柑橘への愛を確かめた
近所のスーパーの青果コーナーが、柑橘で埋め尽くされている。
オレンジと黄色の柑橘連峰、絶景なり。
清見オレンジ、デコポン、河内晩柑、マーコット、そして神奈川が誇る湘南ゴールド。
スピッツの「めぐりめぐって」の歌詞にも出てくるデコポンにしようか。
と手を伸ばしかけたところで、そのとなりに、見つけてしまった。
ブラッドオレンジ、愛媛県産。
ブラッドオレンジジュースは「なんかいい感じの店」に行くと出会えることがあるが、リアルブラッドオレンジ、というか果実そのものには初めて出会った。
そもそも、生食用のものはあまり出回っていないのだ。
イタリア原産のブラッドオレンジは、日本では高級品とされ、輸入品もそのほとんどがジュースに加工されるらしい。
寒さに弱いため、国内では栽培されていなかったが、昨今の温暖化を逆手にとり、いまは愛媛県を中心に国産品がつくられているという。
温暖化の影響というのが後ろ向きなのか前向きなのか悩ましいが、愛媛の秘宝が神奈川県のスーパーに。
もっと、\パンパカパーン/みたいな装飾を施してもいいのでは!?と思ってしまった。
小ぶりな4玉で600円だが、次いつ出会えるか分からない。買わずにはいられない。
ブラッドオレンジという名前だが、皮はところどころほんのり赤みがさす程度で、外観はほぼ小ぶりなオレンジ。
袋越しでも、心地よいさわやかな香りが漂ってくる。
深く吸い込めば、身体の中まで浄化されそうな香り。ずっと嗅いでいたい。リモネン最強。
皮がぱつんぱつんなので、みかんのように剥いて食べるのは難しそうだ。
調べてみると、絞ってジュースにするか、ホテルの朝食に出てくるような「スマイルカット」にして食べるのがよいとのこと。
要は八つ裂きね!と思ったところで、八等分の間違いだと気づく。声に出さなくてよかった。
ブラッドオレンジのブラッドは、果肉が血のように赤いことからその名がついたらしいが、なんか、そういう、スプラッター的なことではない。
切ってみると、そこまでぎょっとするような赤さではなかった。
ブラッドオレンジには、複数の品種があるという。
モロ種はまさしく血のような赤い果肉らしいが、このタロッコ種は、ほんのり赤みが差す程度らしい。
カシスオレンジのような、オレンジと赤紫のグラデーション。うつくしい。
ブラッドオレンジは、その赤さの理由でもあるアントシアニンを含んでいる。
柑橘類の中で、目とか身体の老化にいい(とされる)アントシアニンを含むのは、ブラッドオレンジだけだそうだ。
入手困難なうえに、成分面でも唯一無二。
柑橘特有の、キュッとくる酸味…のあとが、違う。
顔のパーツが真ん中に集まってしまったり(嫌いじゃない)、胃が飛び起きるような酸味(むしろ好き)は、その現象が起こる前にスーッと消えて、甘さというより、ふくよかなうまみがブワッと広がる。
果肉自体も、ぷりぷりというよりはじゅわっとやわらかくて、ジュースに加工されるのも納得だ。これは生搾りで十分飲める。
オレンジに、うまみという言葉はあまり似合わないかもしれないが、うまみのあるオレンジ。
酸味の強すぎる柑橘も大好物だけれど、ブラッドオレンジの酸味とうまみのグラデーションは、実にバランスがいい。
手を伸ばしかけたデコポンは、翌日、お出かけついでにGODIVAカフェでいただいた。実はプレスリリースが出たときからロックオンしていた。
GODIVAのチョコレートソースと柑橘の組み合わせ、ふわふわフレンチトースト、非の打ち所なし。ビジュアル完璧。
推し(柑橘)にたっぷりつぎこんでしまったぜ…と思ったが、今日4月14日はオレンジデーらしい。
多産や繁栄のシンボルとされるオレンジを贈り合うことで、愛を確かめ合う日だそうだ。
制定したのは、愛媛県の柑橘類生産農家だとか。
わたしは、柑橘への愛を確かめた。