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古今東西、珍しいメガネのコレクションから、技術の変遷を感じる 〜 「東京メガネミュージアム」

『企業博物館』インタビュー (1)

メガネの歴史を学ぶ ー 眼鏡ミュージアム では、当社が長年かけて収集した数百点ものアンティーク眼鏡、ケース、補聴器、光学器類の中から厳選したコレクションをご覧いただけます。15代将軍徳川慶喜公が使用した「天眼鏡」や、ベートーベンが使用したといわれるものと同型の「ロンドンドーム型集音補聴器」などの珍品もあり、古人のアイディアやチャレンジなど、眼鏡や補聴器の歴史を通し技術の変遷を感じてみてはいかがでしょうか。
(設立趣旨:公式URLより)
以下、interviewee:今泉様(東京メガネ 宣伝室 室長)
interviewer:木原(フィールドアーカイヴ 代表)
(インタビュー収録:2019 / 11 / 19 )

「東京メガネミュージアム」ができたきっかけは?

当社の四代目社長である白山晰也(しらやま せきや)が古いメガネのコレクションをし始めたことがきっかけです。
白山晰也は現在の五代目社長である白山聡一(しらやま そういち)のお父様にあたります。

相当数のアンティークメガネが揃ったとのことで、現在、260点程度、展示しております。

今までコレクションしてきたものを、一般のお客様にもご覧いただき、メガネに関して興味をもっていただこうと、14年前の 2005年 (平成17)年に現在の場所に開設しました。

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他の記念館にはないユニークな品や見せ方とは?

ユニークな品としては、現存する日本最古の眼鏡とされている、室町幕府12代将軍・足利義晴(1511-1550)が所持していたという眼鏡の、精巧なレプリカを間近でご覧いただくことができます。
その他、1350年代の複製の木製や象牙製のリベットメガネをはじめ、西洋国内で普及した鼻メガネ、日本国内で普及したひも付き鼻当て付き眼鏡など、各国で独自に発展していった眼鏡の歴史を実物を見ながら知ることができます。

正統なメガネフレーム類とは別に、変わったフレームの収集も数多く、例えばスパイグラスやオペラグラス、単眼鏡や2000年メガネ、横になってみるメガネ、犬用のメガネなど、おもしろいメガネも収集していますし、頭痛を治すための眼鏡、鉄道士用保護眼鏡、さらには1940年代のプラスチック製強角膜コンタクトレンズなども展示しています。

老舗メガネ店ならではの品として、明治時代の検眼器や、創業 - 1883 (明治16)年、日本橋人形町 - 当時に使用された特注のメガネ柄接客用ひばちなども見ることができます。

見せ方としては、ご見学の際には必ず、当館スタッフが一緒についてご説明をし、随時質問に受け答えしながら見ていただくというスタイルをとっております。

開館当初の見せ方から変化した部分は?

2005年 (平成17)年のメガネミュージアム開設以降、多少のレイアウト変更などはありましたが、基本的には、開設時当初の見せ方をしております。

四代目社長の白山晰也は、メガネフレームの収集と共にメガネの歴史にも精通しており、ダイヤモンド社から『眼鏡の社会史』という本を出版しております(現在絶版中)。

本を読まれてミュージアムに来館していただく方も多くいらっしゃいます。

施設の運営維持にあたっての苦労や困りごとは?

数多くのアンティーク品を展示しており、来館していただいたお客様に分かりやすく丁寧に説明するために、1つ1つの展示品が作られた時代背景やどういった使用用途・目的があったのかを調べる作業が一番大変です。

日々勉強しながらご案内させていただいているのが現状です。

あと、展示されている品々のメンテナンスや取り扱いですね。
まれに店舗での催事でミュージアム品の展示依頼があるのですが、展示されている品々は壊れやすいので、取り扱いには常に細心の注意を払っています。

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「東京メガネミュージアム」にご来場の方々にメッセージを

見学をご希望の方は、弊社ホームページの「東京メガネミュージアム<S・T・A・G・E>」に記載しておりますメールアドレス、または電話番号にご連絡いただきますよう宜しくお願いいたします。

個人のお客様、学校や企業・団体は問いません。見学とガイドは無料です。
ご予約いただかないと、すぐにご対応できかねる場合がございます。
ご来館の際にお待たせすることなく、ご対応させていただくためにも、事前にご予約いただくことをおすすめいたします。

日本国内で、このようなアンティークメガネ、ケース、補聴器、光学器類を多数展示しているところはないと思いますので、その歴史の数々を感じていただけますと幸いです。
宜しくお願いいたします。

見学した際の感想:

目が良くなる道具である眼鏡が「悪魔の仕業」とされていて、進歩が妨げられていた時期があったという話が面白かったです。
そのほか、頭痛を直す眼鏡とか、今では1種類の使い道(視力矯正)しかない眼鏡に対し、あらゆる方向に可能性を求めていた時代もあったのかと感じました。
それにしてもよく集めたなぁ!というのが感想。
これでもごく一部で、あとは裏に大量に保管されているそうで、オペラグラスや眼鏡ケース、補聴器まで、あらゆる目の周辺にまつわる道具がコレクションの対象だったようです。
個人的には話を聞くだけではなく、体験ができるともっとよいなと感じました。
例えば鼻メガネや江戸時代の耳かけ眼鏡など、各コーナーに1つレプリカがあって、実際にかけてみられたりしたらいいのにと感じました。このミュージアムはありがたいことに写真撮り放題なので、珍品メガネ姿の自撮り写真が撮れたら面白いし、SNSにアップされたら宣伝効果もありそう。
補聴器も見るだけでしたが、実際どんな風に聞こえるかちょっと耳にあててみたかったです。
さすが老舗メガネ店の、目にまつわる、どれもとても興味深い珍しいコレクションでした。

木原(FieldArchive 代表)


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