発作
なんとなく騙し騙し過ごしていたが、5月に入ってから毎日涙が止まらなかった。
と思えば、涙が出ないほど元気がない時もあった。
5月はゴールデンウィークの影響で、日曜日以外のお休みが1日だけだった。
仕事をしてもしても休みが来ない。
頑張っても頑張ってもまだ足りない。
心がざわざわして、朝なんか来なくなれば良いのにと思った。
そう思っていたら、寝られなくなった。
2時間に1度目が覚める。
目覚ましよりも早く起きる。
目覚ましが鳴らなくても動悸がする。
泣きながら仕事に行く私に、母は
"みんな同じなんだから頑張りなさい"と声をかける。
私はまだまだ頑張ってない。
みんな同じなんだから私だってもっと頑張らなきゃいけない。
ここで立ち止まるわけにはいかない。
なんでもっと頑張れないの。
そんな考えが毎日毎日ループした。
5月下旬。
いつも通り出勤しようと思った。
その日は涙が出ないほど元気がなかった。
ぼーっと電車に乗っていた。
乗り換えの駅に着いた途端、息が苦しくなった。
"何だろう"
深呼吸を数回して次の電車に乗った。
比較的空いていて席に座れた。
しかし、気分が悪い。
仕方なく降車駅の2つ前の駅で降りた。
ホームにある椅子に座って、呼吸を整えようと思ったがなんか上手くいかない。
お手洗いに行って1人になったら落ち着くだろうかと思いお手洗いに行った。
個室に入った。
突然、誰もいない空間に恐怖を覚えて、もっと息が出来なくなった。
"やばい"
震える手を抑えながら個室を出て水道まで歩いたがもう限界だった。
息を吸っているのか吐いているのか分からない。
目の前が暗くなってきた。
手がカチカチに固まって、足が痺れて力が入らない。
女の人に抱えられるようにして倒れた。
車椅子で事務室に運ばれた。
うまく話せなかったが職場に電話してもらって、少し安心した。
30分以上、過呼吸が収まらなくて駅員さんが救急車を呼び、そのまま搬送された。
その日はそのまま仕事を休み、次の日も休んだ。
翌日、母が仕事に行くと、とてつもない恐怖感に襲われ再び発作が起きたが、前日ほどのものでは無かった。
その後も度々小さな発作を繰り返した。
自分の勤めていた病院の内科の先生に相談したら、一度休職した方がいいと勧めて頂いたのだが、上司が撤回した。
もう本当に、しんどくて。
ピンと張っていた糸が、ぷつりと切れてしまったようで。
生きる気力も失った。
見兼ねた内科の先生が、"パニック障害とうつ病の疑い"で心療内科に紹介状を書いてくれ、内科の先生が半ば強引に休職出来るよう進めてくれた。
やっと休める。
もう行かなくていいんだと思うだけでホッとした。
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