2222年のドラゴン
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2222年のドラゴン

「未熟な魔法は科学技術と見分けがつかない」
──トーマス・D・ワシントン

 人生は選択によって形作られる。選択を誤った人生はクソだ。両親が離婚したとき父さんについていくべきだったし、大学では哲学より経済学を専攻すべきだった。全て間違いだった。150年前に化石燃料が枯渇したとき、人類が代替エネルギーを魔法に求めたのも間違いだ。だから俺は今、薬草店に強盗に入り、銃弾から身を隠している。
 武装警備員の牽制射撃が頭の上を掠める中、しびれを切らしたヨシオが制止の声も聴かずにカウンターの中から起き上がった。引鉄を引ききる前にヨシオは蜂の巣になってチャンの上に倒れた。頬の銃創の周りには即死レベルの呪紋が刻まれていた。チャンはしかめ面でヨシオの死体をどかし、何度も蹴飛ばしてなるべく自分から遠ざけようとした。
 「おい、やめろ」
 エディがチャンをとがめた。物言わぬ仲間を気遣ったわけではない。ヨシオの死体が追いやられた方には、古めかしい小さな木箱が転がっていた。「品物を汚すな」という意味だ。
 その木箱が今日の仕事のターゲットで、箱の中身はバイコーンの角の欠片だとエディから聞かされていた。だが何かがおかしい。
 俺は銃をエディに突きつけた。
 「箱の中身は何だ」
 「なんの真似だ」
 「ヨシオを見ろ。やつらは即死呪弾を使ってる。ぼろい薬草屋の警備員が使う代物じゃない」
 チャンとキースもエディに銃を向けた。使い捨ての火のエレメントで銃弾を発射する安い旧式拳銃ばかりだった。貧乏強盗にはお似合いの装備だ。
 「こんなときに仲間割れか?よせよ」
 「言わないと何発かぶち込んだ後で弾除けに使うぞ」
 キースが銃口をエディの肩甲骨に押し付けた。エディは観念した様子でのろのろと口を開いた。
 「……心臓だ。ドラゴンの」
 俺以外の二人がため息と舌打ちを漏らした。だが逆に、俺はこの状況を乗り切る方法を見出した。


【続く】

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郷里侑侍

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