寛容なアイルランドの音楽
アイルランドの音楽を国籍関係なく誰でも取り組めるというのは、当たり前で素敵なことだと思います。そして、現地に学びに行ったことがある方なら、人から優しくされ、楽しい経験をして、ますます、学ぶのが楽しくなったのではないでしょうか。今度は、それを自ら実践する番です!
アイルランド人のフィドラーたち
私のフィドルのピート・クーパー先生はイギリス人です。私たちと同じように、外国人としてアイルランドの音楽を楽しんでいます。
『フィドルが弾きたい!』によると、ピート・クーパー先生は、ルーシー・ファー、ショーン・マックロッコリン、コン・マッギンリーといった往年のアイリッシュフィドラーからフィドルを直接学び、温かい交流を持ったことが描かれています。そうして、アイリッシュフィドルへの情熱を注ぎこまれたことがよく伝わってきます。
アイルランドらしさとは?
アイルランド音楽は、一般的に、本国やアメリカやオーストラリアといった彼らのデアスポラ(離散先)で、アイルランド人やアイルランドにゆかりのある人たちによって楽しまれています。
そういうところに飛び込んでいってアイリッシュを学んだことのある方は、日本人だからと国籍差別をされたり、そんなのアイリッシュじゃない!と演奏をけなされたり嫌がらせを受けたでしょうか?たいていは、よくしてもらった体験をお持ちなのではないでしょうか。
大切なのは心
みなさんはダンスや音楽を学んでいて、レパートリーやテクニックを学びますよね。でも、それと一緒に「心」も一緒に学んでいるはずです。文化を学ぶ上で大事な「心」が欠けてしまっては何にもなりません。
ダンスと音楽を他の人とも楽しむには寛容であること、それがその「心」なのではないでしょうか。そうやってアイルランドのダンス音楽は発展してきました。
自分がアイルランドで受け入れられたように、人にも寛容になる
日本では、アイルランド音楽をするのに誰かに認めてもらわなければいけませんか? 伝統はこうあるべき、という厳しい決まりごとがありますか? 伝統に対して責務を負っている人がいるのですか? ただ単に音楽を楽しみたいだけではだめですか?
アイルランド音楽を堅苦しいものにしたり、垣根を設けたりする権利など誰にもないはずです。
外国の文化を学んでいるという点ではみな一緒
私たちは日本に住みながら、アイルランドのダンス音楽という外国の文化を学んでいます。
そういう点において、プロと呼ばれる人であっても愛好者であっても、長くやっている人でも最近始めたばかりの人でも、常連も新参者も、演奏が巧みな人も不慣れな人も、みな同じです。
知識や経験の差が多少あるとしても、そこに日本的な上下関係や村八分を持ち込む必要はどこにもないと思います。
転載禁止 ©2023年更新 Tamiko
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トップ画像:アイルランド、ティッペラリー郡、農家の納屋でのセッションの光景2010年。筆者。
ピート・クーパー先生の著書:
世界で売れているフィドル教則本の日本語版になります。著者が誰からどのようにアイルランド音楽を学んでいったか、その軌跡も描かれています。
フィドル中上級者向け。珠玉のアイリッシュフィドルソロのレパートリーがそろいます。
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