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#075 絶滅危惧種? 記念切手を貼った手書き葉書(下)

 いま葉書の送料は63円。封書(定型)は84円だ。それが今後、葉書が85円、封書が110円に値上げされるという。約3割の値上げを検討しているというから、萬年筆くらぶの会報誌『fuente』の送料は180円から230円となることが予想される。
 少子化が進み、労働者不足が深刻な社会問題となっている今日、送料の値上げは仕方がないのかもしれない。
 しかし、日本郵便よ、送料の値上げだけで、他に解決方法はとらないのか?
 葉書・手紙は次世代に伝えるべく文化の一つとの認識はないのか?
 日本郵便の今日までの展開をみながら、日本郵便が葉書・手紙を文化の一つとして捉えきれていないのではないのかと、私は危惧していた。
 民営化され、ますますその傾向は強まっていった。経営、利益、それらを優先させると、切り捨てられるものが出てくる。記念切手を貼った手書き葉書が何の役に立つの?! ということになる。
 はい、おっしゃる通り、何の役にも立ちませぬ。

 しかしながら、伊東屋や鳩居堂では、魅力的な便箋や封筒が多数並び、多くの人たちが買い求めている。手書き文化は華やかに息づいているのを感じる。メールにはない「触れる」という感覚を大切にしている人は少なくないのだ。
 日本郵便よ、諦めてはいけない。日本には手書き文化という文化が伝わっていることを、日本郵便という企業として、もっと多角的に、そして真剣に発信してもよいのではないか。もし、日本郵便が「葉書・手紙文化を育てる推進委員会」でも発足させるなら、是非メンバーに加わりたいと私は願っている。

 3月29日、神奈川県は午前中、台風のような強い風が吹き、大雨だった。午後は天気予報通り晴れて、午後に速達が届いた。速達を手渡してくれた若い郵便配達員に「晴れて良かったですね」と一言声を掛けたら、「午前中は配達できませんでしたから、晴れて助かりました」と配達員はニコッとした。
 こんな会話も何も役には立たないかもしれないが、郵便配達員こそ、葉書を絶滅から救ってくれる人たちなのだ。

 葉書の送料が63円から85円になる。出費は痛いが負けてはならぬ。葉書という文化が絶滅しないよう、せっせと記念切手を貼って、葉書を書き続けようと思っている。

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