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鳴潮は今年の覇権を取れるか

鳴潮、個人的にはそれはもうハマっている。
来る日も来る日も日課もそこそこに延々とフィールドを歩き回って探索やらサブクエやら音骸集めに勤しんでいる。
これだけでもまぁ面白いというのは何となく伝わると思うのだが、今回は一つ一つの要素をピックアップして感想を書いてみようと思う。
未プレイの人向けに始める価値のあるゲームか、という判断をするための参考材料となれば、といったところだ。

まず初めに気になるであろうことについては「原神と何が違うの?」というところだろう。ぶっちゃけね。
開発元から何から全く違うのだが、プレイヤーの我々からすれば中国の方で作られたオープンワールドのアクションRPGということで大して認識に差はないだろう。
実際この鳴潮も無関係とはとても言えないほどに原神ライクなスタイルをしており、作中の大半のシステムは原神のシステムを以て説明可能だ。
とっつきやすいとも言えるしここまで似てて大丈夫なのか?と思う面もある。

であれば最初に提示すべきは「原神との差別化点」についてだろう。
これはとてもはっきりしている。
「アクション性の懐の広さ」だ。
原神の戦闘システムもかなり画期的なものである。元素という独自の要素を基に、反応というシステムを組み込むことによって戦闘がお手軽に、そして深みを持っている。
独特であるが故に新鮮であり、アクションがある程度苦手な人も元素を駆使すれば勝てるというのは非常によく出来たシステムだと思う。
鳴潮はこれとは全くの別ベクトルのゴリゴリのアクションだ。
パリィやカウンター、ジャスト回避というプレイヤースキルに大きく依存するシステムを軸に非常にスピーディで手触りのいいアクションに仕上がっている。

ジャスト回避はスローになる
気持ちよすぎる

流石アクションを得意とする製作元なだけあり、その完成度は随一である。
普段アクション系にはそんなに食指の伸びないタイプである僕が寝食を忘れて没頭するのだから相当なものだ。
その原因の一つに「決して死にゲーではない」というものがある。
アクションが出来なければ当然難易度も上がるのだが、全体的な味付けはやはり万人を意識してマイルドなものになっていると思う。
モンハンシリーズをやった人ならわかると思うが、あれのフレーム回避のようなシビアさはほとんどない。
結構ざるなタイミングでもガンガンジャスト回避が決まってヒットストップ(ダッジストップ?)が入るのでとにかく気持ちがいい。よりコアな例えにするならブレイブ回避くらいの手触りだ。
そのため特筆すべきはアクションのストイックさよりもその感触の良さだと思う。
普段アクションがあまり得意でなくてもなんだかめちゃめちゃにゲームが上手くなったように感じられる。そして繰り返しやっていれば実際の上達もそこそこ感じることが出来る。結果、べらぼうに楽しいのである。
この操作性と完成度についてはぜひ触ってほしいものである。

ここからは鳴潮独自の良さについて述べていこう。
まず何よりも最初に挙げるべきは「音骸システム」だろう。
これはキャラクターに装備する武器とは別のアイテムのことで、原神プレイヤー向けに言うなら「聖遺物」である。

右の5つが装備枠で左がその効果

鳴潮ではこの音骸を集める手段は「フィールドの敵を倒すこと」である。
勿論スタミナを消費して獲得することも可能であるが、その効率はフィールド採取よりも遥かに劣る。(結局育成用の素材はスタミナ消費で手に入れるのだが一旦そこは割愛)
そしてこのゲームはオープンワールドである。
そう、つまりフィールドを探索して敵を倒して回っているだけで装備の取得・厳選が出来てしまうのである。これが恐ろしい。
当然音骸のステータス関連はある程度ランダムであり、ハクスラ的な要素を含んでいる。
敵を見かけて倒してみる、確率で倒した敵がドロップする、それを収集してキャラクターに合うものを厳選していく。
これら一連の流れがスタミナを全く消費することなく時間の許す限り無限に出来る。この中毒性は半端ない。

