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ガラパゴス化したジャニーズ帝国

『日本の芸能人は世界では通用しない。』

そんなことを昔からよく聞くが、確かに考えてみても誰も思いつかない。
▪️世界のケン・ワタナベ?
(いやいや・・・そんなこと言っているの日本人だけでしょう笑)
▪️きゃりーぱみゅぱみゅ?
(日本でもオワコンなのに?)
▪️ビートたけし?
(芸人として笑ったことないし、もはや映画監督だし・・・) 

じゃあ日本アイドル史上最も成功したと言っても過言ではないSMAP?とか

アジア圏(と言っても中華圏と韓国だけ)では一定数のファンはいたようだが、世界規模で見たら彼らでさえ無名だったと思う。またアジア圏で人気あるという雰囲気もジャニーズ事務所が過剰に演出していたのではないかと私は考えている。

しかし私が言いたいことは、「日本の芸能人はレベルが低いよね」ということではない。昨今、やっと日本のメディアでも報道されるようになった一連のジャニーズ事務所の闇と日本大手メディアの関係に代表される癒着や忖度や圧力が日本芸能界をガラパゴス化(市場が外界から隔絶された環境下で独自の発展を遂げ、その結果として世界標準の流れからかけ離れていく状態を揶揄する表現)させて、世界では生きていけない特殊な環境を作り出してしまったのではないか?ということなのだ。

ジャニーズ事務所の最高権力者で長年トップに君臨し続けたのが有名なジャニー喜多川氏(2019年87歳没)だった。私たちはなぜか彼の名前や言動は様々なメディアでジャニーズ事務所のタレントからよく聞くのに、亡くなるまで彼の顔写真も肉声も見聞きしたことはなかった。今考えれば、そこからもう異常な状態だったのかもしれない。彼が表舞台を好まないという性格だったのか何か疾しいことを隠していたのかわからないが、日本最大手芸能事務所の社長があそこまで謎に包まれていてもそこに疑問をもつ日本のマスコミはいなかった。いや、彼に疑問を持つことは許されなかった。と言った方がよいのかもしれない。

しかし、ここにきてやっと潮目が変わってきた。
BBC(英国放送協会)が今年の3月にPredator: The Secret Scandal of J-Pop(邦題:J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル)」というドキュメンタリー番組で元ジャニーズJr.数名が顔出しで性的虐待の詳細を証言した。これを受けてのジャニーズ及び日本のマスコミへの世界的なバッシングが起きた。またジャニー氏そして彼の実姉でありジャニーズ事務所の副社長を長年務め、女帝とも言われていた藤島メリー氏が亡くなったことも関係してるのかわからないが、日本のマスコミも今回ばかりは重い腰をほんの少し上げ始めた。

各地上波TV局は、ニュース番組で性的被害を証言した方の日本外国特派員協会での記者会見をとりあげ放送したが、そりゃもう腫れ物に触れるかのような及び腰で呆れ果てる。現ジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子氏はこのような問題の最中、メディアからの直接質問などに応じずコメントと謝罪の動画を公表したのみ。ジャニー氏の性的虐待疑惑については今まで知らなかった(2003年に東京高裁で性加害を報道をした文藝春秋を提訴してセクハラ行為が認定されているのにも関らず)としらを切っているのにそこへの追求はほぼ行われない。

なぜこんなにも大手マスコミは日和ってるのだろうか?答えはジャニーズ事務所を批判することは自社にとって利益相反になるからだ。ジャニーズ事務所は所属しているタレントを取り引き材料にして、マスコミへの支配力を強め続けジャニー氏による性的虐待疑惑が何十年と囁かれても黙認・黙殺されてきた構造を作り出したことは火を見るよりも明らかだ。

こんな歪んだ構造が続いて言い訳がないのだが、大手芸能事務所と大手マスコミの持ちつ持たれつの構造がある限り、同じような被害者は生まれ続けるだろう。日本の芸能界や日本のマスコミのような世界の潮流と隔離された独自の進化(ガラパゴス化)を遂げた会社に期待することは全く出来ない。

突然だが、ここで2つの映画を紹介したい。

▪️ スポットライト 世紀のスクープ(2015)

▪️ SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022)

どちらも実話を元にした米国の映画なのだが、
スポットライトは第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞を受賞した作品で、実際にあったボストン周辺で蔓延していたカトリック司祭による性的虐待に関するボストングローブ紙による報道の顛末を描いた作品。
SHE SAIDは#MeToo運動が世界に大きく広がるきっかけの一つになった、2017年のハリウッドで多大な影響力持つ映画プロデューサー、ワインスタインの何十年に渡る性暴力事件をニューヨークタイムズの2人の女性記者が追いかける作品。

今回のこの事件において日本のマスコミの中に、この映画で描かれているような記者が出てくることを祈らずにはいられない。

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