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『社会不適応者神…降臨!(序盤戦)』鮮烈デビューの小学一年生は、こうして社会を知っていった!

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小学一年生が始まってすぐの事だ。一学期が始まってすぐだ。始業式が始まってすぐ。すぐの中のすぐだ。

つまり先生も私をよく知らない頃だ。私ことメイプル楓が社会不適応者の片鱗を容赦なく教育の場で爆発させた事件があった。


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あれは図工の時間の事だ。授業は貼り絵。貼り絵だ。あの貼り絵だ…。折り紙チギッてペタペタ作業のあの貼り絵だ。今から考えると、とんでもなく面倒な作業のあの貼り絵だ。

子供はみんな喜ぶ?始めだけだ!

あのチマチマ作業…。始めは喜び、時間が経つと「つまんねぇ…」となる。それから大きめにチギって終了へのショートカット。ちょっと頭のいい子なら「意味なくねぇ?」っとすぐ気付く…。

これが「貼り絵」だ!


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っが!私は違う!皆と違うから社会不適応者だ!一線を画すその才能は、教育の場、共有の場、集団生活の場に、根こそぎから転覆させる程の非凡な能力を見せつける事となった!華々しいデビューだ。

言うならば、社会不適応者…降臨!


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・無尽蔵にわき起こる情熱。
止まらない。止められないっ!止められるワケかないっっっ!なぜなら無尽蔵にわき起こる情熱がそうさせるからっっっっっ!!!!

小さな描写から大胆な色使いまで!ハンパない情熱で折り紙をチギり、画用紙に貼り詰めていく!その鬼気迫る顔を見た同級生は、さぞかしおののいた事だろう。

画用紙の「白い部分」を埋めていく?フっ…。何をたわけた事を…。

折り紙が何層にも重なってデキる影。それが基本中の基本だ。そして貼り絵モンスターの私にそんな基本中の基本を伝えたところで、「愚問…」と言って切り捨てるだろう。
もし先生が、「芸術は爆発だ!」と力説したら、そのとき初めて「初級の幕開け」と感じていたに違いない。


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・終わりのホイッスルまで45分。
短い…。あまりにも短い…。たったの45分で、私の無尽蔵にわき起こる情熱が冷めるわけもない。

まぁいい…。これがルールというヤツだろう。保育園を終えた私には容易に理解ができる事柄だ。私はこの45分で最高の作品を作り上げよう。そう心に誓い、遮二無二(しゃにむに)頑張った。

すると当たり前の現象が起こる。無尽蔵にわき起こる情熱をバックボーンにした作品は、いとも簡単に作り上げてしまった。まだまだ時間に余裕があるが、致し方ない。私は満を持して、その作品を先生に提出した。







ボツッ!!!!!!!!








・ボツ!
まさかのボツだ!これは何かの間違いだろう…。「褒められる」からの急転直下!遥かに下回った予想に事態が上手く飲み込めない。しかし私はすぐに2作品目と取りかかったっ!なぜならっ!

無尽蔵にわき起こる情熱があるからぁぁぁぁーーーーーーーッッッ!!!!!

そしてギリ終了間際!私はブザービーターとなる最後のシュート(2作品目)を放った。








ボツっ!!!!!!
からの居残り決定っっっっッッッ!!!!!!!!








・居残り…?
コイツ…、アホか…。そう心の中で先生を評価した小学一年生がいた…。

言っている意味がわからん。周りの子達はやっと終わらせた程度だ。コッチは2作品だ!他の奴らの作品見ろよ!チギッた折り紙なんて、あからさまにショートカット丸出しじゃないか。アレがOK点で、私がダメ点…。どういう事ぉ?

お前、気は確かか…?


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・始まる居残り授業。
教室の中は先生と私の二人っきり。みんなはもういない…。そして未だ冷め止まない「無尽蔵にわき起こる情熱」は、牙をむき出し爪をむき出し、矛先である先生へあからさまに敵意を見せていた。


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・「無尽蔵にわき起こる情熱」VS「昭和の教育」
と言っても過言ではないだろう。先生は教壇にある先生専用机に居座り、私は自分の机で作業する。もうこれは世紀の一戦だ。お互い一歩も引かない均衡状態が続く。

3作品目ボツ。4作品目ボツ…。それでも私の無尽蔵にわき起こる情熱は止まらない。なぜなら「敵意」という感情が後押しをしている。家から持ってきた折り紙なんて、もうとっくに玉切れ状態だ。それでも先生に折り紙を懇願をして作品を作り続けた。


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・事態が動いた!
先生が5作品目をボツと言い放ったその時!先生は教壇の机から、私が作業している机へと足を運び、6作品目を一緒に手がける事となった。ボツを繰り出し続けた先生は言った。

先生:背景とモノの境界線がないから、何がなんだか分からない。

うん…。そう…。そうの通りだ!何があかんねんっ!社会不適応者マインドスイッチ発動っ!!全身全霊で超絶全快にギガトン爆ハーーーーーーーッッッッツッッッっっっっっっっっッッッッッッ!!!!!!!!!!

遮二無二多色を使って重ねて表現をした!(何枚も!)
満を持して表現した!(何枚も!)
何度も何度もボツを喰らっても、自分の表現を曲げなかった!(何枚も!)
小さくチギッて頑張った!(何枚も!)
大きくちぎって差異つけた!(何枚も!)
色使って差異つけた!(何枚も!)
色いっぱい使って最高にした!(何枚も!)
先生が間違ってる!(何回も!)
先生が分からんだけ!(何回も!)
私は分かる!(全部!)
私の作品!(全部!)
これが一番だーー!って思ってる。(全部!)
他クソ!(クソ!)
先生の意見なんかどうでも良い!(クソ!)
◯@△!X※◇■●&>+/#ッッッ!!!!!!!!!!!!

絶ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっッッッッッッッッ対ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッッッッッーーーーーーーーーにぃぃぃぃぃぃぃぃぃィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!私が正しいぃぃぃぃぃィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

しかしそんな私を見かねた先生は、6作品目を一緒に手がけながらこうも言った。

先生:アナタが分かっても、人は分からないの。


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5枚の作品と最後の1枚を比べて説明をする先生。そして最後に作った作品を一番上にして、計6枚を私に差し出した。私はその6枚を手にし、自分の作品じゃないと呟きながら、そして泣きべそかきながら下校した事を今でも覚えている。もちろん納得なんか1ミリだってしていない。

今でも当時の感情が残っている。無性に悔しい。これが社会…。貼り絵を通して1敗目を喫する事になった社会不適応者の鮮烈デビューは、人と自分の関係性を全く理解できなかった。今から思うと、これが幕開けだったな…。

ではまた!中盤戦で!

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