収集した音骸はフィギュアみたいに見ることもできる
地味なところでドロップした時の音も気持ちいい

ハクスラの中毒性が高いのは言わずもがなであるが、先ほど書いたように鳴潮はアクションの完成度が高く敵を倒すだけでも楽しいのである。
オープンワールドのソシャゲでは際限なくアイテムが落ちてしまうとスタミナでのゲームスピードのコントロールが図れないためにフィールドの敵はどうしても多少無駄な存在にならざるを得ない。
継続的に遊んでもらうのに一日でクリアできてはしょうがないので当然なのだが、まさかここをこんな形で克服するとは思わなかった。
実際無限に音骸集めをしているが、実用段階にするには育成が必要だしその育成素材は無限に取れる訳ではない。遊びたいだけ遊べているのにきちんとゲームスピードは緩やかになっている。
アクションを練習する過程でフィールドの探索が進み、その探索にハクスラ要素があってキャラクターの強化に繋がる。強くなったらまた戦闘で試したくなる。
広大なオープンワールドを無限に探索する理由付けの導線が綺麗にデザインされているのだ。

また、アクションが主役であるが故にコンテンツの種類も気になるところだが、ここもリリース直後としては十分だと感じた。
フィールドボスに挑める強敵討伐(ボスも勿論音骸としてドロップ可能。しかも倒してドロップを狙うだけならスタミナは不要)、純粋な高難易度として複数キャラを使用してシーズンごとに敵の変わる逆境深塔、ローグライク形式でキャラを強化しながら戦闘を繰り返す深層空想秘境、通常よりも超強化されたボス、ホロタクティクスなどなど。
どれも正直戦闘だけではあるのだが、必要とされる要素はそれぞれ異なっていてどれも違った感触で楽しめる。
特に深層空想秘境は強化次第では全く別ゲーのような無双感を味わえるので是非遊んでみてほしい。もちろん報酬も非常に豪華だ。
戦闘以外にもフィールドにあるギミックにはパズルのようなものも揃っているし、また、後述するが移動の快適さも相まってマップの密度も決して低くない。
個人的な感想だがどこを探索してもすぐそこに何かしらのコンテンツがあるので逆に辞め時に苦労するくらいである。

そしてオープンワールドで気になるのは探索性
これに関しても後発の強みを活かして非常に快適に作られている。
少ないクールタイムで垂直ジャンプのアクションは使い放題だし、二段ジャンプのような空中回避も行うことが出来る。
勿論滑空も備えているし、壁面も垂直だろうが岩山だろうが平地とほとんど変わらないフィーリングで駆け上ることが出来る。

移動はマジで現状唯一の快適さ

何よりいいところと感じたのが、非戦闘時はダッシュ時にスタミナを回復するところ。
他ゲーだとどうしてもダッシュにスタミナを使って息切れとなる時間が存在するが、鳴潮はダッシュを継続すると逆に徐々にスタミナが回復するという仕様。
流石に戦闘時は対象外だが、戦闘時にそんなに走ることもないので気にはならない。
また、宝箱を探知するアクションやフィールドギミックを可視化するアクションまで、非常に細かいところまで揃っている。
とにかくフィールドが広いだけではなく、それを如何に快適に移動させるかというところにまで工夫が見えた。

また、ソシャゲの宿命であるガチャについても触れておこう。
こちらも例によって原神よろしく、天井カウントはリセットなしの定期的にピックアップが入れ替わる形式のものである。
キャラクターガチャにはいわゆるすり抜けがあるが、武器ガチャにはすり抜けが存在しない。

ありがたい

また、月替わりでガチャ石を交換できるのだが、鳴潮はここでキャラガチャの石に加えて「武器ガチャ専用の石」も交換できる。
つまり毎月続けていれば、キャラガチャとは全くリソースの共有をせずに定期的に武器ガチャを回せることになる。
これは結構大きい。
ソシャゲである以上ガチャシステムが優しいとは口が裂けても言えないが、その中でも鳴潮は比較的とっつきやすいレベルのものと言えるだろう。

