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プロダクト開発/企画 ゼロイチフェーズでの苦悩 #プロダクト筋トレ

このブログ記事は、「プロダクトづくりのための挑戦とその成功・失敗談を綴るアドベントカレンダー powered by プロダクト筋トレ」アドベントカレンダーの7日目の投稿です。

はじめに

まずはじめに、僕が所属する会社のことをご紹介したあとに、実際にゼロイチフェーズでのプロダクト開発(と顧客開発)を進める上で成功や失敗だったなと思った点を綴っていきたいと思います。完全にポエムです。

何を解決しようとしているのか

僕が所属するTC3という会社は、Topcoderという競技プログラミングで知られているクラウドソーシングプラットフォームを活用したソフトウェア開発を行っている企業です。基本的には受託開発型のビジネスとなっており、お客様が解決したい課題やビジネスゴールに合わせて、伴走型でご支援させていただいております。その中で、世界トップレベルのエンジニアのスキルを活用できることがユニークな点です。

TC3では、このように受託開発型のビジネスを中心と行っていますが、上記のようなクラウドソーシングプラットフォームは世界的に拡大傾向となっており、2009年から2020年までの間に80社から330社以上までに増えていると言われています(参考。日本国内でもLancersやCrowdworksなどのプラットフォームがあり、多くの企業がギグワーカーやフリーランスと呼ばれるような、会社に所属せずに個人のスキルを活用して働いている方に、ソフトウェア開発などをお願いすることも一般的になってきました。

TC3はこのようなギグワーカーの価値をなるべく直接お客様が享受できるようになること、それによるイノベーションを実現することをサポートすることをビジョンとして掲げています(参考)。

出だしが長くなりましたが、ギグワーカーなどのようにオンデマンドで人材とつながり、スムーズに開発を進める際にあらゆる課題があり、TC3も受託開発ビジネスの中で日々試行錯誤しながら運営しています。現在TC3では、ギグワーカーとの開発をスムーズに行えるようなプラットフォームを開発しており実際一部の機能をお客様への開発環境として使っています。この開発プラットフォームをより多くの方に使っていただく世界を作るためのゼロイチフェーズ(まだイチに到達していないですが・・)に近いことをこの1年間行って来ましたので、その中での苦悩や学びをご紹介できればと思います。

言語化 そして ビジュアル化

TC3という会社は創業から5年ほど経っており、以前から社内で口頭ではプロダクトビジョンやプロダクトのアイデアが共有されていました。ただ、そのプロダクトビジョンやアイデアなどは会議の中では共有されるけれども形あるものとして残し、積み上げる、ということが1年前まではできていませんでした。

Miroによる言語化

2021年の初頭からプロダクト開発関連のタスクフォース的なチームができ、具体的に言語化するフェーズをかなり時間をかけて行いまいした。Lean Canvasを作ってみたり、それをベースに話を膨らませてみたり、今までの受託開発ビジネスで経験してきたお客様の情報を共有しながら、現実的にお客様がどのような課題を持っているか、その課題を解決するために何をすべきなのかを議論を進めました。

言語化し、分散させるフェーズ

実際にプロダクトアイデアのようなものの共通認識ができてくるとユーザーストーリーを作ってみて、ドメインモデルなども開発リードが作成したりすることで、共通の認識を更に構築していきました。

ドメインモデル、Figmaによるビジュアル化

また、そのドメインモデルやデモシナリオを作り、そこからFigmaによるデザインプロトタイプも作り、プロダクトビジョン相当の画面イメージを作ることでよりアイデアをビジュアルとして共通認識をもたせることができたのは大きな進捗だったかと思います。

どういうことかというと、議論の場でMiroなどで言語化はするものの、やはり言語化されたものも過去のものとして放置されているケースもありました。ファシリテーターのように振る舞う自分が一旦過去に遡り思い出させるなどのことはしていても、個人個人が引っ張られている過去の議論の内容は異なり、それが頭の中にあるだけで表出化されていないなどの問題もあります。このような課題に対して、Figmaでビジュアル化し我々は何を考えているのか、を共通認識を共有できたことは良かったことかと思います。

受託開発ビジネスを並行してやる中だったので、かなり時間がかかってしまいましたが、これらの言語化と見える化のプロセスは、非常に重要なプロセスだったかと思っています。ただ、発散したまま集約できていない状況なので徐々に精緻なものとしてきれいにしていきたいと考えています。

言語化・ビジュアル化で活用したフレームワーク

  • ゴールデン・サークル(Why, What, Howでコアを整理)

