感情に負荷をかけないチーム論:「誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか」

メディアなどでも取り上げられている
ユニークな飲食店「未来食堂」の店主さんの本。

食堂の仕事をお手伝いすると1食食べられる
「まかない」システムがあり、
つまりは毎回違う人が来る訳ですが
・色んなメンバーで成立するチームとは?
・そのチームを率いるリーダーとは?
という視点から書かれた本です。

全体に通じるのが冷静さ。
人に対して期待と愛があるのに、
論理的でいい意味でドライ、
無駄な感情を消費しないように仕組を良く考えてらっしゃる。

いわゆるビジネス書のマネジメントノウハウや
カリスマリーダーの情熱的なリーダーシップ論とは違う切り口で
新しい発見が沢山ありました。

その沢山の発見の中から特に印象的な点をいくつか。

1)リーダーとメンバーの目的は違っていい

そもそも個人の目的は異なるし、
リーダーの目的が抽象度が高い場合、
メンバーの腑に落ちるとは限らない。
だからメンバーの目的はより具体的にすべし。

例えば、リーダーの目的が「社会をよくする」的なことでも
実務をするメンバーにはわかりにくいので
「お客様にこういうことで喜ばれる」という風に具体化する。

2)いい空気を作るため「キラーアクション」まで落とし込む

いいチームにするには良い空気を作りたい。
そのために「雑談など積極的にコミュニケーションを取りましょう」とか
ほわっとした推奨で終わらず、
未来食堂では
「この担当の人があちらの担当の人にお茶を入れて上げること」という
実務レベルのルール=「キラーアクション」まで落とし込んでいるそう。
これがあれば「お茶どうぞ」「ありがとう」というやり取りが生じ、
毎度気を配ってしなくても自然に空気が出来上がるとのこと。

リーダーだけで全体の空気をつくろうとせず、
まず「良い空気」を作り、
それをキラーアクション等の仕組みを使って
メンバーでふくらませていくイメージだそうです。
雑談推奨とかより、明確で負担感低く、効果が出そうです。

3)怒るじゃなくてフォローする、そして区切る

何で出来ないの!と「怒る」じゃなくて、
「フォローしよう」と考えましょうとのこと。
出来ないな~というのをずっと見てるのが
イライラするのは当然。
(幼児の着替えの例が出てましたが、まさに~)
方向性を示したらその場を離れる。
著者は「始めて3回までフォローする」と回数を決めたそうで、
それもいいな~と。エンドが見えないと辛そうです。
子育てにもよさそうな考え方です。

4)アリと巨人:場の中心にいる時ほど慎重に

望むと望まないとに関わらず、
リーダーになると「場の中心」になり、作り出す空気が
メンバーに大きな影響を与えてしまう。
そこを自覚して
まるでアリを踏まないよう巨人が歩くように
慎重すぎるくらい配慮して行動しなさいということ。

うう~痛い、なのが以下引用部分

リーダーのあなたからの「皆で平等にやっていこう!」の宣言は、上司からの「今夜飲みに行こう!」の誘いと同じくらい迷惑だと心がけましょう。用心に用心を重ねて繊細で曖昧な空気を壊さないように振る舞っているほうが、アリものびのびと行動でき、結果的にそれは平等な振る舞いにもつながっていきます。

そんなのリーダーの幻想じゃ!というお叱りのようです。


他にもなるほどと思わされることが沢山。
根っこには、リーダーとしてより「丁寧に」
チームが動ける環境と行動を考えるということがある気がしました。

顧客に対してにくらべ、社内には甘えが出てくる気がします。
そんなんわかってよ、とか、言わなくても感じてよ、とか。
それはリーダーの怠慢と傲慢なんでしょうね。
未来食堂、行ってみたいです。

【補足①】
私がこの本を読んだきっかけのweb記事はこちら。
Warisの河さんは福岡在住で、色々お世話になっております。
小林せかいさんと同級生だそう!


【補足②】
私は以下の前著を拝読していて、
「未来食堂はどんな店なのか」知ったうえでこの書籍を読みました。
知ってた方が内容すっと入ってくると思うかと思います。

【蛇足】
↑この本、10才の息子が読んでました。
「ただめし」がインパクトあったようです(笑)

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