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 トレドから帰国したのが2011年10月。鞄について自由に語っている書籍を出版しよう! と声を掛けたら、鞄好き7人が集まった。

 剣先太郎(自動車関連会社経営/写真家)
 杉山明信(茗渓学園教諭/成城大学講師)
 鈴木健嗣(資産防衛コンサルティング会社経営)
 武部健治(大和出版印刷株式会社社長)
 古山浩一(画家/絵本作家/随筆家)
 ボンジョルノ松本(鞄専門店ル・ボナー店主/鞄職人)
 中谷でべそ(神奈川県立高等学校教諭/萬年筆くらぶ運営)

 この7人、鞄の話になると止まらない。それぞれが好きなように鞄談義を展開。熱い一冊となった。
 当時、それぞれが重要な仕事をもっているため、詳細な打ち合わせはできなかったが、何とかまとめて2012年12月23日に書籍『鞄談義』を出版することが叶った。トレド帰国から約1年後ということになる。
 夢が現実となった。いや、夢を実現した。

 帰国後、かなりハードだった。書籍名、書籍のサイズ、紙質、活字の形体・サイズ、紙面のレイアウト、表紙のデザイン、本文構成、写真・イラスト、製作部数など、決定しなくてはならないことが山ほどあった。自分の原稿も書かなくてはならない。更には全原稿の校正も。これは時間のかかる仕事だった。

 書籍のサイズについて少し言及すると、実は、写真家の剣先太郎さんと画家の古山浩一さんは大判の書籍を希望していた。微妙な表現が可能な紙質への要望もあった。作るなら最高のものを目指す。さすが芸術家たちだ。視点が違う。しかし、それらを実現するとなると書籍代が高くなり、4,000円を軽く超えてしまう。高価な本を買ってくれる人は少ないだろう。
 私はというと、文庫本のように『鞄談義』を鞄の中に忍ばせておいて、電車の中でも読んでもらう…というイメージでいた。本代も送料も安くてすむ。最終的には二人に泣いてもらって小型の書籍になったわけだが、芸術家たちの表現を存分に盛り込んだ書籍もいずれは出版してみたいものだと思っている。

 夢は追い続けたい。


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