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indigo la endが冬、日が落ちる頃に降るチューリップ。

まだ夏だというのに、
もう私が好きな冬を思う。

冬が好きなのは、
なんとなく全てがリセットに向かっている感じがするからだ。

もう汚く沈んだ思い出も、うまくいかずに悩んだ日々も、

結局想いを伝えられずに距離が離れたあの人のことも。

全ていい思い出になる気がしたから。



結局どうしようもできなかったことを、

冬の透き通った空気がどこかへ連れ去るような気がしたから。

来年になってもきっと何も変わらないはずなのに、

年越しの真っ暗で綺麗な星空を見ると、

年明けにくじを引いて、神社の光景を見ると。


また新しい何かが始まった気がする。


どうせ同じことの繰り返しかもしれないし、

自分を思いにふけさせるindigo la endを流したって
むず痒い現状はそのままで。


バカになって暴れる想像をして、
走り回った帰りに想いを伝えられずにいたあの人の家の前に行く。


なんでこんなにタイミングよく帰ってくるんだよってその人を見つめる。

真冬なのに息を切らして赤いマフラーをつける私を見て、
その人が視線を上げる。


イヤホンを片方探す動作が、

少し赤くなった鼻と赤くなった唇が

愛おしくなる。


「欲しい…」

「ん?」

ここにいても当たり前のように驚かない彼の様子が嫌で、

ぼそっと好きですと言ってみる。


夏なのに冬によく聴いていたindigo la end
チューリップ。


その続きは赤く染まるチューリップと青く染まった空にかき消された。


普通のR

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