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仕事、辞めます

効率が正義だと思っていた

素早く、効率的に物事をすすめることがよしとされるビジネスの世界にどっぷり浸かっていた。大学を卒業してから約20年間、本当によく働いたと思う。僕は常に頭の中に仕事のことがあって、遊んでいても「これにはどういう意味があるんだろう?これって社会の役にたつ活動なのか?そうじゃないなら早く家に帰って意味のあることをしないと・・・」という気持ちがどこかにあった。まさに心ここにあらず。一緒にいた方々には嫌な思いをさせていたのではないかと思う。本当にすみませんでした。そんな中、僕のことを信じてずっとそばにいてくれている妻には本当に感謝している。いつも本当にありがとう。

突然感じた虚無感

コロナで家にいる時間が増え、色々と本を読み、考え、人生と向き合う時間が増えた。忘れもしない1ヶ月くらい前の平日の真っ昼間、唐突に「あれ、なんか人生このままじゃきっと後悔するな」という感情が生まれた。社会的には一定のステータスも手に入れたと思うし収入にも不満はない。でも何かが違う。幸福感みたいなものをどこかに忘れてきたような気がする。僕はいったい何がしたかったんだっけ?

ミニマリストYoutuber

そんな中、ミニマリストと言われる方々のYoutubeチャンネルに強く興味を惹かれた。何か僕が忘れてしまっている大切なものを教えてもらっているような感覚が心地よくて100以上の動画を夢中で見続けた。ものを捨てれば幸せになれる、とかそういうことではなく「今に感謝し今を楽しむ」ことがミニマリストの方々が伝えたいことなのではないかと僕は感じた。「〜ができたら」とか「〜が手に入ったら」とか未来のなんらかの条件をもとに幸せを定義するのではなく、本当に自分が好きなもの、大切にしたいものをしっかり理解し、今という時間を思いきり楽しむことが大事だ、ということ。未来志向はかっこいいかもしれないが、今がおろそかになってしまったら意味がない。未来は結局今であり、今にしか生きれないのだから、未来のために頑張る、というのは行き過ぎると今を生きれない人間を生み出すことになる。まさに僕みたいな人間だ。ものがあふれているとそういうシンプルなことに気づきにくくなるのかもしれない。ものを極限までなくしてみると今そこにある大切なものが浮かび上がってくる。それこそがミニマリストの醍醐味なのかな、と思う。

見える世界が変わった

日々Youtubeを見まくる中で「Youtuberって楽しそうだな」という超単純な思考から人生初の一眼レフを買った。さて何を撮ろう、と思ってお昼休みになんとなく近所の公園に行ってみた。天気が良くて子どもたちが無邪気に公園で遊んでいる。何気ない風景をフレームにおさめてみる。いつも僕なら会社のチャットを見ながら昼ごはんを急いで食べてる時間。ファインダーを覗き込みながらなんだか不思議な感覚に襲われた。同じ時間だけどこんなにも違う世界がある。道端のきれいな花を撮ってみたり、街路樹の新緑がきれいだな、と木を見上げて立ち止まってみたり。いつもと同じ道、同じ公園なのに目に入ってくるものが違う。ファインダーを覗き込むと時間が切り取られたような不思議な感覚になって周りも人の視線とかも全く気にならなくなる。「あぁ何かが変わり始めてる」そんな感覚になった。僕にとってカメラのファインダーは大切なものを見つけるための扉だったのかもしれない。

「一緒に楽しめる日が来て嬉しいなぁ」

「今日は空がきれいだったんだよ」とか「花がきれいだったんだよ」とか突然話すようになった僕に対して妻が言ってくれた一言。妻にはずっと見えていたけどこれまでの僕には全く見えなかった。今まで待っててくれて本当にありがとう。これからはたくさん一緒に楽しもう。

間違いだったとは思っていない

この20年間が間違いだったとは思っていない。僕にとってはそこまで走り続けてやりきってみないとわからないことだったのだと思う。まぁまぁバランスの悪い人間だし、2つのことを同時にやるのが苦手なのは自分でもよく理解している。ビジネスをやりきるために必要な20年だった、と理解している。たかだか20年くらいで何を調子に乗ってるんだ、という声が飛んできそうだけど、一生仕事をしていないといけないなんて誰にも決められてないはず。人はもっと自由に生きていいはず。

北欧の幸せ度

北欧のライフスタイルは日本とはだいぶ違うようだ。例えばデンマークには「ヒュッゲ」という文化がある。朝早くから仕事を初めて16時には仕事を終えて夜は家族との時間や自分の時間を楽しむ。日本はどうだろう。平日は夜遅くまで仕事をして消耗し、土日は疲れて昼まで寝ている。僕はそういう生活をしていた。お酒を飲む時は結構な量を飲んだ。なにかから逃げたくてとにかく酔いたかったのかもしれない、と今は思う。

時間の流れ方が変わる

最近休日の時間の流れ方が少し穏やかになったように感じる。朝起きてから夜寝るまでの時間が1.2倍くらいに感じるようになった。おそらく「平日のための休日」ではなく「休日のための休日」に変わったのではないかと思う。時間を感じる、というか今を感じる、というかそんな感覚でもあるし、今この瞬間を選んでいる自分を感じる、みたいな感覚。うまく言葉にできないけど、明らかに1日の時間の流れ方が変わった。これってもしかして大人になると1年間の体感が短くなる、ということとも関係しているのかも?そのへんはよくわからないけど、自分としてはこの変化を好意的に受け止めているし、これからもこの感覚は大事にしていきたいと思う。

人生はまだ長い

お金があればいいわけじゃないし、ものを捨てればいいわけでもない。自分が心地いいと思うもの、時間、人をしっかり大事にする。それが今の仕事ならそれはとても良いことだし続けるべきだけど、僕の場合はどうやら違ったみたいだ。いくら稼いでもおそらく違和感が増えていく確信がある。であれば仕方ない。今の地位とか収入とか全部リセットしてこれまでとは違う生活をしてみる必要がある。いろんな人に迷惑をかけてしまうかもしれないけど今回は少しわがままを言わせてもらおうかなと思っている。人生はまだ長い。今僕はすごくワクワクしている。

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