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【つわりの漢方】

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「つわりに用いられる漢方」についてお話したいと思います。




つわりとは?


「つわり」は妊娠中に起こる吐き気や食欲不振などの症状ですが、重症になると過度の嘔吐や脱水症状、体重減少などを引き起こします

放置すると危険な合併症を引き起こす可能性があるので、時として医療機関での治療が必要になります。

つわりは妊娠初期に出現する症状ですが、すべての妊婦さんに出現するとは限らず、またその原因もいまだ十分に解明されたとはいえません。

つわりに用いられる漢方


① 小半夏加茯苓湯


つわりに用いられる漢方として「小半夏加茯苓湯」(ショウハンゲカブクリョウトウ)という漢方があります。

一般に軽症、中等度のつわりに使用されています。

半夏(ハンゲ)、生姜(ショウキョウ)、茯苓(ブクリョウ)といった3つの生薬から構成されており、半夏、生姜には吐き気を抑える薬能、茯苓には胃の働きをよくして水分の停滞を改善したり、気持ちを落ち着かせる薬能があるとされています。

〜飲みづらいと感じる方へ〜


漢方薬を服用する上で、その味やにおいに抵抗感を感じられる患者様が一定数いらっしゃいます。

特に、つわり、妊娠悪阻の場合には、その独特の匂いのため、かえって嘔気を誘発するなど服用し辛いという欠点があります。
 
そこで冷やして飲むこともおすすめです。

「漢方薬を少量の湯に溶かし、氷を入れて冷やします。吐き気がある時に服用してもらう」といった方法です。

▼一般の方向けに、漢方を飲みやすくする方法も別の記事でお話ししています。


②半夏厚朴湯


その他、つわりに使われる漢方薬に「半夏厚朴湯」(ハンゲコウボクトウ)というものがあります。

こちらの漢方薬は、先ほどの小半夏加茯苓湯に、厚朴(コウボク)、蘇葉(ソヨウ)といった気持ちを落ち着かせてあげる生薬が足された構成となっています。

半夏厚朴湯のポイントとして、のどのつかえ感や動悸、めまいなどを伴うつわりに用いられます。

妊娠中の薬物治療に関して知っておいて欲しいこと


漢方薬に限らず、妊娠中の女性に対する薬物治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することが原則とされています。

お腹の赤ちゃんのためにも、本当に必要な時だけ薬の服用をするようにしてください。

服用の際は自己判断せず、必ず主治医に判断を仰いでください。

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