じゃんけんの勝ち負け判定
じゃんけんを最初に覚えたのはいつだろうか。
物心ついたときにはいつの間にか3種類の手とそれが三竦みを形成している状態を理解していた。そのくらいシンプルかつ強力なルールで構成されているのがじゃんけんだ。
グーはチョキに勝つ。チョキはパーに勝つ。パーはグーに勝つ。
3つそれぞれが全く均一なパワーバランスを保ち、いずれかが頭一つ抜きん出ることも劣ることもない。
はずなのだが。
小学生くらいの頃はなぜかちょっと変わってしまう。
その時期の子どもは、知識はないのに思考力だけ急に発達するせいか、屁理屈やズルで優越感に浸ろうとする。例えば、ものをあげる(渡す)とき上に掲げて「はい、上げた」なんて言ってみたり、鬼ごっこでタッチされる時バリアを張ってみたり。
そんなひねくれた少年少女たちがじゃんけんでよく使ってくる手法が、
これ。
仕組みはかんたんで、"最初はグー" だと思って相手がグーを出すのに対し、最初からパーを出すことでじゃんけんに勝利するということだ。
子どもの時は "最初はパー" をやられた時も「そんなのズルい!」としか思わなかったが、今ならもっと主張を言語化できる。
まず前提として、「最初は〜」の部分は試合開始前だろ。最初にパーを出したからなんなんだ。勝手に出してろよ。
そもそも "最初はグー" を考えたのは志村けんであることは有名な話だが、これができた理由として有力なのは「飲み会の支払いじゃんけんをするも、酔いすぎて全員のタイミングがうまく合わなかったので "最初はグー" でリズムを作った」という説。
だから本来は、最初はなにを出そうと勝利も敗北も存在しないはずである。
だが、さらにひねくれた子どもはこんなこともしてくる。
そう、"最初はグー" のリズムに合わせて、"最初から" と言うことで最初からいきなり試合を開始してしまって、不意打ちで勝利してしまおうというもの。
これだと先程の "最初はパー" と違って勝負の一手として出していることになり、ちゃんと勝敗を付けられるだろうという魂胆だ。
だが、これも意味がわからない。なんで宣言するだけで合意なしでルールを動的に変更できるんだ。そんなの許されるなら、もはや当該のリズムで「俺の勝ち」とか言いながらじゃんけんしたやつが勝ちになることすら可能じゃないのか。
というか、暗黙の合意(最初はグーを出し、その次にいずれかの手で勝敗を決める。グー > チョキ > パー > グー)を無視していいなら手を出す必要すらない。勝利宣言だけで勝利できる。インフレしすぎて禁止になった遊戯王カードかよ。
こうなってくるとじゃんけんで最も大切なルールは、合意のないルールは適用できないということではないだろうか。
みんなでルールを守っていこう。
それで社会が回ってるんだから。
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