ガチャのついでにキャラクターについても軽く触れておこう。
ソシャゲの正義はキャラ人気に尽きると思うが、本作のキャラクターデザインはアニメ調ながら頭身は高めのシャープなものが多く、これもまた人気を生みそうなデザインだ。
個人的にはキャラデザにはあまり重きを置いていないが、どのキャラクターも綺麗な感じでとてもいいと思う。

丹瑾ちゃんかわいいね

まぁこの辺りはファンタジー系であったりトゥーン調が入っていた方がいいという人もいるし好みの問題だろう。
成人男性キャラ、成人女性キャラは勿論、ロリショタも若干いる。モデリングとしては幅が広くあるので、これからのキャラクター展開にも期待が持てる。
キャラ比率としてはやはりこういったゲームの性質上女性キャラが多いが、男性キャラもそこそこいる。というか最初の限定ガチャは男性キャラである。
キャラ推しという人は気に入ったキャラをきっかけに始めるのもいいかもしれない。多少のロールはあるが、アクションものなので好きなキャラをある程度は好きなように運用できる。

ここまで褒め殺しで来たので、逆に足りていない部分にも話を広げよう。
まずはストーリー
これは正直擁護が出来ない。
序盤から専門用語が飛び交うのはまだSFとして見れば許容範囲内だが、人名も用語も地名もどれも中国語読みが混ざるから読めない漢字ばかりで逆に記憶に残らない。パルスのファルシのルシがパージでコクーンを中国語でされている気分である。
また、半分くらいの用語はフリガナもないため音声での読み上げがないか、もしくはあっても忘れたらもう読めない。
この辺りは改善されるらしいが、それでも没入感に関しては一歩周りに劣っていると言わざるを得ないだろう。
そのため、没入感満載の重厚なストーリーを期待して始めるゲームでないことだけは伝えておく。
きちんと読んで考察をすれば流石にストーリー自体の品質が低いとは思えないので、入り口が改善されることを祈るばかりである。

次に戦闘面以外での操作性も少し気になった。
僕はPS5のコントローラ(Dualsense)を使用しているが、よくあるダイアルメニューの表示ボタンが左方向キーなのはやや使いづらい。
また、前述した探索用のツールもスロットが限られており、いちいち変更しなければならないから結局ロープアクションだけをセットして使っている、みたいなことになりがちである。
更にコントローラだけかもしれないが、コンフィグの範囲も狭い。
確かこの辺は後程改善されると書いてあった気もするので期待するしかないだろう。

そしてそもそも、スマートフォンだとコントローラ自体に対応していないらしい。
僕はPCでしかやらないので気にはならないが、スマートフォンでやる人はこのアクションをタップでしか出来ないというのもなかなか不便だろう。
また、PCと言えどコントローラの対応にはやや不安が残る。
ネイティブに使えている人もいるようだが、僕の場合は何をやっても認識してくれなかったためにSteamを通じて無理やり認識させる方式でやっている。
そのため、ボタンの表示がコントローラと対応していない。手で操作を覚えてしまえばさして気になりはしないが、最初のとっつきづらさに繋がる点でもあるので、これからコントローラで始めようとする人はやや注意が必要かもしれない。

短所についてはリリース直後ということで若干の準備不足のような印象があるが、どれも恐らく将来的に改善可能な範囲であり、ゲームシステムそのものといったところに大きな不満はなかった。
いや、あるのかもしれないが楽しさの方が大きすぎて気が付かなかった。
鳴潮はCBTの時にはもっと不満点が多く、そこからほとんど作り直しといえるくらいの修正を経てこの製品版となったらしい。
であればこれからも短所の改善にも期待が持てるし、是非よりよいゲームとしてもらいたいところだ。

最後に個人的にはこのゲーム、是非とも体験してみるべきだと太鼓判を押したい。
最初のストーリーの山を越えてしまえばそこから先は楽しさで時間が湯水のように溶けること請け合いである。
アクションが苦手だろうがオープンワールドに触れたことがなかろうが逆にもう飽きてしまっていようが、大半の人は「おっ面白いぞ」と感じる出来ではないだろうか。
それではこの辺で僕はゲームに戻ろうと思う。音骸集めないと

以上、リコでした。



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