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私がやっている事

文房具店の友人から「燕三条製のペーパーナイフ知りませんか?」と聞かれました。この時は会社の20周年記念で配るので、2500円で250個欲しいとの事でした。皆さんも普通にありそうと思うでしょう。これが意外と無いのです。産地で製造はしていてもOEMがほとんどで、特にギフト用の3千円位の製品を持っている工場が無いのです。逆に景品レベルの安価な製品は有るのです。

私はオリジナルのペーパーナイフを提案しました。300個くらい有れば可能だと考えました。加工工程さえ見えていれば、コストに合わせてデザインする事は可能です。工場には古くからの設備=機械チャージが低い物や、最新の機械=コンピュータで少量加工が出来るなどの技術があります。数量に合わせて、製品を作るときのイニシャルコストを下げ加工賃が上がっても、そうした物が得意な工場があるのです。産地にいれば、工場は全て特徴があってそれに合わせてデザインする事で魅力的な製品ができる事がわかります。産地でデザイン活動をする事を勧めるのはこの点です。

この時はブレードはレーザーで抜き、外周に角ワイヤーを3本ローラーで加工し形状を作りました。刃を加工する為に型が必要でしたが、予算内で作れました。好評だったそうで追加オーダーを貰い450個程作りました。こうして生まれる製品はオリジナル製品ですから、他にも販売する事が出来ます。工場でも自社の製品として紹介する事も出来ます。

作るだけでは無く、売るルートが見えていることも重要です。デザイナーも工場も作る事には情熱を注ぎますが、売る方はサッパリというケースは良くあります。行政が行う事業はほとんどがこれで、デザイナーの信用が高まりません。現在はクラウドファンドを活用する方法もあるでしょう。そうした場合でもどこにポイントを置いて訴求するか、必要なイメージを写真や動画で用意する事も大切です。こうした事は工場だけでは出来ません。もちろん、自分が苦手な事は自分のネットワークを活躍すれば良いのです。

産地では問屋が主にそうした役割を担って来ました。問屋は大きくなり数の多い仕事で無くてはやれ無くなって来ました。量販店やホームセンター向けの製品が中心でその多くは海外で製造されます。地方の工場の最大の問題は、開発力がない事と専業化により作れる物に幅がない事です。ある程度産地で活動すれば分かる事ですが、絶対的にデザイナーが足りないのす。

キッチン用品の良い点としては商品の寿命が長い事です。20年、30年生産されるものはざらにあります。前回のnoteに書きましたが、デザイン費用のイニシャルコストを抑えてロイヤリティで契約しても長く費用を受け取る事が出来ます。私もこんなモノで、と思う製品のロイヤリティで300万を超え現在も費用を貰っている製品が有ります。単価は安くても10万個単位で生産されるモノだって有ります。イニシャルコストが高くなって、製品単価を押し上げる事になり売れなくなるよりは、イニシャルを抑えて売り易い価格にする方が成功し易いのです。

海外のデザイナーは自身が自国で販売し、工場は日本国内で自由に販売する事が出来販売分のロイヤリティを受け取るという提案をして来ます。日本の若いデザイナーももって積極的に地方の工場へアプローチするべきだと思います。作りたい製品が有るデザイナーの方には工場を紹介する事も出来ます。



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