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特撮会議―研究と批評―

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『ウルトラマン「正義の哲学」』や『ウルトラマンは現代日本を救えるか』の著者による特撮研究/批評。  特撮コンテンツの表象する社会について読み解くのみならず、特撮コンテンツ自体の文…
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2019年6月の記事一覧

Netflix『ULTRAMAN』論―自らもポストモダン化する”等身大”の、そしてシンクロニシティのウルトラマン―

1 昭和『ウルトラマン』世界のn次創作的な再構成 Netflixで公開されている『ULTRAMAN』を見た。原作となるマンガ作品の存在は知っていたがそちらは未読である。
 『ULTRAMAN』は、昭和『ウルトラマン』シリーズのn次創作的な再構成による作品である。n次創作的という点では『ウルトラマンメビウス』もそうであったが、「再構成」しているという点に本作の特徴がある。
 簡潔にその世界観を示せば

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幽霊的身体としての怪獣の表象性

1 幽霊とは何か―幽霊と怪獣『ゲンロン5 幽霊的身体』は、幽霊論と演劇論を特集したものである。「幽霊と演劇」という組み合わせは必ずしもすぐに浮かび上がるものではなく、これを組み合わせると怪談や能楽のようなものがイメージされるかも知れない。

 しかし、本書で言われるのはそういう狭い意味ではない。表象(つまり”representation”)というものが、元来、目に見えない抽象的な観念を象る意である

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【書評】『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』

『ウルトラマンと戦後サブカルチャーの風景』。
 本書内で述べられているように、アニメやゲーム等のポップカルチャーが語られること自体、何も珍しくない時代にあって、特撮は等閑視され続けてきた。
 それでも『ゴジラ』論は、特に『シン・ゴジラ』(2016年)前後において、繁く語られてきたが、『ウルトラマン』論はそう多く語られてはいない。
 主要な書籍を、思いつく限り上げてみる。
 切通理作氏の『怪獣使いと

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