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【ネタバレ感想】キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ(PS4)

最近になって初めて「キングダム ハーツ」シリーズを遊び始めまして、2作目までクリアしたので感想を残します。

簡潔な評価を見たい場合は目次から「まとめ」まで飛んでください。

キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズとは

ゲームボーイアドバンス用のキングダム ハーツとして発売された「チェイン オブ メモリーズ(以下、CoM)」を、PS2用にリメイクした作品。(遊んだのはPS4用のリマスター作品)

1作目に引き続き、「ドラクエ」「FF」などでおなじみスクエア・エニックスとディズニーのコラボ作品で、主人公ソラがいろんなディズニー映画の世界を冒険するカードアクションRPGゲーム

1作目のエンディングから地続きに始まっており、親友リクや王様を探し「記憶の城」に迷い込んだソラたちが、記憶を失う代わりに忘れていた記憶を取り戻しながら、ソラを狙う謎の機関のメンバーたちと対峙していく。

戦闘システム

このゲームの感想を書くにあたり、前提としてこのゲームの特殊な戦闘システムを知ってもらう必要があるので、ここで解説します。

そもそも、PS2向けにアクションRPGとして発売された1作目をなんとかGBAで遊べるように作ったのが「CoM」なわけですが、キングダム ハーツらしさを出すためにリアルタイムカードバトルシステムが導入されています。
そして、2D作品だったGBA版をフル3Dにリメイクしたのが今作です。

デッキからカードを選んで攻撃する。

戦闘の流れとしては、基本はカードを1枚出すごとに攻撃が一撃分繰り出され、連続でカードを出すことでどんどんコンボを繋げていく形になります。


敵も攻撃1回につき1枚のカードを出してくる。

敵がカードを出してきた場合、攻撃されるより前に左下のデッキをの中から敵より強い(数字の大きい)カードを出せば、敵の攻撃を止めつつ自分の攻撃を入れることができます。反対に、相手がより強いカードを出せばこちらが一方的にやられてしまうこともあります。これらはターン制ではなく、リアルタイムで行われます。

つまり、敵のカードを瞬時に判断して高速でデッキを回しカードを出すことが攻略の鍵となるわけです。
もっと細かいルールがあるのですが、ここでは割愛します。

ゲームプレイ

このゲームは、どういう目的で遊んでいるかで評価がかなり変わってきます。

私のように、シリーズ全体をざっくり遊ぶために1作目からそのまま遊んだユーザーにとってはかなり曲者で、1作目では気軽に攻撃できていたのに対し、今作ではいちいちカードを選択しないといけないので気軽に戦闘ができないため、行動に制限がかけられたような感覚になります

正直最初の感想は「ダルすぎる」というのが大きかったです。なにせキングダム ハーツシリーズを10作品楽しむうちの通過点の1つで、サクサク終わらせようという気持ちしかありませんでしたので。

しかし、「これはそういうシステムの1本のゲームだ」と腹をくくり、しっかりこのゲームを楽しむぞ、という気持ちに切り替えてからは、戦闘システムに慣れデッキを組み戦略的にゲームを進められるようになり、少しずつ楽しさを感じられるようになりました。

1つのワールド(ディズニー映画の世界)はいくつかの部屋に別れており、
次々と部屋を辿ってゴールまで進む仕組みになっている。

ダンジョン攻略では、次の部屋を開く際に特定の条件をクリアしたマップカードを使用するのですが、このシステムが非常に面白いなと思いました。

マップカードには例えば、自分の出すカードの数字が大きくなる、敵がたくさん出てくる、セーブポイントが出現する、のような効果が付いており、「次はサクサク進めたい」「次はカードを集めたい」「次はボス戦前だろうから回復とセーブがしたい」という要求に合わせて自分で柔軟にダンジョンを構築することができます

気になった点

版権の問題からか登場するディズニーのワールドはターザンを除きすべて同じで、3Dモデルも同様のものが使用されているため前作から代わり映えせず新鮮味が感じられません。端的に言えば1作目の移植の移植なのでこうなってしまうのも無理はないですが……。

また、各ワールド内では見た目は違えどとにかく戦闘しながら部屋を攻略していくという点では同じで、ワールドごとのギミックもほぼないため飽きやすさも感じます。

戦闘はマップ上の敵とのシンボルエンカウントで始まり、エンカウント前に敵を攻撃しておくと有利に戦闘を開始できますが、自動照準が近くのオブジェクトの方に吸い寄せられ空振りした状態でエンカウントしてしまうこともしばしばで、この辺の判定もどうにかならなかったのかなと思いました。

カードバトルについても概ね楽しめましたが、ボス戦については格段に戦略性が高く、特に後半は並大抵のデッキだと手も足も出ず一方的にボコボコにされることもあるので、カードバトルがそもそも苦手な私にとっては苦痛を感じる場面も多々ありました。

ストーリー

タイトル通り「記憶」がテーマで、記憶を操作されても消えることのない大切な思い出、偽物の記憶の真実性など、記憶の中に生きる人間が記憶よりも大切にするべきは何かを問うてくる非常に哲学的な物語で面白かったです。

特に「忘れるということは思い出が眠ってしまうことで消えることではない、いつか思い出すことができるはず」というセリフは非常にいいですね。

また、新要素として出てきた謎の機関やそれぞれのキャラ設定も興味がそそられます。心がない故にお互いを信じることができない機関メンバーと、記憶を失ってでも絆があり続けると強く信じるソラたちとの対比も綺麗です。

そしてソラ編のクリア後に始まるリク編も、前作で闇に飲まれたリクが闇を利用し乗り越えていく姿がしっかり描かれていていて熱くなりました。

リクはソラと違い一度闇に染まったため孤独な存在ですが、ここに救いの手を差し伸べるのが王様ことミッキーなのも感動的ですね。そして全編通して、前作で敵対していたソラとリクにたしかな友情が残り続け、孤独なリクの道標になっているのが一番グッと来ました

気になることは、各ワールドでの物語。
各ワールドはソラの記憶から作った架空のもので、ソラ自身は記憶を失っているため、前作がなかったかのように同じような物語が進行します。前作でできた各ワールドとの絆はないし、1作目をもう一度進めている感覚にもなり退屈でした。これも1作目を知らない人向けに移植のような形で作った弊害かもしれませんが。

グラフィック

今作で初めて登場した謎の機関のキャラクターデザインが個性があって楽しめました。性格や言動とリンクする奇抜な見た目に日本アニメっぽさがあり、ディズニーがベースになっていた前作よりもキングダム ハーツとしての独自の深みが加わった気がします。個人的にはアクセルとヴィクセンが好きです。

そしてキーパーソンのナミネも、どこかカイリを思わせつつ敵にも味方にも見える中立的なデザインになっていて素敵でした。

まとめ

ゲームプレイ:とにかく戦闘システムが曲者すぎて好き嫌いや得意不得意が真っ二つに分かれる。個人的には悪くないとは思ったが苦手すぎて苦痛に感じる部分も多かった。ダンジョンの仕様は面白い。

ストーリー:記憶にまつわる深い思想が貫く素晴らしいストーリー。1作目から続けて遊ぶとワールドごとの物語がほぼ同じで退屈なのが残念。

グラフィック:新キャラたちのデザインがどれも個性的で、キングダム ハーツの世界に深みが増した。

総評:ゲームとしてちゃんとクリアしたいという思いからなんとか諦めずクリアしましたが、戦闘システムには最後まで苦労しました。楽しさと苦痛が7:3くらいで迫ってきた今作でしたが、新たなキャラやストーリーは素晴らしかったので、なんだかんだで遊んでよかったなと思います。

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