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3月8日発売の拙著に掲載した問題に関する補足情報(1)

 はじめに

2021年3月8日に,拙著『公立入試数学「難化&新傾向」問題ピックアップ』(東京出版)が刊行されました。
 企画意図や特徴は,こちらのツイートより返信の形でお読みいただけます。また,このツイート経由でamazonのページに飛ぶことができます。

 こちらでは,この書籍に掲載した問題に関する補足情報を公開していきます。ご購入された方(書籍をお持ちの方)向けの記事となりますが,ご購入いただいていない方でもお読みいただければ幸いです。

第1回 ネタ元が大学入試の問題

書籍がお手元にある方は,P118の演習問題1をご覧ください(2015年秋田県:紙を折って立体を作る問題)です。お手元の問題と次の問題を照らし合わせてみてください。あることに気がつきませんか?

問題:図はある三角錐Vの展開図である。ここで,AB=4,AC=3,BC=5,∠ACD=90°で,△ABDは正三角形である。このとき,Vの体積を求めよ。

スクリーンショット (13)

そうなのです。掲載した2015年秋田県の入試問題のネタ元はコレです(ご覧いただけない方へ:与えられた図の向き,そして記号の位置と長さが変わっているだけです)。先に記してありますが2009年度北海道大学で出題された問題でした。

 この画像は私のPCのスクリーンショットを切り取ったものです。この資料は,私が話者を担当した「新学習指導要領移行措置と入試への影響 ~生徒募集と入試問題の視点から~(2009年3月23日実施)」というセミナーで,主に私立中・高の先生方に向けて
「移行措置の意図を体感できる大学入試問題」
として紹介したものだったのです。PCに残っているパワーポイントファイルの画像をそのまま掲載しながら話を進めます。

この問題で問われている資質は「組み立てた立体を上から俯瞰できるか」です。

スクリーンショット (14)

 この図をフリーハンドで描いた上で,平面図上にHの位置を記すことが必要です。(注)2015年秋田県では(2)で位置をア~カの中から1つ選ばせている。

 Hの場所を特定するには,

スクリーンショット (15)

という作業が必要です。(この後の処理は書籍の解説をご覧ください)。
教員・塾講師の皆様には,是非保護者会や進路説明会のネタに使っていただければ幸いです。また,保護者の皆様には「公立入試の数学が難化している例」として認識していただければ幸いです。

ちなみに余談ですが,このセミナーは「研修」と形を変え,いくつかの私立中教員向けに2010年前後に行っており,この問題も紹介しています。

2009年7月20日(祝)・・・2010年度から都内で開校した私立中学の中学担当教員向け事前研修(数学科分科会)
2010年6月26日(土)・・・2012年度より大学附属となった私立中学の担当教員向け研修(数学科入試問題研究)
2011年12月20日(火)・・・2012年春に多摩地区で開校した私立中学の中学担当教員向け事前研修(数学科分科会)

 高校入試のみならず,中学入試でも「大学入試がネタ元の問題」が登場しても何ら不思議ではないのです。




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