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やってきた就職活動②

6月に採用活動中止の連絡があってから、毎日ただひたすらに溜まっていたドラマや映画を見続けた。
何も考えられず、何もしなかった。

人一倍太りやすかった私は、試験に備えて2年で20kg落とした。食べたかったものを我慢して、夢を叶える為に必死だった。
その糸が切れてしまった後、私は過食に走った。
1kgアイスクリーム、お徳用ポテトチップス、マクドナルドのハンバーガー、カップラーメン…
これを1日中、胃に押し込んでいた。
そこには美味しいとかお腹が空いたから食べるとかそういうのは無くて、ただ胃の中を満杯にすることで安心感を得ていた。口の中に物がない状態が不安で仕方なかった。
そんな生活を2ヶ月続けていたら、2ヶ月で20kg太った。あんなに頑張ったのになと思いつつも、これが本来の私なんだろうなと意外とすんなり受け入れられた。

お盆休みを迎えた頃、中学の時からの親友から内定を貰えたと連絡があった。
このご時世で、大手企業への就職。
劣等感を抱いた。
彼女は、誰よりもお節介で心優しい。
だからこそ、私の就活が上手くいっていないことを気にかけてくれて、自分が上手くいったことで私を傷つけてしまったんじゃないかと心配になって、夜中の3時まで電話してくれた。

そして、重い腰を上げ就職活動を再開することにした。
でもそこで間違えちゃったんだと思う。
私の目標は、"どこでもいいから就職すること"になってしまった。会社に入ってから何がしたいかではなくて、入ることが目標であり目的に変わってしまったことに気がつかなかった。
就職サイトで出てきた、まだ採用活動をやっている企業を上から順番に応募した。

こういう事を言ったら、多くの大人にお叱りを受けることになるが…
就活はゲームだ。
相手の懐にいかに上手く入れるか、それは自分の本心でなくても良くて、上手く攻略できれば内定が貰える。
そう考えていたからこそ、1ヶ月後には2社から内定をもらった。(どちらも人手不足の医療事務)

"もう、いいや"
これが本心だった。
私は辛い状況から逃げた。
みんなと同じ、就活生から内定者になりたかっただけだった。

その後、家から近い病院に決め早期アルバイトとして2月から働くことになった。

"住めば都"
この言葉があるように、就職先も気が進まなかったとしても、やってみたら意外と楽しいと思えるかもしれない。
その淡い気持ちを抱いて、無知識のまま医療業界に飛び込んだ。

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