見出し画像

FINAL FANTASY VII REMAKE : 「楽しみにしていたけど望んでない」「不満があるけど好き」なご褒美

あなたはFF7Rについてどんな感情を抱きましたか?
嬉しさ?楽しさ?恥ずかしさ?怒り?悲しみ?絶望?あるいは全部?
このゲームは僕の感情をいろんな面で揺さぶってきたゲームでした。良くも悪くもね。

これはFF7Rがくれる”ご褒美”に着目して批評めいたことをしてみた記事です。
ネタバレが含まれますのでご注意ください。


******


FF7R最大の"ご褒美"は「ラストの展開」だ

おそらくこのゲームを始めた人は、ラストに何が待っているのかを期待して進めるのではないでしょうか。
ラストに何か驚く要素があることは発売前に開発者のインタビューで語られていました。ゲームを始めると、オリジナルにはいなかったフードを被ったオバケのような何か…という明らかに不可解な存在が序盤から現れます。重要な存在であることは一目瞭然ですし、敵として現れたそのオバケが使う技「フェイトストーム」から”運命”に関りがあるのか?と予想した人もいたでしょう。
FF7、運命、ときたら連想するのはエアリス。エアリス生存ルートは昔から話題になってきましたし、そのエアリスも今作ではなにやら意味深なセリフを吐きます。
そんなわけでプレイヤーは「このゲームのラストに何が起きるか」を最大の”ご褒美”として期待しながら物語を進めるのです。そのご褒美が良いものか、残念なものかという問題はあるにせよ。

道中のご褒美

最大のご褒美がどのようなものだったか。それを語る前に、それ以外のご褒美にも軽く触れておきたいと思います。

・オリジナルの再現
リメイク作品の醍醐味、”再現"。FF7Rの場合、グラフィックもBGMも一級品かつ、ミッドガル脱出までに限定したリメイクなので、ミッドガルという舞台への力の入りようがハンパないです。
オリジナルとリメイクの差が大きく、オリジナルのあれがリメイクではこうなったのか!という驚きは遊ぶ上で楽しいご褒美になっています。
まあオリジナルの要素を膨らませすぎて、いたるところが冗長にも感じますが。

・バトル
バトル面でのご褒美は敵の“バースト状態”でしょう。この状態中、敵は無防備なため、ここぞとばかりに強力な「アビリティ」で畳みかけるのが、ダメージアップボーナスも相まって非常に爽快です。脳汁ブシャーってやつです。
バースト状態に持っていくためには長い時間が必要ですが、合間で使う「アビリティ」のエフェクトやアクションが派手で気持ち良いのでそこまで苦になりません。
「たたかう」中に回避が出来ないといった不便な点もありましたが、おそらく意図的でしょう。リスクとリターンのバランスをとり「アビリティ」という小さなご褒美をより気持ちよくするためなのだと思われます。
バトル時間がかなり長くなってしまったり、敵の攻撃が避けられなくてイライラしたりといった弊害もありますが、至る所に楽しいご褒美が用意されている、総じて完成度の高いバトルでした。

相反する気持ちになるご褒美

さて。長い道中、長いバトルを経ながら大小様々なご褒美を拾い、ついにラストに待つご褒美と対面。しかしそれは一筋縄ではいかないものでした。
クリアしたあなたはこの最後の”ご褒美”をどう感じましたか?

物語としては大方の予想通り終盤にオリジナルと違う展開がありました。それもぶっ飛んだものが。
運命の番人と呼ばれる存在。一作目なのに繰り広げられるセフィロスとの闘い。その後示唆された新たな脅威。ザックスの生還により明らかになった別の世界線の存在…。
変えるにも程があるだろうと言いたくなる怒涛の展開が続きます。これにより次回作以降の物語はこれまでとは全く違うものになることが示唆されました。

「楽しみにしていたけど望んでない」。「不満があるけど好き」。このラストを見て、僕はそんな相反する気持ちになりました。
そもそも僕は今回のリメイクを「オリジナルFF7のグラフィックとシステムを現代風にアップデートしたもの」と解釈していました。
「新キャラ登場などの細かい差異はあるにせよストーリーはオリジナルに忠実。大きな追加要素も、選択肢によっては追加ルートへ分岐しエアリス生存ルートに突入、ぐらいのものだろう。そのルートの存在を匂わせる要素が今作のエンディングに登場するのでは。」と予想していました。
まあ勝手な予想なのは否めませんが、リメイクと言われたら基本的にオリジナルに忠実に物語をなぞるものだと思う人も多いはず。発売前にリメイクの物語は全く別物になるというアナウンスもなかったはずです。
しかしFF7Rの次回作以降は全くストーリーが変わり、オリジナルの物語を味わえない可能性が出てきました。「あの物語を今のグラフィックで遊べる」と思っていた僕は、長い道のりの果てにたどり着いた怒涛の展開に興奮しつつもどこか残念な気持ちに…。
さらにこのリメイクは分作です。分作だとわかったときから、完結するのに何年かかるんだ?と思っていたのに、今回のエンディングを経てからはさらに、残念な物語にならないだろうか?物語はまとまるのか?と新たな不安も生まれてしまいました。

でも…やっぱり楽しみ

ラストの不満について多く書いてしまいましたが、結果的に僕は「楽しいゲームだった」という感想を持っています。次回作も買うつもりでいます。
上で書いたように次回以降に不安もありますが、物語が変わると完全に決まったわけではありません。
一作のゲームとしてみても、バトルは楽しい、物語は楽しい、ムービーシーンはリッチで見ごたえあり、と満足のいくものでした。物語改変も肯定的にとらえれば、常に挑戦をし続けてきたFFシリーズの新たな挑戦とも言えます。今後の出来が良ければ新たな名作として語り継がれることにもなるでしょう。
やいのやいの言ってもやっぱり期待してしまう。考えようによってはラストのご褒美も悪くなかったのかも、と思ったり、思わなかったり。
そしてリメイク版FF7の結末という本当のご褒美は遥か未来にお預け、と…。
そのご褒美を得るため、また長い道のりを歩くのです。このゲームのように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?