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vivere est militare

古代ローマの名言の一つに

vivere est militare(生きるとは戦うことである)

というものがある。地中海の覇者たるローマ人らしい名言だが、現代に生きる我々にも響く力強さがある。

現代社会に生きる我々は何と戦っているのだろうか。上司、同僚、sns上でクソリプ飛ばしてくる人、答えは人それぞれ違うだろう。

僕は理論物理学者なので仕事仲間こそいれど、彼らはいわゆる上司や同僚とは少し違う。snsでクソリプ飛ばしてくる人も幸いに居ない。

僕が何と戦っているのか、月並みな答えだが、僕の敵は僕自身なのだろう。

僕は生来の怠け者だ。自分を客観視するのも得意では無い。なので油断するとすぐにサボってしまう。理論物理学者という職業の難しいところは、僕がいくら怠けたところで僕以外誰も困らないという点だ。

研究成果が出なければ、次の職が見つからない。次の職が見つからなければ、死ぬ。

このことから目を背け続ける限り、僕は怠惰な生活を続けることができる。逆に言えば、この現実を直視し、自分を奮い立たせて研究することこそが僕にとっての闘争なのだ。

幸いなことに、今のところ研究はとても楽しい。論文を書くのは大変だけど、出版された時の達成感はまた論文を書きたいと思える程度には大きい。

だが、このメンタリティが失われたとき、僕が僕に負けたとき、僕はどうなるのだろう。

空恐ろしくなるので、これ以上は考えない。

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