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変わりゆく毎日を、変わりなく過ごせますように

12月、恋人が出来た。わたしのとても尊敬している人が恋人になった。今までの彼氏彼女の概念を払拭するような、あったかくて、穏やかな、そんな空気に彩られていった。

中学高校まで、普通に恋愛をしてきた。違うクラスの男の子を好きになり、メールで毎日連絡をとったり。高校に上がると大学生を好きになるも、呆気なく向こうに彼女が出来て失恋したり。歳を重ねるにつれて、それ相応の恋愛をした。でも大学生になった途端、恋愛とかけ離れた毎日を過ごすことになった。大好きな音楽に没頭できる、恵まれすぎた四年間を与えられたわたしに恋愛なんてする暇は無かった。

嘘、ちょくちょくあった。けれど、どれも本気じゃなかった。今ではその人の顔も思い出せないような、微かな恋愛感情をどうにか拡大し、この人が好きと言ってはみるものの長くは続かなかった。

だから「好き」ってなんだろう、みたいな疑問が生まれてくる。人を好きになるってどうやって?どんな風に思ったら好きなの?好きに種類はあるの? こんな恥ずかしい疑問、一体どこにぶつければいいのか。現実を見ないまま大人になった22歳、働きだしてみて分かった。いつか自分が経験すると思っていた、一世一代の告白や、苦しいほど誰かを愛するような大恋愛とは縁がないこと。平穏な日々から抜け出すことはなく、ただ淡々と毎日を生き抜くこと。子どもの頃に思い描いた未来とは異なった形で、今を生きていること。

でも幸い、今の仕事がとても好きだ。大変なことばかりだが、そこにやりがいを感じる。それだけで十分とまで思っていた。困ったときには、手を差し伸べてくれる人が近くにいる。とにかく今の自分には仕事しかない、この仕事を一人前に出来るようになるまで、何かに感情を振り回されたくないという強い意志がわたしにはあった。

彼は、手を差し伸べてくれる優しい人だ。それは相手が誰でも同じことで、困っている人を助けられそうな時は自分の時間を割いてでも寄り添えるような、そんな人だ。同じ職場で同じ空間にいれば、嫌でもわかる。自分の仕事もしっかりこなすし、自分の考えをちゃんと持っている。

お互い、恋人になるなんて一ミリも思っていなかった。わたしたちを結びつけたのは、大袈裟に言ってしまえば、音楽だ。好きな音楽が同じ。わたしたちの共通点ってきっと、それくらいしかない。二人で出かけたこともないのに、フェスに二人で行く約束をするなんて。わたしも彼も冒険者すぎないか。楽しめるかもわからないのによくもまあ思い切ったことをしたものだ。ただ、この約束をきっかけに、二人で出かけることが増えた。わたしが行きたい場所に彼が連れて行ってくれたり、彼の観たい映画を一緒に見に行ったり。

そうしていくうちに、今まで知らなかった彼の良さをたくさん知った。居心地がよかった。小さなことでも一緒に喜べるような、彼の優しい感性に惹かれた。

三回目に出かけた帰り道、車の中でそういう話になった。もちろん切り出したのは彼で、このよく分からない関係をいつまで続けるか悩んでいたことを伝えてくれた。彼の口から飛び出すのは、リスクとか、現実的に考えて、とかネガティブな言葉が多かったように思う。いやきっと、彼の方が現実主義で間違ったことはひとつも言っていなかった。一方のわたしはというと、驚くほど楽観的で「まあでも付き合ってみないと分からなくないですか?」の一言で彼が精一杯悩んだ時間とか何もかもをぶった斬った。

彼は優しい。わたしの考えや、わたしの生活を、とても大切にしてくれる。思っていることはちゃんと言葉にして伝えてくれる。彼のそういうところが、わたしは大好きだ。

恋愛とは、無理をするものだと思っていた。自分の醜い部分を出来るだけ相手に見せないように、相手に見合うよう背伸びして、出来るだけいい人間でいようと。でもそうじゃない気がする。無理しなくていいんだって、教えてくれたのはわたしのだいすきな恋人でした。

何も持っていないわたしに、ありったけの愛を注いでくれる彼を、愛おしく思う。お互いの生活を大切に。困った時は助け合えるように。わたしが彼を幸せにしたいと、今は強く思う。

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