたゲストは19人。特徴は、さまざまな地域やフィールドで活躍されていながら、その地域・フィールドの生活者ではなく、かつ、一時的にやってきた訪問者でもない。その間に立って、誰かと誰かをつなぐような、舞台裏で活躍する人たちだったと思います。多くのヒントから何を受け取ることができたのか、今の思いを2回にわたり、フィールドアシスタントの村上祐資と、この

コミュニティーの無名性と、身の丈の規模感

不在の人も含めた街今井 前回からここ3回のシリーズの振り返りをしています。前回は、地域に根付いて暮らしていくにあたって、まず個が必要だという話と、暮らしていくためには仲間にあたるコミュニティーが必要という話にもなりました。このコミュニティーという言葉について、村上さんはどういうイメージを持っていますか。 村上 一般的にいえばコミュニティーっていうと、そこには社会、ソサエティーみたいな意味も裏にあるような気がしています。それなりの人数がいながらコミュニケーションをしているよう

震災から5年 熊本・益城町の「まちづくり」の今

暮らしをつなぎ続けるヒントを考えるポッドキャスト「ラジオネイティブ」を、テキスト版でお伝えします。今回は熊本県益城町の町職員で、まちづくりの仕事をされる桑原孝太さんの2回目です。 都市と自然に囲まれた暮らしやすい町村上 熊本県益城町の益城町役場で職員をされている桑原孝太さんにご登場いただきます。益城町といえば、みなさんもニュースで聞いたことあると思いますけども、5年前に大きな地震があって被害があった町です。桑原さんは今、その益城町の都市計画課にいてまちづくりに携わっています

【読むラジオ】#028 感じる経験をさりげなく しまなみ野外学校、がってんさんの伝え方

25年のカヌーガイド経験を生かして今井 FC今治の夢スポーツで野外教育に携わる木名瀬裕さん(がってんさん)とのお話も最終回です。がってんさん、そもそも野外教育の世界に入られたきっかけはなんだったんですか? がってん 今、52歳になるんですけども、もともと25年間ぐらい北海道でガイド業をやっていました。ガイドをやるきっかけがの一つが阪神淡路大震災だったんです。人と自然がもう少し近づけばいいなと思ってやっていたんですが、また東日本大震災があった時に、自分がどこまでそういうことを

【読むラジオ】#027 野外での経験が子どもたちにあたえるもの

自信を失う経験から、子どもたちの意外な関係が始まる今井 長年、野外教育に携わってこられて、がってんさんが子どもたちをファシリテートするときに、大切にされているエッセンスはどこにあるんでしょうか。 がってん 一番ですか・・・。僕は子どもたちにプログラムを伝えるのですが、時間が経つにつれ、そのプログラムが自分が思い描いていたプログラムと違うとか、思い通りではないことに気がついてきた時に、自信だけは失わないでいてほしいんですね。なので、ちょっとそうなったときには支えるように気をつ

【読むラジオ】#026 サッカーと野外教育の意外な共通点

これからはサッカーだけじゃない 岡田武史さんとの出会い今井 がってんさんは FC 今治の「夢スポーツ」に所属されているということですがどういった団体なんですか? がってん FC今治は JリーグのJ 3にあたるんですが、そこのサッカーを運営してる会社が夢スポーツといいます。 その中の野外教育や教育分野に所属しています。その中の「しまなみ野外学校」っていう部分になります。 今井 がってんさんはガイドとして活動されてるということですけれども、どういう役割を果たしていらっしゃるん

【読むラジオ】#025 コミュニケーションは築くのではなく、気づくもの

しまなみの自然で自分に出会う村上 今回から、愛媛県今治市から、しまなみ野外学校で野外教育活動されている木名瀬裕さんにご登場いただきます。木名瀬さんは、今、野外という言葉が出てきましたけど英語でいうとアウトドア(ドアの外)ですけど、僕はドアの外の人じゃないと思っています。もう「野外が家」というか、野外がインドア?っていうんですかね。そこに来訪れる子供たちやそういった人たちに伝えたり、見せたり、そういったことをされてる方と思ってます。 木名瀬(がってん) 木名瀬といいますけど、

【読むラジオ】#024 見えてきた、暮らしをつなぎ続けるヒント

視野を広げ、ネイティブの視線で見てみる今井)前回と今回は改めてこの「ネイティブ」って何なんだろうということを村上さんと私の方で話をしています。前回はカンボジアから始まったこのシリーズについてふり返りましたが、スペシャルな出来事ではなく、日常みたいなところにキーワードがあったと思うし、変わらないもの、不変のことに注目していくべきなんだろうなと思いました 。 村上)驚くほどって言ったらあれですけど、何に時間を割いてる、重きを置いてるのか、みたいなところで、ゲストのみなさんがあら

【読むラジオ】#023 日常の中にこそネイティブはある

揺るがない、暮らしに安定をもたらす存在今井)これまで「ネイティブを知る」様々なゲストをお呼びして、暮らしをつなぎ続けるヒントについて話を聞いてきたわけですが、今回と次回は、これまでの話を振り返り、あらためてネイティブって何だろうと考えてみたいと思います。 村上さんはどんな話が印象に残っていますか? 村上)いろいろなフィールドに長くいる方々に話しを聞いてきたわけなんですけど、僕らは先駆者パイオニアという言葉の対比としてネイティブという言葉でこの番組をさせていただいてるんですけ

【読むラジオ】#022 変わりゆく小笠原に通い続けて

旅人ではいられなくなった瞬間今井)有川さんはそもそもどうやって小笠原と出会ったんでしょうか。 有川)私の先輩が受けるはずの仕事だったんですけど、ちょうどご出産されたということで、私関わりに受けたんです。それはライターの仕事じゃなくて、観光プロモーションビデオに出演するっていう仕事だったんです。それで父島と母島に行ったのが最初でした。 村上)いずれはライターの仕事で何かできるかなと思いながら行かれたんですか? 有川)もうその時は、行く機会があまりない所に行けるっていう、

【読むラジオ】#021 引き継いだ、小笠原を守る熱量

再拡大した野猫今井)今回は小笠原の「ネイティブ」の人たちについてお話を伺いたいと思います。貴重なアカガシラカラスバトを守るために小笠原の人達がとった道というのは、鳥だけでなく、原因であった野猫も守る道だったということです。この辺りから伺っていきたいと思います。 有川)今小笠原で外来種として一番脅威なのは野猫です。それは鳥や昆虫などを襲うからです。島からとにかく排除しなくてはということになったのですが、島の中から「猫を守って」とい声が上がって今の動きがあるわけでは実はありませ

【読むラジオ】#020 小笠原へ移住して分かったこと

活気に満ちた「若い島」今井)小笠原諸島にくらす貴重な鳥、アカガシラカラスバトの保護をめぐる動きと小笠原の暮らしを長年取材されているライターの有川美紀子さんに、元南極観測隊越冬隊員の村上祐資さんと一緒にお話を伺います。 前回、この鳥の保護活動に島の人が一丸となって取り組むきっかけとなったのが島で開いた国際会議だったという話を伺いました。 村上)僕は、聞けば聞くほどやっぱり不思議だなっていう感触が今も残っていています。その会議をきっかけに、どうしようかと皆さんが話し合われて、少