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光の匂い(詩)

吐息のひとひら、ひとひらを
編んでいく
吐息は魚の鰭になって
ひらひらと揺れながら
戸惑いのなかで息をしている
小さな光を響かせている

風を貫いていく
星の矢の一本一本が
苦しくて眠れない夜
目を開閉させては
浮かんでは消えていく
花の影の輪郭を追いかける

筆跡をつけることが
許されない地図の上では
約束は目に見えぬ
風の栞に書かれた言葉をたよりに
あなたへと続く
月へと辿って歩いていく

向かい合っていても
お互いがすごく遠い
硝子窓の向こうで
その口ぶりが示す
パントマイムだけが明確で
硝子のなかにある
鍵が見える
その鍵を取り出そうと
ハンマーで硝子を
叩き割ろうとすると
すべてが消えて
漆黒の闇になった

何もない闇のなかで
光の匂いがする
もうすぐ星が生まれるのか
夜が明けるのかはわからない
ただ、何かがもうすぐ始まる
そんな確信めいた予感が
ちりちりと胸をくすぐっている

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