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コンダクターリリース記念連載第一弾「発達障害」と「働く」

みなさん、こんにちは。フェルマータ代表の寺戸です。

いよいよ、コンダクターを一般公開する目処が立ちました
(公開は、2月下旬〜3月中旬を予定)

一般公開に向けて、私たちフェルマータのこれまでと、アプリ「コンダクダー」を通じた取り組みで目指す「働き方」について連載形式でお伝えしていきたいと思います。

コンダクターは、発達障害のある方の「タスク管理」に着目したアプリです。この第一弾では「発達障害」のある方は、なぜ働くことに困ってしまうのか。就労支援の現場で見えてきたものをお伝えしていきたいと思います。

代表的な発達障害(ADHDとASD)

代表的な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があります。

コンダクターは、これら2つの特性に共通する課題にアプローチすることで、発達障害のある方の職場環境を改善しようと意図したアプリです。

ASDは、少し前だと「アスペルガー症候群」と呼ばれており、そちらのほうが聞き覚えがある方も多いかもしれません。ASDは、①社会性、②コミュニケーション、③想像力の3つに課題があると言われています。(ウィングの3つ組)

一方で、ADHDは、注意欠如=「うっかり忘れ」の他、「遅延報酬の障害があると言われています。遅延報酬とは「すぐに達成感が得られるものに注意が移ってしまう」というような特性のことです。

発達障害の働きづらさは、「実行機能の障害」にある

私は普段「就労支援」をする機関で相談員として働いています。

そこでは「就労したけど、仕事がうまくこなせない、また人間関係がうまくいかないことから傷つき、次になかなか踏み出せない方」などの相談に乗っています。

発達障害のある方が、仕事を含めた社会生活に困難が生じるのは「実行機能」に関係していると考えられており、このことは、これまで3年ほどの現場での相談経験とも合致しています。

実行機能とは「課題を段取りよくこなす能力」のことです。

就労支援の経験から、ADHD、ASDの双方についての実行機能について考えて行ったときに

①注意力の運用
②情報の判断
③時間的展望

が、働く上で抑えるポイントになると考えています。

ここからは、上記3点が実行機能を阻害しているメカニズムについて解説します。

実行機能の阻害要因1 注意力の運用

現在、就労支援の現場で一緒に臨床心理士の方に教えていただいのですが、発達障害がある方は「注意力がないわけではない」わけではありません

注意力の総量自体は、発達障害でない人=「定型発達」と呼ばれる人たちと変わりありません。ただ、その注意力の「運用」に課題があると考えています。

今、こなすべき3つのタスク「A」「B」「C」があるとします。優先すべきものが「A」であると仮定します。

注意力の総量を「100」とした時、定型発達者であれば優先すべきタスク

A:70 B:15 C:15 
※定型発達の場合(適切に注意を分配)

という形で、注意力を適切に割り振ることができます。

しかし、ADHDの特性がある場合、初めは「A」に70の注意力を割り振っていたとしても、仕事として楽しそうな「B」のタスクが気になりはじめ

A:40 B:60 C:0 
※優先ではないBが気になり初め、、

となってしまい、「やるべきことが進まない」ということもよく起こります。

かと思えば集中力の総量をすべてを1つのタスクに投入する、いわゆる「過集中」状態に入ることもあります。

A:0 B:100 C:0
※Bに過集中

という感じで、この時は、周りの声も聞こえないくらいの集中力で、抜群のパフォーマンスを発揮することもあります。

このように注意力がないわけではなく、注意力の運用、適切に配分できないことにより実行機能が阻害されていると、私は考えています。

実行機能の阻害要因2 情報の判断

ASDの方は、情報の判断ができないことが、実行機能の阻害要因になっていると考えています。

先程の例の「A、B、Cのタスク」について考えた時、注意力の運用ではなく、そもそも「優先順位」という曖昧な事柄を扱えずに作業に着手できないということがよくあります。

また、物事について考えるときに、「自分なりに筋が通ることなのか」=「目的合理性」を重視する特性ゆえに、納得がいかないと前に進めないことも多いです。こだわるが故に、優先すべきタスクでない「C」にこだわってしまうこともあるかもしれません。

なので、タスクをもらうときに、意図を確認すること、また記載のない手順などは想像することが難しいため、やるべきことは箇条書きなどで明記してもらう必要があります。

ADHDの方は、情報の質とは別に「情報の量のコントロール」が必要です。多数の情報があると目移りしてしまい優先順位がつけられないことがあります。

実行機能の阻害要因3 時間的展望

発達障害のある方は「気がついたらもう時間がなくなっていた」ということがよくあります

ADHDの方は、注意力が発散してしまい、気がついたらもう家を出る時間だったなど、阻害要因1で紹介した「注意の運用」が関係しています。

しかし、ASDの方は、そもそも「時間の奥行きを感じにくい特性」があるといわえれています。時間が紙芝居のような感じで、連続性が感じにくい。それゆえに計画が立てづらいことがあります。

予定が崩れると不安が高まる方が多いのは、その裏返しなのかもしれません。

まとめ

・注意力の運用
・情報の判断
・時間的展望の持ちづらさ

が、実行機能を阻害する要因であり、そのことがうまく働けない原因であると想定しています。

これらを補完するのが「コンダクター」です。

タスク管理というと、手際良く作業ができるかという「作業スピード」、複数の同時作業ができるかという「マルチタスキング」といった部分を想定する方が多いかもしれません。

ただ、発達障害の特性を深掘りする中で見えてきたのは

「タスク管理とは、注意力の管理」である

ということです。

発達障害でない方であっても、現代社会は多くの情報に溢れていて、自由に進路を選択できる分、「自分が何に注目すべきなのか」という注意力の管理は、喫緊の課題となっているのではないでしょうか。

なので、コンダクターは発達障害の特性を深く考えることで生まれたアプリではありますが、多くの人にも使えるアプリになっていると思います。

次回は、代表の私、寺戸が就労支援の中で感じる「発達障害」についてお伝えします。

→第二弾はこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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