伝えること
散歩の時に、たまに会って話すおじさんがいる。
挨拶して、天気や体調などの話をする程度だが、気軽に話すような感じになっていた。
その人は煙草を吸う。私自身は煙草は吸わないが、横で他の人が吸っているのはそんなに気にしないタイプだ。(気になるタイミングもある)
道端で世間話をしながら、そのおじさんはその日も煙草を吸っていて、挨拶して別れようとした時だった。
そのおじさんは吸い終わった煙草の吸い殻を草むらの中に投げ捨てた。
たしかに火は消していなかったと思う。用水路沿いのしげみで、火災の心配などは少なそうな場所だが、、と、そういう問題ではない。
自分の父親ほどの年齢の方がそのようなことをするなんて残念な気持ちになった。
吸い殻を捨てるのを続けると、どれだけそれでいろいろな場所が汚くなるんだろう。道端よりも掃除しにくい草むらの中なので、余計にタチが悪いかもしれない。
しかし、自分はその場ではそのことを注意できなかった。
そこで別れてからずっと、モヤモヤした気持ちを自分は持っていた。
私はその後、おじさんと会うことがあっても、素っ気ないような挨拶になったり、遠くからその人を見つけたら避けたりしていた。
それがこの前、久しぶりにそのおじさんに会った。
久しぶりなので、近況の体調の話をしたり、世間話をしていたが、そのおじさんが煙草を吸い始めた。
私は内心少しドキドキして、見守りながら話していた。
そばには草むらがあった。
煙草を吸い終わると、そのおじさんはまたも煙草を草むらの中に投げ捨てた。
今回予想していたので、驚きはしなかったが、やはり残念な気持ちになった。私はまたも注意できず、さっさと話を終わらせ、挨拶をして別れた。
別れて、歩いたらすぐのところにコンビニがあったので、ふと思い立って私はそこで携帯用の灰皿を購入した。
そして、引き返しておじさんを見つけたので、「これ使ってください」「ポイ捨てはよくないですよ」「若い人が見ていてまねしたらまずいですよ。これ使ってください」と言って、買った携帯用の灰皿を渡した。
どういう反応をするかわからなかったが、「言ってくれてありがとう」「これからこれ使うよ」と言われ。
とりあえず、自分の中ではほっとした。
「前も注意されて、頭ごなしに注意されると、ムッとくるが、今はそういう伝えかたでありがたかった」と言っていた。
私は「そういう問題か?」と思ったが、たしかにそういう面もあるかもしれない。自分の正義をストレートに伝えるのは、手っ取り早い方法なのかもしれないが。じっさいそのおじさんは以前注意されていてもポイ捨てをやめていないので、ただ注意するのでは効果はなかったと言える。
でも今回言ったことにしたって、それでおじさんがポイ捨てをやめるかどうかはわからない。こんご少しは踏みとどまるようになって、ポイ捨てをやめるようになっていてくれればうれしいかな。
もちろん街や自然は余計に汚れない方がいい。
多分そのくらいしかできない。
自分には大したことはできないだろうし、
まだわからないけど、伝えたかったことを伝えることができた事で、おじさん一人を嫌いにならないで済むかもしれない、それだけのお話でした。
AraTetsu
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