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Fender LEAD Seriesの調整・メンテナンス(追記:2020/10/21)


 Fender LEAD Seriesの調整やメンテナンスについて書いてみたいと思います。
といっても、ペグ配置が片側6連のデタッチャブルネックに、弦が裏通しの6WAYサドルハードテイルなエレキギターは、オリジナルLEAD Seriesの発売以前からFender社においても複数あり(例:ノントレモロのStratocaster、Telecaster Deluxe、Starcaster、etc)、その調整方法はシンクロナイズドトレモロユニットが搭載されているStratocasterや、3WAYサドル搭載のTelecaster等と比較してもシンプルであると言えます。
 新旧のLEAD Seriesにおいても上述の仕様は共通なのですが、細かく見ればブリッジ部におけるサドルの固定方法や、トラスロッド調整穴の位置など異なる点もあります。


弦交換

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 弦交換の方法は大変シンプルです。まず弦をボディー裏面のストリングフェラルから通し、弦が外れにくいように予め曲げてから適切な長さに切りそろえ、ペグポストの穴に差し込みます。弦を切る長さは、筆者の場合対象となるペグより2つ分ほど余した長さにしますが、3・4弦にストリングガイドがないギターではペグポストへの巻数を増やすため、当該弦についてやや長めに切りそろえることもあります。


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 現行のLEAD Seriesのサドルではまず見られませんが、オリジナルのサドルの場合、長期使用に伴いサドルに弦の跡が溝として残ってしまっていることもあり、弦交換の際に注意を要したり、最悪サドルの交換が必要となるケースもあります。


弦高・オクターブ調整(現行)

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 現行LEAD Seriesの弦高・オクターブ調整について特別な点はなく、オクターブ調整はプラスドライバーを、弦高調整は六角レンチを用いて行います。用いられているネジ類はいずれもインチ規格ですので、プラスドライバーはともかく六角レンチは購入時に付属しているものを用いるか、画像のような柄がついているタイプのもの(大変使いやすいです)を購入して用いることになります。


弦高・オクターブ調整(オリジナル)

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 オリジナルLEAD Seriesの弦高・オクターブ調整についても上述の現行と同様で規格もインチなのですが、サドルの固定が通常のバネではなく六角ナットとなっています。小さな六角ナットで販売時には専用レンチが付属していましたが、ラジオペンチ等でも十分代用は可能です。確実な固定ができるともいえますが、正直締めたり緩めたりは面倒ですし、締め過ぎればネジが途中で曲がってしまうこともありますので、六角ナットを外してバネで固定するのも選択肢であると言えます。六角ナットでの固定を選択する場合、くれぐれも締めすぎにはご注意ください。


トラスロッド調整(現行)

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 現行LEAD Seriesのトラスロッド調整ですが、六角レンチを差し込む穴はナット上部にあります。やはりインチ規格(3/16インチ)のものが必要ですので、付属しているレンチを使うのが間違いないと思います。


トラスロッド調整(オリジナル)

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 オリジナルLEAD Seriesのトラスロッド調整ですが、調整用ナットの形状は十字形で穴はネックエンド部にあります。ですので、調整のためにはネックを外す必要があります。なお、LEAD Seriesのピックガードには調整用ナット部に浅い皿上の削り込みがあり、一見するとネックを外さずに調整できそうな気もしますが、実際には極めて困難というか不可能です。


ピックアップ高調整

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 ピックアップ高の調整については、突起すべきことはありません。ただ、LEAD1及び3の場合、ピックアップの1弦側にはネジが2本、6弦側にはネジが1本の計3本で固定されており、ピックアップの高さに加え角度(ネック-ブリッジ方向)の調整も可能となっています。


各種ネジ調整

 LEAD Seriesに限らずエレキギター(特にFender系のデタッチャブルネックギター)には多くのネジが使われており、これまでに触れたネジ以外にもLEAD Seriesではペグ、ストリングガイド、ネック、ピックガード、ブリッジベース、ストラップピンなどがネジ止めされており、その他ピックガード上ではPOT等が六角ナットで固定されています。これらに緩み等があれば増し締めが必要となります。

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増し締めにはプラスドライバーやプライヤー、ボックスレンチなどを用います。画像はアウトプットジャックやPOTを固定する六角ナットと同径の専用レンチです。


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 POTを固定している六角ナットの増し締めは、ノブを外すとやりやすいのですが、しっかりと嵌ったノブは案外と外しにくいものです。画像の工具は「ノブプラー」といい、上の画像から下の画像の状態にして真上に引っ張ると、非常に簡単にノブを外せとても便利です。


「鳴り」の微調整

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 各部のネジは緩んでいるのを増し締めるばかりかといえば、そうでもありません。筆者は、ネックジョイント部のネジをある程度しっかり締めた後、弦を張ってチューニングを合わせた状態で、5°以下の単位で4本のネジを少しずつ緩め微調整を行います。本当に少しずつですので、もし行う場合緩めすぎにはご注意ください。まあ、緩め過ぎたら増し締めればいいわけですが。

微調整前後比較
(向かって左:増締直後 向かって右:微調整後)

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 目的は、生鳴りというか、ネック・ボディーの振動の感じを変化させるためです。どの程度緩める、という具体的な目安もなく非常に適当なのですが、何となくいい感じで振動しはじめたところで止めます。上の画像の向かって左が増締直後で、向かって右は少しづつ緩めて何となくいい感じになったと感じたところです。時計の針で1分間分の角度が6°ですから、やはり5°~10°程度であることがわかります。
 これまでの経験で言えば、重量の軽重にかかわらず大体どのギターでも変化はします。振動が大きければいいというわけでもなさそうで、できればアンプからの出音も並行して確認しながら緩め具合を決めるのがいいように思います。
 ネックジョイント部のネジ以外にも、ピックガードの固定ネジを調整したり、ストリングガイドの高さを微調整したりと、色々やれることはあるのですが、経験的にはネックジョイント部の微調整が最も手軽かつ変化が実感しやすいように思います。

【了】

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