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NPO法人フィールドアシスタントがお届けする、世界各地の人たちに暮らしの知恵を求めて話を聞くポッドキャスト「ラジオネイティブ(radio native)」を公開中。このマガジンは… もっと読む
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2020年1月の記事一覧

模擬宇宙生活実験のクルー(女子大生)

髙階美鈴さん「本気で死ぬと思いました。といってもまあ、実際は別に死なないんですけど・・・」宇宙服を着た船外での活動中に、宇宙服に空気を送るバッテリーが切れそうになり、髙階さんはかなり焦っていた。なにしろここは「宇宙」であり、バッテリーが切れるということは、すなわち「死」を意味するからだーー。 2019年2月から3月にかけて、4人のクルーが16日間にわたり閉鎖された環境で過ごす「模擬宇宙生活実験」が千葉県船橋市の元南極観測船「SHIRASE」船内で行われた。企画したのは極地建

模擬宇宙生活実験の管制官

地球から火星まで往復3~4年。その長い旅に関わるのは、飛行士だけではない。同じ期間、地上で見守り続ける人たちがいる。「管制官」はその象徴的な役割だ。 北極冒険家の事務局・栗原慶太郎さん将来の火星飛行を想定し、閉鎖環境で過ごす実験が近年、アメリカをはじめ世界各国で盛んに行われている。だがそのどれもが飛行士に注目したもので、管制官を想定した実験はほぼない。2019年2月から3月にかけ、千葉県船橋市の元南極観測船「SHIRASE」船内で行われた実験では、管制官が2名配備された。

定時交信のお作法

#10年前の南極越冬記 2009/8/29ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。 ◇◇◇ 今週は2パーティが野外オペに出ているので、基地には普段の2/3の人数しか残って居ない。今回は僕も珍しく基地でお留守番。人数が少なくて寂しいので、シェフの発案でみんなで一つの大テーブルを囲んでの食事になった。おまけにMWF以来のコース料理!みんなでワインで乾杯なんかもして、楽しい晩餐会になった。「留守番もいいなあ!」なんて思ったけど、僕は来

人員装備“異常アリ”

#10年前の南極越冬記 2009/8/21ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。 ◇◇◇ やってしまった・・。長期で野外に出ると、僕らは毎晩昭和基地と無線で定時交信を行うのだけれど、50次では初めて「人員、車両、異常アリ」を報告することになってしまった。しかも「人員」の異常は、僕自身なのだ。 事の起こりはこうだ。雪上車の故障による作業の遅れで1日延泊になった、4泊5日のS16オペの4日目、昼飯の時間に、前日から少し元気が無か

ルート開通

#10年前の南極越冬記 2009/8/8ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。 ◇◇◇ 何とかラングホブデまでのルートが通った。これから何度もこのルートを往復し、観測を行うことになる。開通前の最後のオペは、予報には無かった悪天候のせいで途中基地に引き返した事もあって、3日連続で海氷上で行動となった。 いつもそうだけれど、海氷の上に立っていると嫌なイメージばかりが頭をよぎる。ここで海氷が割れたら、 雪上車のトラブルが起きたら、