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1980生 介護労働者 左翼 父親  読書大体100冊/年 小説・歴史中心  大体読ん…

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1980生 介護労働者 左翼 父親  読書大体100冊/年 小説・歴史中心  大体読んでる人 飯嶋和一/大江/金原ひとみ/高村薫/ファンジョンウン/Mバルガスリョサ

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金原ひとみ(3) 金原システムをメタ化した怪傑作=『fishy』

ひとに何か一冊金原ひとみを薦めるとしたら、躊躇なく『fishy』(2020年)を薦める 同作は賞をとったりしたわけではないみたいだが、金原ひとみ(1)で述べた金原システムを存分に展開し、その上でメタ的にぶっ壊してみせるという超高度に構築された作品だと思う 一作で著者の天才性を存分に感じ取ることができる 以下完全にネタバレ まずこれまで記した通り、「金原システム」とは、 (1)3~4人以上の異なった人物が、章や節ごとに主人公として入れ替わり、1人称で短い話を紡いでいく (2)

    • 金原ひとみ(2) リア充小説の名人芸=アタラクシア

      前回の金原(1)では、金原小説の基本構造=リッチを下敷きにした「危機」の分割と回復、を書いた 金原ひとみの小説の主人公は基本的にリッチであり、東京23区のマンションに住んでいる 大体人に羨ましがられる仕事をしていて、金に困っておらず、良いものを食べている しかしどういうわけか、金原小説を評する人は大抵、「救いのない荒野」、「優しさや愛に飢え」、「孤独の苦しみ」などと登場人物を形容する(ちなみに上記は「アタラクシア」への野崎歓の書評) 売りたいほうもそういう風に売りたいのか、

      • 金原ひとみ(1) 今日稀有なリッチな登場人物

        なんだかんだ金原ひとみが好きでずっと読んでいる 歳が近いせいもあって、結婚とか子どもができるとか、重大テーマの時間が自分の人生と被るのも、興味をそそられる 金原の作品の登場人物は、今時珍しく「リア充女性」ばかりが登場する 階級的にもリッチである 登場人物は平均的に東京23区のマンションに住んでいる 2000年代、10年代以降の女性作家の小説は、基本的に貧乏くさい話ばかりなので、全く異彩を放っている 例えば、今村夏子とか、津村記久子とか、まあ村田沙耶香とかも、出てくる主人公

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