  • リーンキャンバス(参考

  • Domain Driven-Design

  • ユーザーストーリーマッピング

アイデアだけでは何も進まない

言語化、ビジュアル化を経てようやく既存のお客様や個人的なつながりを活用して顧客インタビューへ進んでいきます。ここまでで言語化されてきたリーンキャンバスなどは、今までのお客様のフィードバックを元にしているとはいえ、まだ母数としては少なかったり共通項がまだ見いだせていない部分も多分にあります。また、考えている周辺的機能群が本当に顧客が課題を持っているのか、その課題を解決できるものなのか、自信を持って言えるものではなかったこともあり、その検証のためユーザーインタビューを行いました。

リーンキャンバスでの仮説通りにインタビューができていない

未だこのユーザーインタビューも道半ばで、まだ少数の方にしかできていないところではありますが、直近で直面した失敗は、もともとリーンキャンバスに書いていた顧客に対してのインタビューがほとんどできなかったことです。理由は色々あるのですが、このプロダクトでは顧客が2カテゴリおり、ビジネスモデルも加味すると片方に意識が偏ってしまったことにあると思っています(無意識バイアス?)。

また、ゼロイチのフェーズなので、顧客セグメントがしっかりと定まっているわけではない、という状況ですが、リソースも限られているため、どの仮説を検証するのか、を意識的に行う必要があり、場当たり的にユーザーインタビューをすることはあまり望ましくないと感じました。また、どうしても作ったプロトタイプベースで会話してしまい、インタビュースキルも低い中でうまく本質的な質問ができなかったということもあり、まだまだ上手く進んでいない状況です。

さらに、ここで気づきがあったのは、リーンキャンバスでの顧客がAというセグメントであれば、ビジネスモデルや主要指標なども同時に動かさないといけないことです。上記のような別の顧客セグメントへのヒアリングにより、ピボットの仕方をイメージできたのは良かったです。

また、顧客のカテゴリが2つある場合には別々のリーンキャンバスで扱った方がよいのでは?ということです。なかなか難しいですが、このようにして一つ一つ顧客・課題・ビジネスモデルなどをチューンアップしていく必要があるのではないかと思います。

リーンキャンバス内の連動
リーンキャンバス内の連動を意識する

リーンキャンバスは一度書き起こすけれどもその連動要素は忘れがちだと思います。また、今自分たちがいるフェーズでリーンキャンバスのうちどこを仮説検証しようとしていているかを意識すること。また、それぞれの項目が連動しあっていることを意識すると、徐々にプロダクトとしてまとまってくるのかなぁと思っているところです。

最も重要で難しいユーザーインタビュー

上記のように言語化したことへの思い入れも強く、自分たちが持つバイアスに気づかぬうちに引っ張られてしまいます。なるべくフラットにターゲットとする想定顧客の課題をお聞きしようとするのですが、どうしても自分たちの土俵に乗せたくなってきます(Yesという回答を取りたいという思いが出てしまう感じ)。

ユーザーインタビューは何件かやって少しずつ上達しているようにも思いますが、まだまだ改善が必要そうですし、その内容(顧客開発)と製品開発のバランスは非常に難しいと感じています。

顧客開発と製品開発の関係性

この期間にお世話になった書籍・コミュニティ

以下に挙げるもの以外にもいくつもの書籍を読みましたが、何度も読み返しているものとしては以下が多いかなと思います。また、コミュニティにも大変お世話になりました。

おわりに

「産みの苦しみ」とはよく言ったもので、今まさに何かを産み出そうとして、何かブレイクスルーが見極め切れていない状況だったりもします。ただ、そのような中でも関係者の中で共通認識を作るためにディスカッションをする、だけではなくしっかりと言語として残すこと、ビジュアル化して共有することで、少しずつプロダクトの方向性や可能性が見えてきたということも事実です。

また、先述の書籍やコミュニティでお聞きするような様々な情報をベースに新たな視点をもってフェーズごとにやるべきことを整理することもできました。現時点ではマニュアルに則ってようやく進めているひよこ状態ですが、2022年はより一層お客様(潜在的なお客様も含めて)に耳を傾けてプロダクトに昇華していければと考えています。

かなり抽象的な話になってしまったかもしれませんが、ゼロイチフェーズで同じような悩みを持つ方がいらっしゃったら何かの参考になれば幸いです。

最後になりますが、ギグワーカー(エンジニア系)、フリーランスで働いている方やそのような方のパワーを活用したいという方がいらっしゃいましたら是非ユーザーインタビューをさせてください!また、ゼロイチフェーズでお悩みで、もしこのブログ記事に共感した方がいらしたら是非情報交換ができればと思います。ご興味ある方はTwitterのDMなどでご連絡いただけると幸いです

もしも活動をサポートいただけるようでしたら、書籍の購入費用に当てさせていただきますm(_ _)m