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カップヌードルPROは人生

 ダイエットをしている。ダイエットというと、食事をたくさん我慢して辛い思いをしなければならないという雰囲気がムンムンにしてしまうが、そんなこともない。認識の及ばない範囲の栄養をとっている怠惰な自分に、規律を設けて意識的に調整する行為に近い。「今日タンパク質が足りてないからちゃんと摂ってー」「甘いもの摂るなら、果物から摂取するよー」「筋肉痛を感じてないから筋トレしてー」などなど脳内に調整役を立てて自分に指示を出している。なので、「身体を健康にしよう期間」みたいな呼び方が正しいのだが、都合よく簡単に自分を下に見せたいという浅知恵が自然と働くため、俗っぽいバカな呼び方で「ダイエット」と呼ぶことにしている。

 カップヌードルPROという商品がある。カップヌードル自体は説明不要であろう。人類に53年もの間愛され続けている、これまでもそしてこれからも一生飽きることはないであろうカップラーメンである。たったの3分で至高を味わえる最高の代物だ。しかし、もちろんダイエット中の私には、脂質炭水化物&添加物丸出しのこいつに手なんか出せるはずもない。しかし、だ。日清様はそんなわがままな私たちにまで手を差し伸べてくれる。そこで差し出された手というのが、カップヌードルPROなのだ。高タンパク&低糖質な上、味は全くと言っていいほど落ちていない。なんて企業努力が詰まっているんだろう。こんなに最高な商品はないのではないか。そりゃ、毎日これを食べたら良くないけど、ここまで極限に罪悪感を下げてくれる商品を作ったこと自体がノーベル賞ものじゃないかと、個人的には思う。

 よく行くスーパーがある。このスーパーが最高な理由は、そのカップヌードルPROが三種類も常備されていることである。定番の醤油味だけでなくもう二種類もこの世に生み出してくれた日清様がそもそも凄すぎるのだが、このスーパーはそれを常備してくれているのだ。置いていない所が多く存在しており歯痒い思いを幾度となくしてきたため、このスーパーのことを私はものすごく愛していた。しかし、今回事件が起きた。なんとカップヌードルPROの置き場が縮小されていたのだ。それをみた瞬間、とてつもない焦燥感に襲われた。私はその時、このスーパーを信用し切っていたことを知った。スーパーのカップヌードルPROへの愛を揺るぎないものだと思い込んでいた。私は縮小される想定すらしていなかったのだ。

 醤油味しかなかった。まあ私は醤油味が目的だったので問題なく購入できはするのだが、そういう問題ではない。そう、そういう問題ではないのだ。問題は二点。一点目は、私はカップヌードルPROへの愛を感じるスーパーで気持ちよく買い物がしたかった。なのにそうでなくなっていた点。二点目は、三種類から自分で選べる状態の上で醤油味を選び取りたかったという点である。ここが特に大事だ。少し話は大きくなるが、人生は、あらゆる選択肢を自分で選ぶことによって決まっていく。それは何を食べるかなどの細かいことから、どの職に就くかなどの大きいことに至る全てにおいてである。つまり、選ぶということが人生を生きることである、と私は捉えているのだ。にも関わらず、三種類の中から一種類を選び取れずに、一種類から一種類をただ買う形になってしまった。ここが悔しいのだ。確かに、全体の商品の中から選択していると考えてもいいのだが、ダイエット中にラーメンを食べたい時は他に選択肢はないため、私からしたらほぼ一択なのである。さて、ここまで色々言ってきたが勿論このことは誰も悪くないし、私がただ無茶苦茶なことを言っているだけなのは重々理解している。ただ、この感情が存在したことをなきものにする、となると私の感情が可哀想なのでここに残しておく。無論今日もカップヌードルRPOは美味しかった。ありがとう、日清様、いつものスーパー。

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