007 スカイフォール 映画感想文:1

ネタバレありです。

普段、個人で書いてる感想文のコピペです。

素晴らしかった。前回の「慰めの報酬」が微妙だったので前評判はともかくとしてあまり期待してなかったが、もう最高の映画だった。
 宇多丸氏の「1917」評にて、「サム・メンデスはシンメトリックな作りをする」と聞いたのもあってか、映像的な美しさをより感じられたと思う。確かに、シンメトリックだった。本当にこれが「007」のオシャレ感とマッチしてる。だが、何より話のテーマとマッチしてる。見てて本当に興奮する、そして美しい作りになっていると思う。素晴らしいと感じた。

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 まあ「007」映画お馴染みのつかみのアクションからもう最高。カーチェイス、バイクチェイス、で電車アクション。(鬼滅には見習って欲しいところ)で、「ボンド死んだ!!?」からのお馴染みのオープニング。もうこれも格好いいし、本当に曲もよければ映像も格好いいって!!
 オープニングもシンメトリックが出てたり、映画見終わったあとに気づくけど映画をなぞるようなオープニング。これも最高。格好良すぎる。まあこの時点で相当テンション上がってた。

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 映画のテーマ的なのが対比となってるのも素晴らしい。しかも一つの対比じゃなく、「旧」と「新」、「老」と「若」「そして「生」と「死」。ジェームズ・ボンドが死んだ!!と思ってたらいきなりセックスシーン。まさに「生」と「死」を象徴するし、007らしいし(これまで二作しか見てなかったけど)、何より間延びしそうな「これこれこういう経緯でこの人のところでお世話になって・・・」というシーンのカット。大胆だけど、とても良い。で、共同体に浸かって自堕落な酒浸りになってしまったのもあのサソリのシーンでわかるし、すごくいいテンポ。しかも、すげえオシャレ。もうこの時点で「この映画は傑作だ!!」と思ってしまう。
 「老」の部分、ボンドの年齢を感じさせるあの再雇用テストとか、Qが出てきて「若」を見せられたりする。この対比も美術館で絵を中心としたシンメトリックになってて、その絵がまさにこの対比を表現する。が、ラストの新Mの部屋に飾ってある絵が迫力をもって航海する船の絵だったりして、まあしっかり回収する。それがさりげなく上品だし、おしゃれ。
 最もこの映画の大きな対比は「旧」と「新」、「光」と「影」だろう。007 50周年ということもあり、過去作をオマージュしてるような場面がたくさん出てくる。ここは小さな話だが、「現場」と「リモート」というまさに今世界が直面しているコロナの事情に似てるような対比が戦いのテーマとして描かれている。

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 では、これらを戦わせるかというとそうではない。そんな野暮なことはしない、「踊る大捜査線」と違って。(この映画を見ていて「踊る大捜査線3」が浮かんでしまい、久々に日本人であることを後悔した。)むしろ今回の敵は、敗れたが故に歪んだ偏見を持ち対比を戦わせ、歪んだ啓蒙思想の持ち主である。「ダークナイト」を参考にしたらしいが、確かにジョーカーっぽい。で、この悪役もまたすごく魅力がある。「クリック一つでなんでもできる」的なプログラミングができるまあ「新」を象徴し、自分の過去を否定するかのようにジェームズ・ボンドの「旧」を否定する。最初の登場のところとかしばらくの間は「少し弱くないかなあ」と思ったが、「羊たちの沈黙」よろしく「ハンニバルシーン」で「うお、これは・・・」というルックスを露わにする。やることもクレイジーだし、最終的にとても魅力があるキャラクターになってる。例の地下鉄爆破シーン(多分見てない人は違うことを想像すると思う)、本当にクレイジーで迫力があってすごい。

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(多分)つづく

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