見出し画像

聞き間違いラプソディ

ときに、テレビのニュースから聞こえた

「おもちのカレンダーにご記入ください」

が、耳から頭に入る途中で、どういうわけか

「お餅のカレンダーにご記入ください」に変換された。

1月はかがみもち、2月はいそべもち、3月はひしもち、4月はさくらもち、5月はかしわもち、と妄想が止まらない。

「餅 カレンダー」で検索したら、かわいらしい猫のカレンダーと、餅屋の営業日をお知らせするサイトしか出てこなかった。

ないのか、餅カレンダー。需要が。夏はあまり食べないしな。

かくいうわたしは、某音楽雑誌の付録カレンダーを壁にかけている。諸事情で、かけたときからずっと霜月。もうその霜月すら過ぎて、師走。

宮本浩次さん よく見えないけど

工事現場から聞こえた、クレーン車の警告アナウンスの

「積み荷がいどうします」

が、耳から頭に入る途中で、どういうわけか

「積み荷が異動します」に変換された。

短いスパンで繰り返し繰り返しいうから、次は総務、次は営業、次は海外転勤、意表をついて山梨営業所、そして神戸、と妄想が止まらない。

むかし放送されていたコント番組「笑う犬の生活」に出てくる転勤族のキャラクター、小須田部長を思い出した。

当時はおもしろおかしく見ていたけれど、「がんばれ、負けんな、力の限り生きてやれ」という決めゼリフが、今は胸にせまる。

かくいうわたしも、入社2年目で東京から関西に転勤した。「きみは転勤は大丈夫なのか」と支店長に尋ねられ、「はい」と即答した23歳の冬。すごいな、若いって。帰郷してからもう何度目の冬だろう。

バスのアナウンスで聞こえた

「還付金詐欺にご注意ください」

が、耳から頭に入る途中で、どういうわけか

「パンプキン詐欺にご注意ください」に変換された。

ああ、これは先日買った柿の袋にいた、かぼちゃに仮装した柿のことだ。

妄想終了。

ハロウィーンは終わり、もうクリスマスが間近に迫っている。

柿微笑、青果化ケル

夕方、会社にて3メートル先から聞こえた

「いまから3名お願いできますか?」

は間違いなく居酒屋の予約だと思った。

いまの部署は冬から早春にかけてが超絶怒涛の繁忙期なので、忘年会や新年会の文化がない。

顔をあげると、部長課長陣がたのしげに「行きましょ行きましょ」とぞろぞろ出て行くところだった。

月曜から酒盛りか、まだ17時前なのに。

30秒前に立ち上げたExcelで何をしようとしたかすっかり忘れたので、とりあえずお引き取り頂こうと右上のバツを押した。

大体、バツを押した瞬間に思い出す。そして、バツを押しているのにポインタがグルグルしだして、いやだ帰りたくない、とごねるExcel。

Wordを立ち上げて閉じると一緒にExcelも閉じるよ、という裏技を教えてもらい試してみると、スッと消えた。
ひとりで帰れないのか、さびしがり屋め。

30分後、部長課長陣はキャッキャしながら戻ってきた。

「おれ女のひとだった~」
「おれ男のひとだった、でも丁寧だった」
「もう在庫7割使ったって言ってたね」
「いいときに行けたね」

業務の合間に、インフルエンザの予防接種を打ってきたらしい。居酒屋の予約ではなかった。なんと巧妙な聞き間違い。聞き騙し。いや、勘違い。

いつもは職域接種だが、ご時世的なものでここ2年は各自で打ちに行っている。さびしがり屋が多いので、結果的に集団予防接種になってしまった。

わたしも行かなければ、もう12月だ。

とりあえず、今日は社内の暖房が効きすぎていたうえ、ヒートテックが暴走して暑かったので、おやつに雪見だいふくを買った。

不惑の雪見だいふく先輩
だい「福」はスペシャルパッケージらしい

そういえば、雪見だいふくは数年前から通年販売になった。
食べながら、「餅カレンダー、夏は雪見だいふくでいいんじゃないかな」と思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?