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失恋の先にあるもの。

きっとめいいっぱい泣いて思い出に浸って彼の好きなところを思い返す。彼以外に私を満たしてくれるような人はいるのかと疑ってみては復縁が何度も脳裏をよぎるだろう。

今もし復縁しても先は見えないから、また一度冷静になって何も感じなくなるのだろう。慰められたくないからきっと誰にも別れたことは告げないのだろう。それか、意味が分からないくらいみんなに言いふらして同情を求める。けれど同情の先にあるのはやはり虚無感と損失感だけであった。

とりあえず泣きたいけど泣けないから泣ける曲を検索するのだろう。

泣ける 失恋 忘れられない 片思い 曲

こんなキーワードが並ぶのだろう

結局しっくりくるものには出会えないのかもしれない。出会えてもそれは短期間のみ私を満たしてくれるだけのものであって、虚無感と損失感はなかなか私から離れることはないだろう。

急に本当に我に返り、どれだけ自分が身勝手だったかを思い知らされる。そしてその時私は成長するのだろう。もう少し後で彼と出会っていたらとか私の成長段階で出会う相手にしてはあまりにももったいない人だったと泣くのだろう。

掃除を長らくしていなかったことに気づいて、急に掃除をしだす私の目の前に彼が私にくれたプレゼントたちが私を見つめるのだろう。

捨てないでね。いや、捨てていいよ。

そんなことを言っていたななんて思いながら、何個かはリサイクルショップへ向かう袋へ入れる。だが、一つだけ大きいクマのぬいぐるみだけは私の手を伸ばすことができなかった。


掃除を終え、ベッドで一息つくためにお酒を飲んでいると少しゆらゆらしてきた私の視界にリサイクルショップの中に入ったいろんなぬいぐるみが私を見つめてきた。あの小さいクマのぬいぐるみ抱いて寝てたな。なんて思いながらお酒を一気に流し込んで、その日だけ、リサイクルショップの袋に入れたぬいぐるみたちと一緒に寝る。

会いたいよ。

そんなことは言わないし、思っていない。

失恋の先には、やはり損失感と虚無感と自分をごまかす言い訳と偽善者ぶった言葉たちしかない。

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